LMS(学習管理システム)とは?専業ベンダーが基礎から選定ポイントまで徹底解説

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「在宅勤務の社員のうち、このeラーニング講座の未修了者に声かけしたい」
「研修後に理解度テストを行い、効果検証をしたい」
「同業他社で不適切な事案があったので、営業部門の全員に、1週間以内にコンプライアンス研修を受けてほしい

自社の研修運用をもっと効率的、効果的にしたいと考える担当者は少なくありません。

事業規模が拡大して組織の階層が増えるほど、そのポジションに求められるスキルや知識も細分化されます。一方で、研修担当者の間では、研修の運用や管理も複雑になり、対象者のピックアップや出欠管理、成績管理などへの負担が増えたという声も。

このような状況を受け、企業において、eラーニング講座や研修の配信・運用・管理を効率化するために、LMS(学習管理システム)を社内の学習プラットフォームとして活用するケースが増えています。

そこで本稿では、LMSの基本的な仕組みからメリット・デメリット、選定時に気をつけたいポイントまで詳しく解説します。LMSの導入を検討する際に、ぜひ参考にしてください。

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1.LMS(学習管理システム)とは

LMSとは「Learning Management System(ラーニングマネジメントシステム)」の略で、日本語では「学習管理システム」と訳されます。主に企業や教育機関において、eラーニングやオンライン研修などを実施する際のプラットフォームになるシステムです。

LMSの多くは、Google ChromeSafariMicrosoft EdgeなどのWebブラウザから利用できるSaaS型クラウドサービスとして提供されます。ほかにはモバイルアプリ型や、自社サーバーにインストールするオンプレミス型もあります。

LMSによって実現可能なことは大きく分けて四つです。

  • 教育のオートメーション化
  • 学習状況の可視化
  • 学習履歴(データ)の蓄積と活用
  • あらゆる学習施策の統合管理

 

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1-1.教育のオートメーション化


従来の研修では、担当者が研修対象者をリストアップし、日程調整や会場の設置、教材準備や当日の出欠確認などを行う必要がありました。

一方、LMSを活用した研修では、担当者は教材や動画をLMSに登録し、条件に合致する従業員に一斉通知で研修案内を送信すれば完了です。あとは従業員が自身の都合のつくタイミングで研修を受講できるため、リソースの大幅な節約が図れます。

さらに、「中途採用者に段階を踏んでオンボーディング研修を受講させる」「研修後の確認テストの合格者のみ、次のステップに進行させる」といった教育の自動化も可能になります。

 

1-2.学習状況の可視化


LMSでは、各従業員がどの研修をどこまで受講したかが数字で可視化できます。そのため、未修了者へのリマインドや受講後のフォローアップが容易に行えます。

従業員側も、自身のスキルアップのために「この分野の学習が不足している」と視覚的に理解できるため、研修へのモチベーションも高まるでしょう。

1-3.学習履歴(データ)の蓄積と活用


LMSには、従業員ごとに研修の受講履歴や修了テストの成績などの学習履歴を蓄積・管理する機能があります。

安全衛生教育などの法的に義務付けられた必須教育の履歴管理に加え、個別の学習履歴を人材の育成や配置などのタレントマネジメントに活用する等の取り組みも進んできています。

 

1-4.あらゆる学習施策の統合管理

LMSは、eラーニングだけでなく集合研修や外部講習などの履歴もまとめて管理できます。

また、自社の独自教材を簡単に内製できるシステムが組み込まれていたり、タレントマネジメントシステムと連携できたりと、あらゆる学習施策の総合管理に活用できるLMSもあります。

 

2.LMSとeラーニングの違い

eラーニングとは、インターネットを通じて提供されるオンライン学習とその教材のことです。

一部のeラーニングサービスの中には、LMSと同じように受講者の学習状況や成績を管理できるものもあります。しかし、eラーニングサービスだけでは、オフラインの現場研修や社外で受講した外部セミナーの履歴は管理できません。

LMSは、eラーニングのみを管理するものもありますが、オフライン研修や外部セミナーなどの、あらゆる学習履歴を総合的に管理できるプラットフォームもありますので、「全体的な研修はA社の教材で、経理の専門的な研修はB社の教材を使いたい」というような複数の教育手段をブレンドした研修運用にも対応できるでしょう。

 

LMSとeラーニングの違い

 

3.LMSとオンライン研修の違い

オンライン研修とは、ZoomGoogle MeetなどのWeb会議システムを利用して行われる双方向型の研修を指します。

受講タイミングを選ばないeラーニングとは異なり、講師と受講者はリアルタイムで講義を行います。受講者が講師に直接質問したり、グループでディスカッションを行えたりするなど、オンライン研修はeラーニングにはない効果が期待できます。

LMSは、オンライン研修の申し込みや受講状況を管理するプラットフォームの役割を果たします。社内で行うオンライン研修だけでなく、外部セミナーの登録や受講管理もできるため、従業員それぞれの自己研鑽のデータを蓄積することも可能です。

 

4.企業にLMSが必要とされる理由

コロナ禍による在宅勤務の増加を背景に、LMSの導入に踏み切る企業も少なくありません。企業がLMSを必要とする背景には、人事部門の負担軽減と、従業員のキャリア自律や人的資本経営への取り組みがあります。

 

4-1.人事・人材開発部門の負担軽減

これまでの人材管理において、個々の従業員がどのような研修を受けてきたかの履歴管理は、十分とは言えませんでした。本人任せになっていたり、年度や研修ごとに受講者リストが分散したりと、横断的な情報管理が進んでいない企業も少なくありません。

LMSを導入することで、教育の自動化や従業員ごとの研修履歴の管理が容易になり、人事部門の負担軽減につながります。

 

4-2.従業員のキャリア自律


これまでのメンバーシップ型の人事制度では、従業員のキャリアは会社都合に左右される傾向がありました。その業務に必要な知識が乏しい人材が配属されたり、必要な研修を受けないまま管理職になる人がいたりと、配属先でアンマッチを起こすケースもよく見られました。

このため、近年は職務に応じてジョブ型の人事制度を取り入れる企業も少なくありません。また、従業員の側にも「もっと主体的にキャリアを開発したい」という意識が芽生えつつあります。

キャリア開発に活用できる機能として、当社のLMSCAREERSHIP」にはスキルマップ」機能が搭載されています。これは、各ポジションにおいて必要な知識や技能を習得するために、推奨する学習内容を紐づけられる仕組みです。


図:CAREERSHIPの実際の画面
自分と他社のスキルを客観的に参照出来たり、目指すポジションに求められるスキル項目と学習内容が確認できる。

このようなLMSを導入することで、獲得したいスキルに対する学習の指針が可視化されるため、従業員のキャリア自律を促す環境が整います。

スキルマップの活用事例や、CAREERSHIPの実際の画面をご覧になりたい方はこちら⇒無料ウェビナーを見てみる

 

4-3.人的資本経営への取り組み


サステナブルな企業価値の向上のために、従業員を「人的コスト」ではなく「投資すべき財産」と位置づける人的資本経営への関心が高まっています。

2022年5月に経済産業省が公表した「人材版伊藤レポート2.0[1]や、同年6月に厚生労働省が策定した「職場における学び・学び直し促進ガイドライン」[2]では、従業員の能力向上への投資が、企業価値の持続的な向上につながると提唱されています。

また、金融庁のディスクロージャー・ワーキンググループ[3]では、企業の有価証券報告書にサステナビリティ情報として「人材育成方針」「社内環境整備方針」などを記載する方向で検討が進められており、人的資本経営への取り組みは投資家の判断材料にもなると予想されます。

人事部門の負担を軽減しながら、人材育成を管理し人的資本経営をサポートする仕組みとして、LMSはぜひ活用したいシステムといえるでしょう。

 

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5.LMSの3つのメリット

LMSのメリット3つ

多くの企業では、すでに集合研修やeラーニングによる研修体制を構築していることでしょう。その上で、管理システムとしてLMSを導入した場合、企業にどのようなメリットがあるのでしょうか。

基本的なメリットとして、研修管理の省力化と個別に必要な研修を推奨するプッシュ型の研修運用が挙げられます。具体的には、種類の異なるeラーニング教材や内製教材をまとめて登録し同じプラットフォームから配信できる点や、条件に合致する人をピックアップして、自己申告ではなく先回りして必要な研修を推奨するプッシュ型の研修運用が容易に行える点です。

そのほかにも、LMSは以下のようなメリットを企業にもたらします。

  • ブレンディッドラーニングで効果的な教育ができる
  • 社員の自律的なキャリア形成に役立つ
  • データドリブンな人材開発が可能

 

5-1.ブレンディッドラーニングで効果的な教育ができる

LMSを使って集合研修とeラーニングを一元的に管理することで、それぞれの強みを生かしたブレンディッドラーニングが可能になります。

例えば、基礎知識の習得をeラーニングで行い、実践的なスキルの習得を集合研修で実施するといったように、反転学習やフォローアップを行いやすく、研修の効果がより高まるメリットがあります。

下記の記事では、LMSを使って対面研修とeラーニングを組み合わせたブレンディッドラーニングを実現している企業の事例をご紹介しています。

 

5-2.社員の自律的なキャリア形成に役立つ

メンバーシップ型雇用、ジョブ型雇用に関わらず、社内では職種や階層に応じてクリアすべきスキルセットがあります。

LMSにはスキルと紐づけた学習指針を示す機能を備えているものもあり、従業員自身が「この先のキャリアのために、何を学べば良いのか」を把握できるため、自律的なキャリア形成に役立てられるでしょう。

関連 ▶キャリア自律で強い組織作り 企業がすべき支援とは?成功事例も紹介(弊社ブログサイトへ移動します) 

 

5-3.データドリブンな人材開発が可能

LMSは、タレントマネジメントシステムと連携させることで、データに基づいた人材開発が可能になります。

各従業員の得意分野・苦手分野がデータでつかめるため、会社としてどのスキルを重点的に伸ばしていくか検討しやすくなり、足りていないスキルを伸ばせる業務にアサインすることも可能になります。

LMSを使うメリットについて、実際に企業内で行われる学習の流れに沿って確認したい方は下記の記事を参考にしてください。

6.LMSのデメリットは「コスト」

研修管理が容易になり、データドリブンな人材開発にも使えるLMSですが、やはりデメリットも気になるところ。LMSの導入を検討する際に注意したいのは、さまざまなコストがかかる点です。

6-1.イニシャルコストとランニングコスト

LMSの導入には外部の専用システムが必要になるため、導入時のコスト(イニシャルコスト)が発生します。

さらに、LMSは継続的な運用が必要なため、月額費用の負担(ランニングコスト)は避けられません。

ほとんどのLMSは利用人数で費用を算定するため、導入当初は限られた部署で試験的に運用し、効果を確認できたうえで全社に展開する方法がお勧めです。

6-2.業務上のコスト

LMSの導入には、システムの費用だけでなく、以下のような業務的なコストも伴います。

  • 導入目的や使い方のガイダンス
    • LMSを効果的に活用するために、導入した目的や使い方を従業員に説明します。マニュアルを提供したり、操作説明会を実施したりする例が多いようです。
  • 自社に合わせたマニュアルの作成
    • 自社独自の組織構造や教育施策に合わせた使い方のマニュアルも必要になります。特にLMSにカスタマイズを加えている場合は、マニュアルがあることで受講者がスムーズに学習することができたり、管理者の操作ミスを防止したりすることに役立つでしょう。
  • 実際の運用で発生する問い合わせ対応
    • 運用開始後の問い合わせに対応できる体制を整える必要があります。問い合わせに迅速に対応できる体制があると、受講者のストレスが減り積極的なLMSの利用に繋がります。

 

いずれのデメリットLMSの運用が軌道に乗れば負担は軽くなりますし、ベンダー側でサポート体制を有していることも多いので、まずは相談してみることをお勧めします。
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7.LMSの種類と特徴

企業がLMSを導入するにあたっては、オンプレミス型かクラウド型2種類から検討するのが一般的です。

 

7-1.オンプレミス型

オンプレミス型とは、LMSを自社のサーバーにインストールし、社内ネットワーク上で利用するタイプのことです。パッケージ購入型の会計ソフトと似たような仕組みと言えるでしょう。

オンプレミス型のLMSでは、サーバーの準備・構築等を行う必要があります。

自社のサーバー内でシステムが完結するため、セキュリティの機密性が高いことが特徴です。その反面、構築や開発、サーバーの管理など多くのリソースが必要になる点がデメリットとなるでしょう。

 

7-2.クラウド型

クラウド型は、外部のベンダー側のサーバーにLMSがインストールされ、社内からWebブラウザを使って利用するタイプです。クラウド型の会計ソフトを思い浮かべるとイメージしやすいでしょう。

企業側はインターネットを介してLMSを利用するため、自社でサーバーを準備する必要がなく、契約後に初期設定を済ませればすぐに使用できるのが特徴です。

ベンダーが提供するシステムを使用することが基本となるため、オンプレミス型と比較して自由度が低いサービスもありますが、少ないコスト・リソースで導入・運用ができるため、これからLMSを導入する場合には特別な理由がない限りクラウド型をおすすめしています。

「オンプレミス型」、「クラウド型」以外にも、LMSの種類については以下の記事で詳しく解説しています。

8.LMSの機能

一般的なLMSが搭載している主要な機能を、三つに分けて解説します。

 

8-1.受講者用の機能

LMSの主要機能であり、受講者のeラーニングをサポートする機能が中心です。

  • 教材や動画の受講/申し込み
  • アンケートやレポート等の提出
  • 受講申し込み状況や学習履歴の管理

 

LMSは学習プラットフォームとして、研修の申し込みから教材の受け取り、研修動画の視聴、研修後のアンケートやレポート提出までをワンストップで行えます。

また、eラーニングに限らず、集合研修の出欠確認や事前資料配布、外部ウェビナーの履歴登録にも活用できます。このほかに、LMSによってはスマートフォンやタブレットなどのモバイル端末に対応できるものもあります。

 

8-2.管理者用の機能

LMSの管理者用の機能として、研修の運営管理や進捗管理などの負担軽減につながる仕組みが搭載されています。

  • 受講対象となる個人やグループの登録
  • 研修の出欠やアンケート・レポートの管理
  • 個別の学習進捗状況や成績、学習履歴の管理

 

LMSを活用することで、これまで担当者の負担になっていた、対象者にその都度メールで研修案内や事後アンケートなどを送る業務を自動化できます。

また、個別の研修の受講状況や成績もLMS内で管理できることから、受講促進の声かけやフォローアップも簡単に行えるでしょう。このほか、LMSによっては掲示板機能や日報機能などを組み込めるものもあります。

 

8-3.教材作成用の機能

管理者用の機能の発展形として、LMS上で教材をまとめたり新たに作成したりする機能もあります。

  • 複数講座によるコース設定機能
  • 自社のオリジナル教材の作成機能
  • スキルセットごとのレコメンド機能

 

LMSに登録された複数の講座をグルーピングして「管理職1年目研修」「ハラスメント対策研修」などの体系的な学習コースの設定が行えるほか、自社オリジナルの教材をパワーポイント等から作成する機能もあります。

さらに、LMSによっては、個別のキャリアプランやスキルセットごとに教材をレコメンドする機能も搭載されています。

LMSの機能について詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしてください。

9.LMSを選ぶ6つのポイント

実際に企業がLMSの導入を検討する場合、どのような点に気をつければ良いのでしょうか。まずベンダー選定までの流れを確認しましょう。

  1. 各ベンダーの情報収集
  2. 必要な機能の絞り込み
  3. 要件定義と情報提供依頼
  4. 予算申請
  5. 契約締結

上記のうち、13の段階で役立つLMSの選定ポイントは6つです。

  • マルチデバイス対応
  • 自社教材の作成機能
  • SCORM規格への対応
  • 人事システムとの連携
  • 自社の用途・目的に合った機能の要件定義
  • サポート体制

 

9-1.マルチデバイス対応

LMSの導入にあたって、マルチデバイスに対応しているかどうかはまず確認したいポイントです。

タブレットをメインで使用している現場での研修や、スキマ時間にスマートフォンで研修動画を視聴したいニーズに応えられるかは、従業員の使い勝手のよさや研修の受講率を上げる決め手になります。

 

9-2.自社教材の作成機能

LMSを最大限活用するために、自社で作成したパワーポイントやエクセルなどからeラーニング教材を制作できる機能があると便利です。

ベンダーが持つ教材や外部のeラーニング教材にプラスして、自社独自の研修教材を内製している企業は少なくありません。LMS上で研修教材の制作・配信までワンストップで行えば、制作コストの削減と利便性の向上につながるでしょう。

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9-3.SCORM規格への対応

eラーニングには、インターフェースやデータ形式を規定した標準規格があり、現在一般的な企業で使われているeラーニング教材やLMSの多くは「SCORM1.2」または「SCORM2004」に準拠しています。

このSCORM規格によって、コンテンツとプラットフォーム間のデータのやりとりに互換性が確保されます。1つのLMS上で異なる会社のeラーニング教材を管理できるうえ、LMSを途中で乗り換える場合でも、それまでの受講者の学習履歴や自社で内製した教材を引き継ぐことが可能です。

将来的にLMSを変更する必要が生じた場合への備えにもなりますので、SCORM規格への対応は必ずチェックするようにしましょう。

 

9-4.人事システムとの連携

各従業員の研修履歴を管理するLMSは、その性質上、人事システムと同じ従業員データを持っていなくてはなりません。

従業員の異動や採用、大規模な組織改変などがあった際、LMS側でも遅滞なくユーザー情報が更新されていないと、導入研修すらままなりません。自社の人事システムと導入予定のLMSが連携できるかは、必ず確認しておきたいポイントです。

 

9-5.自社の用途・目的に合った機能の要件定義

上記のほか、従業員のスキルを一元管理して人材の育成・活用に役立てるタレントマネジメント機能や、個別のキャリアプラン策定に役立つキャリアマップ機能などを備えているLMSもあります。

自社の用途・目的に合った機能を洗い出し、導入候補のLMSに求める機能の要件定義を行いましょう。

なお、LMSイニシャルコストやランニングコストは、同一LMSでも組み込む機能や使い方によって大きく変わります。要件定義はできる限り詳しく行い、複数ベンダーに見積もりを取る際は同一要件で比較すると検討しやすくなります。

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9-6.サポート体制

LMSを導入して社内に定着させるためには、ベンダーからのサポートが欠かせません。導入にあたってどのようなサポートが受けられるのか、導入支援の内容や直接対応の有無、導入後のフォローアップ、対応時間などを確認しておきましょう。

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このほか、より詳しいLMSベンダーの選び方はこちらの記事を参考にしてください。ベンダー比較表のサンプルも紹介しています。

下記コラムでは、LMSベンダーである当社がお客様からよくいただくご質問をリストアップしています。LMSを選ぶにあたってベンダーに確認すべきことが知りたい方は、こちらを参考にしてください。

10.まとめ

LMSは、主に企業や教育機関において、eラーニングやオンライン研修などを実施する際のプラットフォームになるシステムです。

LMSとeラーニングの違いは、オンライン学習だけでなくオフラインの現場研修や社外で受講した外部セミナーの履歴を含め、あらゆる学習履歴を総合的に管理できるプラットフォームである点です。

LMSによって実現可能なことは大きく四つです。

  • 教育のオートメーション化
  • 学習状況の可視化
  • 学習履歴(データ)の蓄積と活用
  • あらゆる学習施策の統合管理

企業LMSが必要とされる理由は以下の通りです。

  • 人事・人材開発部門の負担軽減
  • 従業員のキャリア自律
  • 人的資本経営への取り組み

LMSの基本的なメリットとして、研修管理の省力化と、個別に必要な研修を推奨するプッシュ型の研修運用が挙げられます。そのほかにも、LMSは以下のようなメリットを企業にもたらします。

  • ブレンディッドラーニングで効果的な教育ができる
  • 社員の自律的なキャリア形成に役立つ
  • データドリブンな人材開発が可能

一方、LMSデメリットとしてイニシャルコストとランニングコストがかかる点に注意が必要です。また、業務的なコストには次のようなものがあります。

  • 導入目的や使い方のガイダンス
  • 自社に合わせたマニュアルの作成
  • 実際の運用で発生する問い合わせ対応

一般的なLMSが搭載している主要な機能は、次の通りです。

●受講者用の機能

  • 教材や動画の受講/申し込み
  • アンケートやレポート等の提出
  • 受講申し込み状況や学習履歴の管理 

●管理者用の機能

  • 受講対象となる個人やグループの登録
  • 研修の出欠やアンケート・レポートの管理
  • 個別の学習進捗状況や成績、学習履歴の管理 

●教材作成用の機能

  • 複数講座によるコース設定機能
  • 自社のオリジナル教材の作成機能
  • スキルセットごとのレコメンド機能

このほか、LMSによっては、個別のキャリアプランやスキルセットごとに教材をレコメンドする機能も搭載されています。

LMSの選定にあたって確認すべきポイントは次の通りです。

  • マルチデバイス対応
  • 自社教材の作成機能
  • SCORM規格への対応
  • 人事システムとの連携
  • 自社の用途・目的に合った機能の要件定義
  • サポート体制

LMSは、人事部門の負担を軽減しながら、人材育成を管理し人的資本経営をサポートできます。従業員の能力向上への投資として、LMSはぜひ活用したいシステムといえるでしょう。

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よくある質問と回答

Q.LMSの正式名称は?

A.LMSとは「Learning Management System」の略で、日本語では「学習管理システム」と訳されます。主に企業や教育機関において、eラーニングやオンライン研修などを実施する際のプラットフォームになるシステムです。

 

Q.LMSの種類は?

A.LMSには、大きくオンプレミス型とクラウド型の2種類があります。オンプレミス型は、LMSを自社のサーバーにインストールし、社内ネットワーク上で利用するタイプ。クラウド型は、外部のベンダー側のサーバーにLMSがインストールされ、社内からWebブラウザを使って利用するタイプです。

 

Q.LMSの仕組みは?

A.LMSには、学習プラットフォームとして、研修の申し込みから教材の受け取り、研修動画の視聴、研修後のアンケートやレポート提出までをワンストップで行える仕組みが搭載されています。研修の運営管理や進捗管理など人事部門の負担軽減につながる仕組みも備えています。

LMS(学習管理システム)に関するよくあるご質問を見る>>

[1] 経済産業省「人的資本経営の実現に向けた検討会報告書~人材版伊藤レポート2.0~ 令和4年5月」,https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinteki_shihon/pdf/report2.0.pdf(閲覧日:2022年12月26日)
[2] 厚生労働省「職場における学び・学び直し促進ガイドライン」を策定しました,『厚生労働省』,https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/newpage_26443.html(閲覧日:2022年12月26日)
[3] 金融庁「金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ報告 令和4年6月13日」,https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20220613/01.pdf(閲覧日:2022年12月26日)

参考)
三菱UFJリサーチ&コンサルティング「企業人事部門アンケート 「ジョブ型雇用の実態調査」の 結果概要」, 2021年11月16日, https://www.murc.jp/library/report/cr_211116/ (閲覧日:2023年1月23日)
エン・ジャパン株式会社「『エン転職』1万人アンケート(2021年8月)「ジョブ型雇用」実態調査」, 2021年8月6日, https://corp.en-japan.com/newsrelease/2021/26845.html (閲覧日:2023年1月23日)

株式会社ライトワークス プロダクト企画チーム セクションマネージャー/CAREERSHIPエバンジェリスト

柴山 雄太

今まで300社以上のLMS導入案件をご支援してきたライトワークスのLMS「CAREERSHIP」のプロダクト企画リーダー。CAREERSHIPエバンジェリストの称号を持つ。
趣味は日本企業とミライのあるべき人材開発の仕組みを一緒に考えること。

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