導入成功事例 〔LINEヤフー株式会社〕ネット広告の基礎知識から成功メソッドまで学べる、オープンな学習プラットフォーム「Yahoo!広告 キャンパス」で目指すもの

ヤフー株式会社(以降、「ヤフー」)は20225月に、オンライン学習プラットフォーム「Yahoo!広告 キャンパス」をスタートしました。ヤフーでは以前、同社の広告サービスの習熟度を認定するものとして、「Yahoo!プロモーション広告 プロフェッショナル認定試験」を有償で提供していました。この認定試験は、広告サービスのリニューアルに伴い2019年に終了しましたが、認定試験の復活を求める広告主や広告代理店からの要望もあり、オンラインの学習コンテンツ+認定資格試験という新たな仕組みで立ち上がったのがYahoo!広告 キャンパスです。

Yahoo!広告 キャンパス」のシステムには、ライトワークスのLMSCAREERSHIP」が採用されています。広告代理店の社員やインハウスで広告運用を行う広告主のみならず、フリーランスや学生など、登録すれば誰もが使えるオープンな形の「CAREERSHIP」の活用は、ライトワークスとしても初めての事例です。

Yahoo!広告 キャンパス」のサービス開始からまもなく1年。この間も絶えず学習コンテンツの追加や見直し等が行われてきましたが、より学びやすいプラットフォームを目指し、2023年4月に初めてのシステム・リニューアルも実施されました。改めて「Yahoo!広告 キャンパス」の意義や価値、提供する学習コンテンツ、リニューアルの内容、今後の展望などについて、ヤフー株式会社 マーケティングソリューション統括本部 マーケティングコミュニケーション部 部長 荒谷英延様 同部 コミュニケーション戦略チーム リーダーの稗田 薫様、座間菜穂子様、唐崎美香様にお話を聞きました。[1]

※社名は取材当時のもの(現・LINEヤフー株式会社)です。

[1] 2023年3月取材当時の情報です。

各業界における人材育成の課題と解決方法をまとめた事例集

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1. 「Yahoo!広告 キャンパス」とは?

―まずは「Yahoo!広告 キャンパス」とはどんなものか、簡単にご説明いただけまでしょうか?

荒谷様:Yahoo!広告 キャンパス」は、オンラインでYahoo!広告の体系的な学習と認定資格の取得が可能な無料ラーニングプログラムです。学習コンテンツは、インターネット広告の基礎、②Yahoo!広告 検索広告、③Yahoo!広告 ディスプレイ広告、そして2022年末に追加したクリエイティブの基礎4コースに分かれており、インターネット広告の基礎知識からYahoo!広告の運用ノウハウや広告管理ツールの知識などの最新情報まで学ぶことができます。

Yahoo広告申し込み画面イメージ
図:申し込みフォームから申し込むと、すぐにYahoo!広告 キャンパス上で学習が可能に

 

また、認定資格については1Yahoo!広告 ベーシック、(2) Yahoo!広告 検索広告アドバンスト、(3) Yahoo!広告 ディスプレイ広告 アドバンスト3種類があります。それぞれの認定資格に対応するコースを受講後、認定試験に合格すると資格認定となります。既に十分な知識をお持ちの方は、いきなり試験を受けることも可能です。

 

Yahoo広告の資格種類一覧
図:Yahoo!広告 認定資格の種類

 

―「Yahoo!広告 キャンパス」の対象者はどんな方ですか?

荒谷様:Yahoo!広告をご利用になる広告主様、広告代理店様の社員の方、フリーランスの方はもちろんですが、現在、広告業務を担当されている方だけでなく、これから広告業務に従事される方のラーニングにも役立てていただければと考えています。誰でも無料で使用できるオープンなオンライン学習プラットフォームということで、受講者の中には学生のうちに資格を取って、就職活動を有利に進めたいという大学生の方などもいらっしゃいます。

 

-皆さまは「Yahoo!広告 キャンパス」にどのように係わっていらっしゃるのでしょうか?

荒谷様:まずわれわれの部署の役割からご説明します。「マーケティングソリューション統括本部」はヤフーが提供するさまざまなサービスのうち、広告事業を担う部門です。その中でも「マーケティングコミュニケーション部」は、広告主様や広告代理店様などを対象としたBtoBのコミュニケーションを担当しております。具体的には、オウンドサイトの運営やイベントの企画開催、自社広告の出稿など、さまざまなマーケティング活動を担当しており、そのうちの一つが「Yahoo!広告 キャンパス」です。

稗田様:2021年秋ごろに「Yahoo!広告 キャンパス」の立ち上げに向けたプロジェクトがスタートし、荒谷以下のメンバーで、システムの自社開発かSaaSの利用かというところから議論を始め、ベンダー/システムの検討・選定を行いました。「CAREERSHIP」の採用が決まり、20225月に「Yahoo!広告 キャンパス」がスタートしてからは、WeeklyのミーティングでKPI等を共有しつつ、座間と唐崎を中心に現場を回してもらっています。

Yahoo!マーケティングコミュニケーション部荒谷様

 

―座間さんと唐崎さんは、どのように業務分担されているのでしょうか?

座間様:私がプラットフォーム側の企画、唐崎がコンテンツ側の企画というふうに分かれていますが、互いに補い合っているという感じです。また、ユーザー拡大のためのキャンペーンやSNSでの情報発信などについては、その他のプロジェクトメンバーとも協力しながら進めています。

 

―先ほどシステムの選定のお話がありましたが、「CAREERSHIP」の採用理由を教えていただけますか?

荒谷様:システムの選定においては、オンライン学習と認定資格試験という必須要件に加え、以下4点を満たせるプラットフォームであることが重要でした。

  • 隙間時間を活用できるよう、マルチデバイスに対応していること
  • 試験合格時に認定証を自動で発行できること
  • ヤフー側に開発リソースがかからないこと
  • セキュリティ対策のため、社員がツールにログインする場合はSingle Sign OnSSO)できること

これらに対し、柔軟に対応していただけたことで、「CAREERSHIP」採用を決定いたしました。

CAREERSHIP®から自動発行される認定証
図:CAREERSHIPから自動発行される認定証

2. 「Yahoo!広告 キャンパス」が提供する、“成果につながる”学び

-「Yahoo!広告 キャンパス」の利用者メリットを教えてください。

荒谷様:大きく3つあると考えています。第一にYahoo!広告に関する知識を体系的に学べる」こと。広告に関する知識やノウハウをご自身で調べて学ぼうとすると、どうしても細切れになってしまったり、古い情報にあたってしまったりすることも。「Yahoo!広告 キャンパス」は、必要な知識を体系立てて学習コンテンツにしているので、初心者向けのインターネット広告の基礎知識から、Yahoo!広告の運用ノウハウや広告管理ツールの使い方といった最新の情報をしっかり学ぶことができます。

2つ目は、「スキルが明示できる」こと。「Yahoo!広告 キャンパス」の認定資格試験に合格すると、認定ロゴと認定証が授与され、ご自身、もしくは自社の社員がYahoo!広告に関する一定の知識・ノウハウを持っているという証明になります(認定資格は1年間有効)。認定ロゴはウェブサイトや個人の名刺に入れることも可能です。

3つ目は、「自分のペースで学べる」こと。オンラインで提供されているため、いつでもどこでも好きなタイミングで学び、認定資格を受験することが可能です。スマートフォンでも利用できるので、隙間時間を利用し、ご自身のペースで学習を進めていただけます。また、学習コンテンツと認定資格試験のいずれも無料で、誰でも気軽に学習を開始、継続することができます。

 

-Yahoo!広告についての学習コンテンツは他社からも提供されていますが、ヤフー様自身が学習コンテンツやオンライン学習の仕組みを提供することの意義をどのように捉えていますか?

座間様:他社様からは中立的な立場で認定試験を見た上で、試験対策講座などのコンテンツを展開していただき大変助かっております。一方で、ヤフーから直接メッセージを発信したり、最新のYahoo!広告を踏まえた学習コンテンツを用意したりすることで、基本的な知識だけでなく、使いこなしや成功メソッドまでを伝えられることに大きな意義を見出しています。

 

-「成功メソッドを伝える」とは具体的にどういうことなのでしょうか?

唐崎様:Yahoo!広告にもさまざまな機能があり、広告の効果を高めたり利便性を上げるため、常にアップデートされています。新しい機能がリリースされても、何も情報がない、あるいはただ単にこういう機能が出ますという情報発信だけだと、広告主様や広告代理店様に正しい使い方がなかなか浸透せず、目指すべき成果に辿り着つかないことがあります。目標とする成果にいち早く結びつくよう、そもそもどういう機能なのか、どのような使い方をすると効果に繋がりやすいかを学習コンテンツにして提供できるよう努めています。実際に広告を運用する立場の方は、まずは広告機能を使ってみて、どうしたら成果が上がるのかをトライアンドエラーで積み上げていただくのですが、新しい機能をリリースするにあたって、私たちは既にさまざまなテストを実施していて、こういう使い方が最適解ですという成功メソッドをある程度持っているのです。そういったことをお伝えすることで、成果が出るまでの時間を短縮していただくことができるのではないかと思います。

3. ユーザーニーズや業界動向を捉え、サービスやコンテンツを見直し続ける

―2022年5月の「Yahoo!広告 キャンパス」オープン以降も、学習コンテンツの修正や追加をされているという事でしょうか?

唐崎様:はい。コンテンツの中身の見直しは随時実施しています。コンテンツの見直しについては2軸あって、1つは既存のコンテンツ。サービス機能のアップデートや仕様変更に紐づいた更新作業は、少なくとも3カ月に一度は行っています。もう1つの軸は新規コンテンツ。こちらは不定期で追加しています。今はないコンテンツだけれども、お客様のニーズが高そうな内容や業界として注目の集まっている領域については、一から企画して新規コンテンツを作成しています。

唐崎様:例えば2022年末には、効果的なクリエイティブを作成するための考え方や、クリテイティブTipsなど、クリエイティブに関するコンテンツ群を新たに追加しました。これは、広告のクリエイティブに関心が集まっていて、それに対する具体的な手法が注目されている、という背景があってのことです。

 

-サービスやコンテンツの見直しを頻繁にされる理由は何でしょうか?

稗田様:Yahoo!広告 キャンパス」での学びを実践し、Yahoo!広告のサービスを使いこなしていただき、広告主様の事業に間接的にでも貢献したいと考えています。特に運用型広告は、広告配信後も運用変更をしながら効果を出していくサービスですので、成功するための手段を知っていると知らないとでは大きな差がでてきます。そのような「成功するための手段」を常に発信していく「Yahoo!広告 キャンパス」であり続ける必要があると考えています。

荒谷様:Yahoo!広告 キャンパス」の活用を通じて、広告主様や広告代理店様に広告の効果を体感いただき、お客様の事業に貢献することが、私たちにとって最も重要です。そのための機能改善やコンテンツの見直しはどうしても頻度が高く発生します。

4. 「Yahoo!広告 キャンパス」の現在地と課題

-導入からもうすぐ1年となりますが、利用状況はいかがですか?

唐崎様:おかげさまで多数の広告主様、広告代理店様にご利用いただいております。現在は3つの認定資格試験と、4つのカテゴリーに分類された学習コンテンツを展開しています。ほとんどの方が複数のカテゴリーにまたがって学習していただいており、認定資格も複数取得している方が多く、利用の定着が進んでいます。

荒谷様:ユーザーID発行数は5000を超え、認定者も1500名を超えました(20233月現在)。一定の評価は社内でも受けていますが、まだまだ利用者を増やしていきたいと考えます。

座間様:4月~6月は新入社員の方や部署異動された方の受講が期待できる季節です。また、「Yahoo!広告 キャンパス」がオープンしてすぐに認定資格を取得された方が、認定更新のため再受験されるタイミングでもあります。SNSやオウンドメディアも活用し、「Yahoo!広告 キャンパス」との接点を増やしていくというような集客施策も実施しています。

 

―ユーザー調査も実施されているそうですね。

座間様:認定試験に合格された方を対象にアンケート調査をしています。利用者の業務の従事期間や保有資格の有無、満足度や難易度をどう感じているかというところをみています。クロス集計で勤続年数と満足度がどのような傾向になるかを分析したり、保有資格で難易度の感じ方に違いがあるかなどを見たりして、難易度設定が適切か検証しています。また、4月からはアンケート調査の対象を全学習者に拡大しました。より多くの利用者の声やデータを収集し、サービス改善に生かしていきたいと考えています。

Yahoo!マーケティングコミュニケーション部座間様

5.リニューアルを経て、より学びやすいプラットフォームへ

-3月末に大幅リニューアルを実施されたとのことですが、リニューアルの内容を教えていただけますか?

座間様:今回のリニューアルの1番大きなポイントは、ログイン後のトップページの充実と見え方の改善です。リニューアル前のトップページは、ユーザープロフィールとコース、インフォメーションが表示される形式でしたが、活用しきれていなかったスペースもありました。そこで、コース形式の一部以外を撤廃し、さまざまな切り口から学びたいコンテンツを選べるようにしています。

唐崎様:20233月までは、認定資格に紐づくコースでコンテンツを分けていましたが、それを撤廃し、コンテンツのカテゴリーや難易度など、お客様の求めるニーズに合わせて学習できる経路作りをしました。体系立って学習コンテンツを学んでいただく流れは残しつつ、コンテンツを一覧化することで、お客様が詳しく学びたいところにいち早く辿り着けるよう改修しました。イチから学びたい方は、初級のコンテンツを選んで学習いただけたり、「インターネット広告の基礎」のコンテンツから初めていただけたりします。また、ある程度知識のある方やこの部分だけおさらいしたい、という方は中級や上級の学習コンテンツや一覧から選んで学習いただく、というようなユーザーの知識の度合いやニーズに合わせた学習ができるようになっています。

Yahoo!広告 キャンパストップページ画面
図:Yahoo!広告 キャンパス トップページ画面イメージ

 

-リニューアルのプランを考える上で、「CAREERSHIP」のユーザー企業交流イベント「CAREERSSHIP User Meet Up」(以降、Meet Up)から着想を得た部分もあったそうですね?

唐崎様:Meet Upでご紹介いただいた他社様のトップ画面は、利用者が使いやすいよう手が加えられていて見やすく、今回のリニューアルのヒントになりました。コンテンツの中身に関しても、動画で教材を作成されている他社様の事例もあり、どのような視点で作られているかなど、個別でお話をうかがうことができました。動画コンテンツについては「Yahoo!広告 キャンパス」利用者からの要望としても多いので、非常に参考になりました。

座間様:Meet Upでは類似した課題を持つ他企業様の事例を知ることができ、どのように解決したか、また取り組んだかといったことを経緯とともに学べるため、沢山の発見と学びがあります。今後もさまざまな業種の方々と交流を持ち、「Yahoo!広告 キャンパス」に生かしていきたいです。

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6. 今後の展望:「Yahoo!広告 キャンパス」で目指すもの

-最後に皆さんから一言ずつ「Yahoo!広告 キャンパス」で成し遂げたいこと、目指す姿についてコメントいただけますでしょうか?

荒谷様:広告の運用に関して悩んだり、つまずく部分が発生したりした時に、いつでも訪れていただけるというような場所を提供していきたいと思っています。そのような意味で、「キャンパス」という名称を付けました。また、広告商品だけでなく、ヤフーが持つソリューション全般の活用の幅を広げていただくためのガイドとなるよう、中身のブラッシュアップを継続してやっていきたいと思います。知っておきたい知識を最新の状態で、かつ体系的にお届けし、「最新の知識がここにくれば学べる」と思っていただけるサービスが目指す姿です。

稗田様:広告主さんや広告代理店さんのニーズに合ったものをきちんと提供できる環境を整えたいなと思っています。特に、データ活用の領域についてはわれわれが着手できていない部分がありますので、データソリューション事業とも連動しつつ、対象となる方に必要なものを勉強してもらえるよう提供していきたいです。

座間様:プラットフォームの部分では、隙間時間で学べる「マイクロラーニング」がトレンドになってきているので、空いた時間に自分のペースで少しずつ学んでいただける環境作りを行っていきたいです。パソコンだけでなく、スマートフォンでも見やすいように、またコンテンツの提供方法も静止画や文章、動画など自分に合ったスタイルで学べるというのが目指す1つの姿です。

唐崎様:運用側としては、コンテンツ更新や新規コンテンツを追加しやすくするというところを目指しています。より新しい情報やユーザーニーズに応えたコンテンツを提供しやすくし、運用側もユーザー側もWinWinの関係を築きたいと思っています。ユーザーさんに寄り添い、カスタマーサポートの一部のように使っていただき、広告の成果を上げていただいて、広告売上につながるという良い循環になるようにしたいです。PDCAの中のサイクルの1つとして「Yahoo!広告 キャンパス」が機能していくというところが理想です。

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