LMS(学習管理システム)とは?基礎から選定ポイントまで解説

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LMS(学習管理システム)とは?専業ベンダーが基礎から選定ポイントまで徹底解説

LMSとは「Learning Management System(ラーニングマネジメントシステム)」の略で、日本語では「学習管理システム」と訳されます。

本稿では、LMSの基本的な仕組みからメリット・デメリット、選定時に気をつけたいポイントまで詳しく解説します。LMSの導入を検討する際に、ぜひ参考にしてください。

 

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1.LMS(学習管理システム)とは

LMS(学習管理システム)とは、主に企業や教育機関において、eラーニングやオンライン研修などを実施する際のプラットフォームになるシステムです。

教材コンテンツの配信や学習履歴の管理などが主な機能ですが、スキル管理機能やタレントマネジメントシステムとの連携、社内SNS、教材作成機能など、ベンダーによってさまざまな機能を備えています。(⇒ 9.LMSの機能までジャンプして読む)

 

\LMSで実現できることについて2分でご覧になりたい方はこちら/

2.LMSで実現できること

LMSによって実現できることは、大きく分けて以下の4つです。

  • 教育のオートメーション化
  • 学習状況の可視化
  • 学習履歴(データ)の蓄積と活用
  • あらゆる学習施策の統合管理

2-1.教育のオートメーション化

従来の研修では、担当者が研修対象者をリストアップし、日程調整会場の設置教材準備当日の出欠確認などを行う必要がありました。

一方、LMSを活用した研修では、担当者は教材や動画をLMSに登録し、条件に合致する従業員に一斉通知で研修案内を送信すれば完了です。あとは従業員が自身の都合のつくタイミングで研修を受講できるため、リソースの大幅な節約が図れます。

さらに、下記の図のように「中途採用者に段階を踏んでオンボーディング研修を受講させる」「研修後の確認テストに合格したら、次のステップに進行させる」といった教育の自動化も可能になります。

LMSによる教育のオートメーション化

2-2.学習状況の可視化

LMSでは、各従業員がどの研修をどこまで受講したかが数字で可視化できます。そのため、未修了者へのリマインドや受講後のフォローアップが容易に行えます。

従業員側も、自身のスキルアップのために「この分野の学習が不足している」と視覚的に理解できるため、研修へのモチベーションも高まるでしょう。

LMSによるOJT管理のイメージ

研修などの進捗状況が可視化できる、CAREERSHIPのOJTチェック画面

2-3.学習履歴(データ)の蓄積と活用

LMSには、従業員ごとに研修の受講履歴修了テストの成績などの学習履歴を蓄積・管理する機能があります。

安全衛生教育などの法的に義務付けられた必須教育の履歴管理に加え、個別の学習履歴を人材の育成や配置といったタレントマネジメントに活用する取り組みも進んできています。

 

キャリアカルテ

学習履歴を管理する、CAREERSHIPのキャリアカルテ機能

2-4.あらゆる学習施策の統合管理

LMSは、eラーニングだけでなく集合研修外部講習などの履歴もまとめて管理できます。

例えば以下の図のように「テストの点数に応じてeラーニングと集合研修を使い分けたい」といった場合、LMSがあれば教育の手段に関わらず、まとめて管理することが可能です。

弊社のLMS「CAREERSHIPのようにコース管理機能がある場合は、eラーニングと集合研修、確認テスト、アンケート提出などをセットにし、条件に当てはまる対象者に自動的に配信することもできます。

LMSの活用「ブレンディッド・ラーニングの実行イメージ」
LMSを活用した学習施策の例。教育の手段にかかわらず履歴を管理できるため、あらゆる学習施策の記録が可能

さらには、自社の独自教材を簡単に内製できるシステムが組み込まれていたり、タレントマネジメントシステムと連携できたりと、あらゆる学習施策の統合管理に活用できるLMSもあります。

3.LMSとeラーニングの違い

 

LMSとeラーニングの違い

 

LMSとeラーニングの違いは、「オンライン学習以外の情報を管理できるかどうか」です。

LMSは、eラーニング、オフライン研修や外部セミナーなどの、あらゆる学習履歴を総合的に管理することができます。一方eラーニングは、インターネットを通じて提供されるオンライン学習とその教材をいいます。

一部のeラーニングサービスの中には、LMSと同じように受講者の学習状況や成績を管理できるものもあります。しかし、eラーニングサービスだけでは、オフラインの現場研修や社外で受講した外部セミナーの履歴は管理できません。

そのため、「全体的な研修はA社の教材で、経理の専門的な研修はB社の教材を使いたい」というように複数の教育手段をブレンドしたい場合は、LMSの導入をおすすめします。

4.LMSとオンライン研修の違い

オンライン研修とは、ZoomやGoogle MeetなどのWeb会議システムを利用して行われる双方向型の研修を指します。

受講タイミングを選ばないeラーニングと異なり、オンライン研修では、講師と受講者がリアルタイムで講義を行います。受講者が講師に直接質問したり、グループでディスカッションを行えたりするなど、オンライン研修はeラーニングにはない効果が期待できます。

LMSは、オンライン研修の申し込みや受講状況を管理するプラットフォームの役割を果たします。社内で行うオンライン研修だけでなく、外部セミナーの登録や受講管理もできるため、従業員それぞれの自己研鑽のデータを蓄積することも可能です。

5.企業においてLMSの必要性が増している理由

企業でLMSの必要性が増している背景として、人手不足の深刻化、従業員のキャリア観の変化、人的資本経営への注目の3つが挙げられます。

5-1.人手不足の深刻化

日本企業の人手不足は深刻化しており、業務の効率化と人材教育の重要性がますます高まっています。

労働力人口の減少は続いており、帝国データバンクが実施した「人手不足に対する企業の動向調査(2024年度4月)」では、正社員の人手不足割合は51.0%と、 高止まり傾向が続いていることがわかりました。


正社員・非正社員の人手不足割合
出典)帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2024年4月)」(閲覧日:2024年6月21日)


こうした状況では、業務を効率化することはもちろん、従業員一人一人のスキルを高め、企業全体の生産性を向上させることが求められます。

そのため、企業の教育を一元管理でき、あらゆる教育施策を効率的かつ効果的に実施できるLMSの重要性が高まっているのです。

5-2.従業員のキャリア観の変化

時代の変化とともに従業員のキャリア観も変わり、よりよい環境を求めて転職することは当たり前の時代となりました。そのため、企業は成長できる環境を用意できなければ、従業員に離職されてしまうリスクを抱えています。

これまでのメンバーシップ型の人事制度では、従業員のキャリアは会社都合に左右される傾向がありました。しかし、近年は個人の希望や能力に沿って、企業が従業員のキャリア形成をサポートするという考え方が一般的になりつつあります。

LMSを活用すれば従業員の自律的な学習のサポートキャリアプランに沿った教育施策の提供などが可能になります。そのため、従業員の成長意欲に応えつつ優秀な人材を育成する環境を用意できるでしょう。

5-3.人的資本経営への取り組み

人的資本経営とは、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方です。

2022年5月に経済産業省が公表した「人材版伊藤レポート2.0[1]や、同年6月に厚生労働省が策定した「職場における学び・学び直し促進ガイドライン」[2]では、従業員の能力向上への投資が、企業価値の持続的な向上につながると提唱されています。

さらに、日本では有価証券報告書等を発行する上場企業などを対象に、2023年3月期決算から人的資本の情報開示が義務化されました。

LMSを活用すれば「人的資本経営に必要な教育施策の実施」はもちろん、「情報開示に必要なデータの集計」も可能なため、人的資本経営への取り組みに大いに役立ちます。人材育成を管理・支援し人的資本経営をサポートする仕組みとして、LMSはぜひ活用したいシステムといえるでしょう。

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6.LMSの3つのメリット

 

LMSの3つのメリット

 

LMSは以下のようなメリットを企業にもたらします。

  • 人事・人材開発部門の負担軽減
  • 教育効果の向上
  • データドリブンな人材開発が可能

6-1. 人事・人材開発部門の負担軽減

LMSでは、今まで手作業で行っていた人事・人材開発部門の業務を大幅に効率化・自動化することが可能です。

例えば集合研修の場合、LMSがあれば以下のような業務を効率化・自動化できます。

  • 研修対象者の抽出
  • 案内メールの送付
  • 出欠確認
  • 宿泊や弁当の要否などの確認
  • 資料配布
  • 確認テストの実施
  • レポート・アンケートの回収
  • 出欠状況や成績などのデータ集計・管理
  • 次の研修の案内

また、中途採用者に段階を踏んでオンボーディング研修を受講させる確認テストの合格者を次のステップに進行させるなど、従業員の属性や進捗に合わせて自動的に教育を進めていくことも可能です。

以下の記事では、LMSの統合によりシステム管理の担当者がゼロになった事例をご紹介しています。

6-2. 教育効果の向上

LMSを活用した教育施策を行うことで、教育効果を向上させることができます。その方法として、いくつかをご紹介します。

eラーニング化/動画化

リアルな研修をベースとしている場合、手間がかかり過ぎたり講師によってクオリティが異なったりと、教育を加速させていくハードルがどうしても高くなります。そういった教育をeラーニング化/動画化することで、全ての人が同じクオリティの教育をいつでも何度でも受けることができます。

教材作成機能を持つLMSであれば、パワーポイントのマニュアルや動画素材を簡単にeラーニング化し、配信することができます。また、より発展的に教材制作を行いたい場合は、専門家に自社オリジナル教材の制作を依頼するといった方法もあります。


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ブレンディッドラーニング

ブレンディッドラーニング(Blended Learning)とは、知識習得やテストなどをeラーニングで行い、ディスカッションや実地訓練などは集合研修で行うという、2種類の学習方法を併用する研修スタイルのことです。eラーニングのみで学習する場合のデメリット「受講者同士の交流が減る」「その場で質疑応答ができない」という点を改善できる有効な教育方法です。

LMSは集合研修もeラーニングも一元的に管理できるため、それぞれの強みを生かしたブレンディッドラーニングが可能です。ライトワークスのLMS「CAREERSHIP」には複数の教育施策を組み合わせる「コース管理機能」があり、多くの企業がコース管理機能を利用したブレンディッドラーニングを実現しています。

関連 ▶ ブレンディッド・ラーニングとは 研修とeラーニングのうまい組合せ方(弊社サイト【コンプライアンス研究所】へ移動します)

ピアラーニング

ピアラーニングとは、学習者が互いに協力して学び、学びの過程を共有する学習方法のことです。

LMSの中には、限られたメンバーだけが閲覧・投稿できる社内SNS機能が備わっているものもあります。こうした機能を利用することで、研修後のディスカッションやノウハウの共有等をスピーディーに行い、ピアラーニングを実践することができます。

以下の記事では、ブレンディッドラーニングやピアラーニングを活用して効果的な社内教育を実現している事例をご紹介しています。

関連 ▶ ピアラーニングを人材育成に 「教えない」教育のやり方とメリット(弊社サイト【Lightworks BLOG】へ移動します)

6-3. データドリブンな人材開発が可能

LMSにデータを蓄積すれば、従業員一人一人のスキルを可視化し、それぞれに合った教育施策を提供できるようになります。

メンバーシップ型雇用、ジョブ型雇用に関わらず、社内では職種や階層に応じてクリアすべきスキルセットがあります。各従業員の得意分野・苦手分野がデータでつかめるため、会社としてどのスキルを重点的に伸ばしていくか検討しやすくなり、足りていないスキルを伸ばせる業務にアサインすることも可能になります。

従業員自身が「この先のキャリアのために、何を学べば良いのか」を把握できれば、自律的なキャリア形成にも役立てられるでしょう。

人材開発に活用できる機能として、当社のLMSCAREERSHIP」にはスキル管理機能が搭載されています。これは、各ポジションにおいて必要な知識や技能を習得するために、推奨する学習内容を紐づけられる仕組みです。

スキルマップ・スキルテンプレート
スキルマップ表記では、自分と他者のスキルを客観的に参照できたり、目指すポジションに求められるスキル項目と学習内容が確認できる

\人材育成のトレンド「スキルマップ」を3分で解説/

スキルマップの活用事例や、CAREERSHIPの実際の画面をご覧になりたい方はこちらをご覧ください⇒【無料ウェビナー開催】30分でわかるCAREERSHIP ~基本操作からスキルマップの活用事例まで~

関連 ▶キャリア自律で強い組織作り 企業がすべき支援とは?成功事例も紹介(弊社ブログサイトへ移動します) 

 

LMSを使うメリットについて、実際に企業内で行われる学習の流れに沿って確認したい方は下記の記事を参考にしてください。

7.LMSのデメリット

研修管理が容易になり、データドリブンな人材開発にも使えるLMSですが、やはりデメリットも気になるところ。LMSの導入を検討する際に注意したいのは、さまざまなコストがかかる点です。

7-1.イニシャルコストとランニングコスト

LMSの導入には外部の専用システムが必要になるため、導入時のコスト(イニシャルコスト)が発生します。

さらに、LMSは継続的な運用が必要なため、月額費用の負担(ランニングコスト)は避けられません。

ほとんどのLMSは利用人数で費用を算定するため、導入当初は限られた部署で試験的に運用し、効果を確認できたうえで全社に展開する方法がお勧めです。

7-2.業務上のコスト

LMSの導入には、システムの費用だけでなく、以下のような業務的なコストも伴います。

  • 導入目的や使い方のガイダンス
    • LMSを効果的に活用するために、導入した目的や使い方を従業員に説明します。マニュアルを提供したり、操作説明会を実施したりする例が多いようです。
  • 自社に合わせたマニュアルの作成
    • 自社独自の組織構造や教育施策に合わせた使い方のマニュアルも必要になります。特にLMSにカスタマイズを加えている場合は、マニュアルがあることで受講者がスムーズに学習することができたり、管理者の操作ミスを防止したりすることに役立つでしょう。
  • 実際の運用で発生する問い合わせ対応
    • 運用開始後の問い合わせに対応できる体制を整える必要があります。問い合わせに迅速に対応できる体制があると、受講者のストレスが減り積極的なLMSの利用に繋がります。

いずれのデメリットLMSの運用が軌道に乗れば負担は軽くなります。

ベンダー側でサポート体制を有していることも多いので、まずは相談してみることをお勧めします。 ⇒ ライトワークスのサポート体制について詳しく見る

8.LMSの種類と特徴

LMSの多くは、Google ChromeやSafari、Microsoft EdgeなどのWebブラウザから利用できるSaaS型クラウドサービスとして提供されます。ほかにはモバイルアプリ型や、自社サーバーにインストールするオンプレミス型もあります。

企業がLMSを導入するにあたっては、オンプレミス型かクラウド型2種類から検討するのが一般的です。

 

8-1.オンプレミス型

オンプレミス型のイメージ

オンプレミス型とは、LMSを自社のサーバーにインストールし、社内ネットワーク上で利用するタイプのことです。パッケージ購入型の会計ソフトと似たような仕組みと言えるでしょう。

オンプレミス型のLMSでは、サーバーの準備・構築等を行う必要があります。

自社のサーバー内でシステムが完結するため、セキュリティの機密性が高いことが特徴です。その反面、構築や開発、サーバーの管理など多くのリソースが必要になる点がデメリットとなるでしょう。

 

8-2.クラウド型

クラウド型のイメージ

クラウド型は、外部のベンダー側のサーバーにLMSがインストールされ、社内からWebブラウザを使って利用するタイプです。クラウド型の会計ソフトを思い浮かべるとイメージしやすいでしょう。

企業側はインターネットを介してLMSを利用するため、自社でサーバーを準備する必要がなく、契約後に初期設定を済ませればすぐに使用できるのが特徴です。

ベンダーが提供するシステムを使用することが基本となるため、オンプレミス型と比較して自由度が低いサービスもありますが、少ないコスト・リソースで導入・運用ができるため、これからLMSを導入する場合には特別な理由がない限りクラウド型をおすすめしています。

「オンプレミス型」、「クラウド型」以外にも、LMSの種類については以下の記事で詳しく解説しています。

9.LMSの機能

一般的なLMSが搭載している主要な機能を、3つに分けて解説します。

9-1.受講者用の機能

LMSの主要機能であり、受講者のeラーニングをサポートする機能が中心です。

  • 教材や動画の受講/申し込み
  • アンケートやレポート等の提出
  • 受講申し込み状況や学習履歴の管理

LMSは学習プラットフォームとして、研修の申し込みから教材の受け取り、研修動画の視聴、研修後のアンケートやレポート提出までをワンストップで行えます。

また、eラーニングに限らず、集合研修の出欠確認や事前資料配布、外部ウェビナーの履歴登録にも活用できます。このほかに、LMSによってはスマートフォンやタブレットなどのモバイル端末に対応できるものもあります。

9-2.管理者用の機能

LMSの管理者用の機能として、研修の運営管理や進捗管理などの負担軽減につながる仕組みが搭載されています。

  • 受講対象となる個人やグループの登録
  • 研修の出欠やアンケート・レポートの管理
  • 個別の学習進捗状況や成績、学習履歴の管理

LMSを活用することで、これまで担当者の負担になっていた、対象者にその都度メールで研修案内や事後アンケートなどを送る業務を自動化できます。

また、個別の研修の受講状況や成績もLMS内で管理できることから、受講促進の声かけやフォローアップも簡単に行えるでしょう。このほか、LMSによっては掲示板機能や日報機能などを組み込めるものもあります。

9-3.教材作成用の機能

管理者用の機能の発展形として、LMS上で教材をまとめたり新たに作成したりする機能もあります。

  • 複数講座によるコース設定機能
  • 自社のオリジナル教材の作成機能
  • スキルセットごとのレコメンド機能

LMSに登録された複数の講座をグルーピングして「管理職1年目研修」「ハラスメント対策研修」などの体系的な学習コースの設定が行えるほか、自社オリジナルの教材をパワーポイント等から作成する機能もあります。

さらに、LMSによっては、個別のキャリアプランやスキルセットごとに教材をレコメンドする機能も搭載されています。

LMSの機能について詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしてください。

10.LMSを選ぶ際の6つのチェックポイント

実際に企業がLMSの導入を検討する場合、どのような点に気をつければ良いのでしょうか。まずベンダー選定までの流れを確認しましょう。

【ベンダー選定までの流れ】

  1. 各ベンダーの情報収集
  2. 必要な機能の絞り込み
  3. 要件定義と情報提供依頼
  4. 予算申請
  5. 契約締結


上記のうち、13の段階で役立つLMS選定のチェックポイントは6つです。

  • マルチデバイスに対応しているか?
  • 自社教材の作成機能はあるか?
  • SCORM規格に対応しているか?
  • 人事システムとの連携は可能か?
  • 自社の用途・目的に合った機能の要件定義は済んでいるか?
  • サポート体制は十分か?

    10-1.マルチデバイスに対応しているか?

    LMSの導入にあたって、マルチデバイスに対応しているかどうかはまず確認したいポイントです。

    タブレットをメインで使用している現場での研修や、スキマ時間にスマートフォンで研修動画を視聴したいニーズに応えられるかは、従業員の使い勝手のよさや研修の受講率を上げる決め手になります。

    10-2.自社教材の作成機能はあるか?

    LMSを最大限活用するために、自社で作成したパワーポイントやエクセルなどからeラーニング教材を制作できる機能があると便利です。

    ベンダーが持つ教材や外部のeラーニング教材にプラスして、自社独自の研修教材を内製している企業は少なくありません。LMS上で研修教材の制作・配信までワンストップで行えば、制作コストの削減と利便性の向上につながるでしょう。


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    10-3.SCORM規格に対応しているか?

    eラーニングには、インターフェースやデータ形式を規定した標準規格があり、現在一般的な企業で使われているeラーニング教材やLMSの多くは「SCORM1.2」または「SCORM2004」に準拠しています。

    このSCORM規格によって、コンテンツとプラットフォーム間のデータのやりとりに互換性が確保されます。1つのLMS上で異なる会社のeラーニング教材を管理できるうえ、LMSを途中で乗り換える場合でも、それまでの受講者の学習履歴や自社で内製した教材を引き継ぐことが可能です。

    将来的にLMSを変更する必要が生じた場合への備えにもなりますので、SCORM規格への対応は必ずチェックするようにしましょう。

    10-4.人事システムとの連携は可能か?

    各従業員の研修履歴を管理するLMSは、その性質上、人事システムと同じ従業員データを持っていなくてはなりません。

    従業員の異動や採用、大規模な組織改変などがあった際、LMS側でも遅滞なくユーザー情報が更新されていないと、導入研修すらままなりません。自社の人事システムと導入予定のLMSが連携できるかは、必ず確認しておきたいポイントです。

    10-5.自社の用途・目的に合った機能の要件定義は済んでいるか?

    上記のほか、従業員のスキルを一元管理して人材の育成・活用に役立てるタレントマネジメント機能や、個別のキャリアプラン策定に役立つキャリアマップ機能などを備えているLMSもあります。

    自社の用途・目的に合った機能を洗い出し、導入候補のLMSに求める機能の要件定義を行いましょう。

    なお、LMSイニシャルコストやランニングコストは、同一LMSでも組み込む機能や使い方によって大きく変わります。要件定義はできる限り詳しく行い、複数ベンダーに見積もりを取る際は同一要件で比較すると検討しやすくなります。

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    10-6.サポート体制は十分か?

    LMSを導入して社内に定着させるためには、ベンダーからのサポートが欠かせません。導入にあたってどのようなサポートが受けられるのか、導入支援の内容や直接対応の有無、導入後のフォローアップ、対応時間などを確認しておきましょう。


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    ライトワークスのサポート体制を見る

    より詳しいLMSベンダーの選び方はこちらの記事を参考にしてください。ベンダー比較表のサンプルも紹介しています。

    下記コラムでは、LMSベンダーである当社がお客様からよくいただくご質問をリストアップしています。LMSを選ぶにあたってベンダーに確認すべきことが知りたい方は、こちらを参考にしてください。

    LMSの導入事例もご参照ください。

    ⇒ その他のLMS・eラーニング導入事例を見る

    LMS(学習管理システム)に関するよくあるご質問を見る

    11.まとめ

    LMSは、主に企業や教育機関において、eラーニングやオンライン研修などを実施する際のプラットフォームになるシステムです。

    LMSによって実現可能なことは大きく4つです。

    • 教育のオートメーション化
    • 学習状況の可視化
    • 学習履歴(データ)の蓄積と活用
    • あらゆる学習施策の統合管理

    LMSとeラーニングの違いは、オンライン学習だけでなくオフラインの現場研修や社外で受講した外部セミナーの履歴を含め、あらゆる学習履歴を総合的に管理できるプラットフォームである点です。

    企業LMSが必要とされる理由は以下の通りです。

    • 人手不足の深刻化
    • 従業員のキャリア観の変化
    • 人的資本経営への取り組み

    LMSは以下のようなメリットを企業にもたらします。

    • 人事・人材開発部門の負担軽減
    • 教育効果の向上
    • データドリブンな人材開発が可能

    一方、LMSデメリットとしてイニシャルコストとランニングコストがかかる点に注意が必要です。また、業務的なコストには次のようなものがあります。

    • 導入目的や使い方のガイダンス
    • 自社に合わせたマニュアルの作成
    • 実際の運用で発生する問い合わせ対応

    一般的なLMSが搭載している主要な機能は、次の通りです。

    ●受講者用の機能

    • 教材や動画の受講/申し込み
    • アンケートやレポート等の提出
    • 受講申し込み状況や学習履歴の管理 

    ●管理者用の機能

    • 受講対象となる個人やグループの登録
    • 研修の出欠やアンケート・レポートの管理
    • 個別の学習進捗状況や成績、学習履歴の管理 

    ●教材作成用の機能

    • 複数講座によるコース設定機能
    • 自社のオリジナル教材の作成機能
    • スキルセットごとのレコメンド機能

    このほか、LMSによっては、個別のキャリアプランやスキルセットごとに教材をレコメンドする機能も搭載されています。

    LMSの選定にあたって確認すべきポイントは次の通りです。

    • マルチデバイスに対応しているか?
    • 自社教材の作成機能はあるか?
    • SCORM規格に対応しているか?
    • 人事システムとの連携は可能か?
    • 自社の用途・目的に合った機能の要件定義は済んでいるか?
    • サポート体制は十分か?

    LMSは、人事部門の負担を軽減しながら、人材育成を管理し人的資本経営をサポートできます。従業員の能力向上への投資として、LMSはぜひ活用したいシステムといえるでしょう。

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    企業向けLMS徹底比較

    [1] 経済産業省「人的資本経営の実現に向けた検討会報告書~人材版伊藤レポート2.0~ 令和4年5月」(閲覧日:2022年12月26日)
    [2] 厚生労働省「職場における学び・学び直し促進ガイドライン」を策定しました,『厚生労働省』(閲覧日:2022年12月26日)

    参考)
    三菱UFJリサーチ&コンサルティング「企業人事部門アンケート 「ジョブ型雇用の実態調査」の 結果概要」, 2021年11月16日, https://www.murc.jp/library/report/cr_211116/ (閲覧日:2023年1月23日)
    エン・ジャパン株式会社「『エン転職』1万人アンケート(2021年8月)「ジョブ型雇用」実態調査」, 2021年8月6日, https://corp.en-japan.com/newsrelease/2021/26845.html (閲覧日:2023年1月23日)

    株式会社ライトワークス プロダクト企画チーム セクションマネージャー/CAREERSHIPエバンジェリスト

    柴山 雄太

    今まで300社以上のLMS導入案件をご支援してきたライトワークスのLMS「CAREERSHIP」のプロダクト企画リーダー。CAREERSHIPエバンジェリストの称号を持つ。
    趣味は日本企業とミライのあるべき人材開発の仕組みを一緒に考えること。

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