導入成功事例 〔日本財団ボランティアサポートセンター〕
大規模スポーツイベントを支える数万人のボランティア eラーニングで、誰もが使いやすい研修機会を提供する

〔日本財団ボランティアサポートセンター〕<br>大規模スポーツイベントを支える数万人のボランティア eラーニングで、誰もが使いやすい研修機会を提供する

世界中が注目する大規模スポーツイベント。その運営は、数万人のボランティアに支えられています。年齢、性別、スキルや経験もさまざまな人びとが、イベントの成功という、ひとつのゴールに向けて活動します。

一般財団法人日本財団ボランティアサポートセンターでは、日本財団グループのボランティア育成・運営のノウハウを活かし、ボランティアの育成や研修環境の整備などのサポートを行っています。スポーツイベント本番に向けた事前の研修には、eラーニングを活用した個別学習と対面での集合型研修がありますが、eラーニングのパートを担うシステムとして、ライトワークスの統合型LMS(Learning Management System:学習管理システム)「CAREERSHIP®」が採用されました。

大規模スポーツイベントにおけるボランティア研修のあり方、LMS導入の背景や「CAREERSHIP®」採用の決め手、「CAREERSHIP®」を使った研修の運用管理、さらに、新型コロナウイルス(COVID-19)のボランティア研修への影響などについて、一般財団法人日本財団ボランティアサポートセンター(以降、ボラサポ)の山田 周様、森 政太朗様に聞きました。

1.数万人のボランティア研修に最適なeラーニング

―今回なぜボランティア研修にeラーニングを導入しようと思われたのでしょうか?

森様: 研修を受講するボランティア側とボランティアの運用管理に携わる地方自治体側、それぞれの導入背景があります。まず受講者側でいうと、研修の対象がボランティアという点です。ボランティアは、年齢や職業等もばらばらであるため、その人の生活リズムに応じて、好きなタイミングで受講できる必要がありました。PC、タブレット、スマートフォンなど自身が使いやすいデバイスで、いつでもどこでも学べるeラーニングは、研修方法の1つとして大変適していると考えています。また、運用管理の面においては、今回、研修を実施する主体が私たちボラサポではなく、9つの自治体である、というところがポイントです。自治体が異なっても、ボランティアの方々に同じ質の研修が提供できるよう、共通のプラットフォームとしてeラーニングとLMSの活用を考えました。

 

―一般的な社員教育や組織内教育と比較して、ボランティアを対象とした研修だからこそ留意することはありますか?

山田様: ボランティアには学生や社会人、高齢の方や障害のある方などさまざまな方がいらっしゃいます。みなさんにボランティアとして活躍していただくため、オンライン研修で使うLMSには、高いアクセシビリティが求められます。今回は「JIS X 8341-3:2016」に規定されるJIS達成基準に準拠するという条件を付けました。

2.「CAREERSHIP®」選定の理由:豊富な機能と実績を評価

―数あるLMSの中から、「CAREERSHIP®」を採用いただいた理由を教えてください。

山田様: LMSの選定にあたり、先ほど述べた「JIS X 8341-3:2016」の他にも、セキュリティやシステム障害時の対応など、数多くの要件を提示していました。「CAREERSHIP®」は、それら要件をすべてクリアできていたので、高く評価しました。また、eラーニングの動画教材を視聴する際には、映像速度を変えて視聴する方も多く、その点、「CAREERSHIP®」では動画の速度調整が5段階あり、受講者側が好みの映像スピードを選択できるなど、受講者にとって便利な機能が揃っていたところなども、選定理由の一つに挙げられます。加えて、1万人を越す大規模なアカウントの運用実績が豊富にあることも、採用を決めた大きな要因でした。実績があってノウハウがあると、やはり安心します。

3.設計はシンプルに。誰もが使いやすいシステムに

―初期の運用設計はボラサポ様で実施されたと聞いています。リリース後の各自治体での運用を想定し、重視した点・気を付けた点などあれば教えてください。

森様: 自治体側が運営するにあたり、自治体職員の作業負担を極力減らせるような設計を心掛けました。自治体職員も私たちも、ITに強いかというとそうではないので、シンプルでわかりやすいものである必要がありました。そこで「CAREERSHIP®」の全ての機能を使うのではなく、今回のボランティア研修で必要な最小限の機能に絞り込む、という設計を行いました。実際のプロセスとしては、ボラサポから各自治体にヒアリングをした上で、より使いやすい設計をボラサポで整理し、自治体側に確認をするという手順で進めました。その過程で、ライトワークスの担当者に必要と思われる機能を選定・提案してもらいましたが、それをベースに検討できたのはありがたかったですね。おかげで、自治体職員が運用する際の負担を減らすことができたと思います。

4.円滑な運用管理と利用率向上のための取り組み

―自治体のご担当者へは、どのように運用方法のレクチャーをされたのですか?

森様: 2019年10月下旬に対象自治体の担当者に集まっていただき、運用管理のための研修会を開催しました。LMSの運用開始に向け、全員で集まれるのはその一度きりでしたので、一度でしっかり理解してもらえるよう、研修会のプログラムはかなり念入りに作りこみました。ライトワークスの担当者と相談した結果、説明を聴くだけになる受身の講義スタイルではなく、実際にLMSを操作してもらいながら、スキルの体得を目指す形式にしようと決めました。当日は、参加者ひとりにつき1台パソコンを用意し、講師であるライトワークス担当者の話を聞きながら、「ボランティア情報の登録方法」「教材用動画のインポートの仕方」など、具体的なLMSの操作を実際にパソコンでやってもらいました。研修会後には、理解度を計るためのテストも実施しました。LMSの利用を開始してからこれまで、運用方法についての問い合わせはほとんど無かったと聞いているので、10月の研修会は狙い通りうまくいったと考えています。

 

―運用が始まってからは、どのように自治体のみなさんと情報交換をされたのでしょうか?

森様: 2週間に一度、全国の平均受講率を出し、各自治体の担当者に伝えました。自治体ごとのミッションがありますので、受講率が全国平均を下回っていた自治体では、受講の呼びかけを強化するなど工夫して取り組んだ例もあったようです。また、ボラサポとしても、LMSへのログイン方法の動画を作成しました。ボランティアには比較的ご高齢の方も多く、ITツールに不慣れな方もいらしたので、テキストでの説明だけではログイン方法がわからないケースもあるのではと考え、実施した取り組みです。その動画をボランティアに案内したいくつかの自治体では、ログイン率が向上したと聞いています。

 

 

―教材としては、どのようなものをご用意されたのですか?

山田様: 全員を対象とした共通の教材として、イベントの意義やボランティアとしての心構え、障害のある方へのサポート方法を解説する教材などを用意しました。その他に、観光情報や熱中症対策などのオリジナルコンテンツを各自治体が独自にアップしています。教材はすべて動画形式で、見やすくわかりやすいよう意識しました。実際に動画教材を見た受講者の方からも、車いす使用者へのサポートの仕方などがわかりやすかったとの声をいただいています。

5.ボランティア研修の現状と今後

―イベントの本番はまだこれからですが、現時点でeラーニングの効果をどのように評価していますか?

森様: 各自治体の担当者や受講者の方からの評判は良く、満足度も高いです。運用期間を通して、非常にスムーズに、質の高い研修が実施できたと考えています。

 

―新型コロナウイルス(COVID-19)の流行で、イベント自体も延期になりましたが、ボランティア研修にも影響があったのではないですか?

森様: コロナ禍で、多くの方が集まる集合型の研修が延期や中止になりました。千葉県では2~3月に予定していた集合型研修の一部をeラーニングに置き換えて実施したり、その他の自治体でもeラーニングによるコンテンツ配信を追加で行いたいとの要望が出たりしたため、eラーニングの配信期間を当初予定から1カ月半ほど延長しました。想定外のことではありましたが、eラーニングのプラットフォームがあったからこそ、代替できたものも少なくなかったと感じています。

 

―今回の経験を踏まえ、今後さらにeラーニングでのボランティア研修を強化するとしたら、LMSに追加したい機能や実現したいことはありますか?

山田様: コロナ禍の状況の中、しばらくはオンラインでの研修が主流になっていくと思います。今回は敢えて機能を絞り込んだこともあり、私たちが提供しているeラーニングは、動画配信を中心とした一方向のもののみですが、ウェビナーやオンライン・ミーティングなど双方向の形式も取り入れたりして[1]、ボランティアの皆さんとのコミュニケーションが、より多様なものになっていくと良いなと思っています。

[1]CAREERSHIP®」では、Web会議システムと連携し、Web会議出欠管理、会議映像の事後教材化などの機能を提供しております。https://www.lightworks.co.jp/news/7229

6.まとめ

大規模スポーツイベントを縁の下で支えるボランティア事業は、年齢や職業、障害の有無に関わらず、さまざまな方に活躍の機会があります。多様なボランティアの方に合わせて、誰もが使いやすいシステムを設計し、いつでもどこでも研修機会が提供できるeラーニング。私たち自身も改めてその可能性を感じるインタビューとなりました。

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