導入成功事例 〔トヨタ紡織株式会社〕コロナ禍を機にeラーニングが教育の主流に。 国内外・累計約43万人が受講する、“教育の可能性を止めない”LMS

〔トヨタ紡織株式会社〕コロナ禍を機にeラーニングが教育の主流に。 国内外・累計約43万人が受講する、“教育の可能性を止めない”LMS
課題
・勤務の場所・時間に左右されない受講環境作り(動画教材・スマートフォン・多言語対応など)
成果
・同一システム上で受講管理・テストを行えるようになり、年間約300時間の工数を削減
・eラーニング導入を契機にコンテンツ内容が見直され、より充実した内容へ改良。
・多言語対応でのeラーニングが可能となり、海外拠点への教育展開に成功。累計受講者も約43万人へ拡大。

自動車のインテリア・エクステリア、ユニット部品、航空機のシートなどを製造するトヨタ紡織株式会社(以降、トヨタ紡織)。国内15の関係会社に加え、ヨーロッパ・アメリカ・中国・タイなど海外各地に拠点を持ち、全世界に製品を提供しています。

トヨタ紡織では、20182月に、それまで使用していたeラーニングツールからのシステム移管を実施し、新たなシステムとして多言語対応可能なLMS(学習管理システム)「CAREERSHIP」を導入しました。

コロナ禍を経て、「CAREERSHIP」を活用した教育は国内外へと広がっていき、2022年度までの累計受講者は約43万人に達するまでになりました。さらに2023年度には、「CAREERSHIP」での教育を展開する海外拠点を増やしていく計画が進行中です。

CAREERSHIP」の導入経緯や活用方法、関係会社も含めた利用拡大のための取り組みや今後の展望などについて、トヨタ紡織の国内外R&D部門の教育をミッションとするグローバル技術管理部の加藤GM、三ヶ島様、脇坂様、DXIT推進を担うビジネス改革推進部の加藤様、高橋様にお話を聞きました。[1]

[1] 2023年3月 取材当時の情報です。

各業界における人材育成の課題と解決方法をまとめた事例集

各業界における人材育成の課題と解決方法をまとめた事例集

1. イントロダクション:「CAREERSHIP」との関わり

―まずは、今日ご参加いただいた皆さんそれぞれの所属部署と「CAREERSHIP」との関わりについて教えてください。

グローバル技術管理部 加藤様:グローバル技術管理部 技術統括室 R&D人事・育成グループのグループ長をしている加藤です。当グループは、RD(※設計/実験などの技術開発部門)の人事・人材育成業務の企画・実行を役割としています。

今回の主題である人材育成については、R&Dに配属される新入社員への基礎的な技術教育や技術専門教育(RDに所属する社員を対象とした階層別専門教育)などを実施しています。「CAREERSHIP」は主に上記の教育の中で導入を進めてきました。

グローバル技術管理部 脇坂様:加藤GMと同じグローバル技術管理部の技術統括室に所属している脇坂です。国内における技術専門教育を担当しています。国内の技術専門教育においては2020年度から「CAREERSHIP」を使用しています。

グローバル技術管理部 三ヶ島様:同じくグローバル技術管理部 技術統括室に所属している三ヶ島です。海外拠点を対象とした技術専門教育を担当しています。海外拠点での「CAREERSHIP」活用は国内専門教育同様、2020年から開始しています。2023年度はさらに「CAREERSHIP」活用を大幅に拡大する計画を進行中です。

ビジネス改革推進部 加藤様:ビジネス改革推進部では、システムの開発や導入推進を担当しており、「CAREERSHIP」は2017年度の導入検討段階から関わっています。

ビジネス改革推進部 高橋様:同じくビジネス改革推進部にて、システム側の立場から「CAREERSHIP」に関わっています。導入前はeラーニングシステムの製品調査・選定に始まり、導入時は「CAREERSHIP」と人事システムの人事情報・受講履歴連携の構築、現在は、各部署や関係会社のシステムサポートをしています。

2. LMSの選定と導入:自社の教育に合うシステムを見極める

―2017年にさかのぼって、「CAREERSHIP」導入の背景をお聞かせいただけますか?

ビジネス改革推進部 加藤様:もともと使用していた他社のeラーニングツールがあったのですが、サポート終了になり使えなくなるということで、新たなシステムを導入する必要がありました。

人事部が主管部署となり、そこに教育機会の多いグローバル技術管理部・生技管理部・TQMTotal Quality Management)推進室・品質保証部・法務部を加え、eラーニング検討のワーキンググループを組成し、プロジェクトをスタートしたのが20179月です。

 

―具体的にはどのように検討・選定を進められたのでしょうか?

ビジネス改革推進部 加藤様:まずは、各部署に将来も見据えて、eラーニングへの要望を出してもらいました。従来のツールは動画教材が使えず、スマホでのアクセスも不可。もちろん多言語対応もしていませんでした。新たに導入するシステムでは、現ツールにある機能だけでなく、各部署の要望が実現できそうなパッケージを探しました。

結局、8社の製品をピックアップして、費用や操作性、受講管理・進捗管理・教材管理の機能、アクセシビリティや汎用性、セキュリティなどの項目で評価しました。同時に、トヨタグループの各社にも使用しているeラーニングについてヒアリングし、最終候補として「CAREERSHIP」と他社1製品が残りました。

この2製品に、機能的な差異はあまりなかったのですが、最終的な決め手は、当社での活用方法に適しているかという観点でした。

当社では教育を主催するのが人事部だけでなく複数部署あるため、教育担当者(アイテム管理者)の人数が100人規模になることが想定されていました。他社製品は、少人数の教育担当者での運用を想定したシステムだったため、「CAREERSHIP」の方が当社の運用に適しており、決定しました。

3. LMS活用の土台:運用ルール作りとポータルサイトでの情報発信

 ―「CAREERSHIP」の採用が決まり、運用開始に向けた設計・導入プロセスで苦労したことや意識したことはありますか?

ビジネス改革推進部 加藤様:将来的には、これまでeラーニングを使ったことのない部署や関係会社も使う想定で、どんな風に「CAREERSHIP」を活用すべきか、運用ルールをどうすべきかアイデアを出し合って決めていきました。このような運用ルールをゼロから作るのはとても大変でしたが、円滑な運用のためには重要なことと考えていました。

 

―運用ルールとしてどのようなことを決めていったのですか?

ビジネス改革推進部 加藤様:まずは、そもそもCAREERSHIP」は何を目的とするもので、何を公開するものなのか、対象を明確にしました。CAREERSHIP」を使う対象は、「社員の受講実績を管理する必要があるもの」と定義し、例えば全社向けの階層別教育や、各部署において業務上必要な専門教育など、としました。

一方、「受講が任意のもの、あるいはマニュアル閲覧のように受講期間が定められていないもの」は対象外としています。何でも公開対象にしてしまうと、本当に受講すべきものが不明確になる、あるいは、文書管理システムとの使い分けが曖昧になり、文書管理が煩雑化してしまうためです。

また、「CAREERSHIP」の目的明確化の他に、新規でeラーニングを主催したい部署向けの利用申請や、教材コンテンツIDのネーミングルール、関係会社が使用する際の課金ルールなども決めていきました。

 

―運用ルールは社内や関係会社の教育担当がいつでも見られるようになっているのでしょうか?

ビジネス改革推進部 加藤様:コロナ禍を機に、各部からのeラーニング利用要望が増えていきました。新たに利用を開始する部署に必要な情報を確認してもらえるように、ポータルサイトを作成しました。運用ルールや利用開始までの流れ、注意事項なども掲載しています。

ビジネス改革推進部 高橋様:問い合わせの多い項目は資料化してポータルサイトに掲載しています。ルール的なことだけではなく、活用事例、部署ごとの開催講座数や受講者数、関係会社の利用状況などの情報も掲載しています。

 

―LMSの運用ルールやポータルサイトでの情報発信は、参考にされたい企業さまも多そうです!

4. 「CAREERSHIP」活用の広がり(1):国内

 ―社内の「CAREERSHIP」活用はどのように広がっていったのでしょうか?

グローバル技術管理部 脇坂様:グローバル技術管理部で行っている国内の技術専門教育については全部で約30講座あるのですが、2019年度までは全て対面で実施していました。2020年度のコロナ禍で対面の教育を中止せざるを得なくなったことを機にeラーニング「CAREERSHIP」での教育を開始しました。

現状、約7割が「CAREERSHIP」に置き換わっています。残りの3割はMicrosoft Teamsを使ったオンライン教育と対面の教育です。

知識の習得などの座学的な部分は「CAREERSHIP」を活用し、部品や製品を見る・体験することが必要な教育では、現地現物を織り込んだ教育を行っています。教育の目的や理解度促進につなげるためにはどうしたらよいかという点を踏まえて、最適な教育方法を選択するようにしています。

ビジネス改革推進部 加藤様:eラーニングでの受講以外に、講座開講前の受講募集から受講後の確認テストの採点まで、一連で「CAREERSHIP」の機能を使って実施するようになったんですよね。

グローバル技術管理部 脇坂様:そうですね。eラーニングを導入してからもしばらくは、受講募集の案内や申し込みの集約、受講後のテストは「CAREERSHIP」を使わずに行っていました。特に受講後のテストは印刷物を配付して実施していたため、事務局での採点・返却などに時間がかかっていました。

2021年度の下期から「CAREERSHIP」で一気通貫して行うようになったことで、年間約300時間の工数削減が実現しました。

 

―約300時間の削減というのは大きいですね。

ビジネス改革推進部 加藤様:IT部門が主催するセキュリティ教育は、導入当初から「CAREERSHIP」で確認テストまで行っていたのですが、部署によって講座の数も違いますし、状況はさまざまでした。

 

―関係会社についてはどうだったのでしょうか?

ビジネス改革推進部 加藤様:国内の関係会社については、2019年度から、eラーニングを含む事務系システム全般に関して、関係会社間で標準化していこうという活動がスタートしました。その活動の一環として、関係会社が参加する日本地域IT委員会という会議体の中で、「CAREERSHIP」を紹介しました

トヨタ紡織での活用事例のプレゼンテーションを行い、利用意向があった関係会社については、試行期間を設けた上で、正式導入という流れで進めていきました。そのトライアルから正式導入あたりにコロナ禍になって…というようなタイミングだったと思います。

 

―コロナの教育への影響は大きかったでしょうか?

ビジネス改革推進部 加藤様:先ほどグローバル技術管理部の話でもコロナ禍を機に教育が「CAREERSHIP」に置き換わったという話がありましたが、以前は、トヨタ紡織の教育は対面が主流で、eラーニングコンテンツは劇的には増えませんでした。

しかし、2020年度にコロナ禍が到来してeラーニング化が一気に進み、今では422講座がeラーニングになっています。単なる紙→データへの置き換えではなく、「CAREERSHIP」によりコンテンツ内容が見直され、デジタル教育のメリットを実現できたのは、非常に良かったと思います。

 

 

―確かに、受講者数の推移を見てもコロナ以後、大きく伸びていますね。累計受講者約42万9千人というのはすごい数字です。

ビジネス改革推進部 加藤様:人事部からも「CAREERSHIP』があったから、コロナ禍がスタートした2020年に教育を停滞させることなく進められた。導入しておいて本当に良かった」と言われており、やはりコロナ禍が大きな転機となってeラーニングでの教育の重要度を実感した、という事実はあると思います。

5. 「CAREERSHIP」活用の広がり(2):海外

―海外拠点での「CAREERSHIP」を活用した教育の状況を教えてください。

グローバル技術管理部 加藤様:背景からお話しすると、トヨタ紡織の海外拠点はアメリカ、アジア・オセアニア、中国、ヨーロッパ・アフリカと大きく4つの地域に分かれており、各海外拠点では、それぞれトヨタ自動車様をはじめ各OEM向けの開発・生産を行っています。

日本国内の技術専門教育では、基礎的な工学知識や品番・部品表などの社内の基本ルールなど、設計・開発をするために必要な知識を得るための講座を実施しています。上記 知識は、海外拠点で設計・開発をする上でも必要となるため、以前から一部の教育を海外拠点にも展開してほしいという要望がありました。

CAREERSHIP」導入前までは、本当に重要な講座に限って現地に講師が赴いて教育を行う、または日本からの出向者が暫定的に講義を行うなどの対応をしていました。

現地で講師を立てて教育をしてもらうことも検討していましたが、拠点・講座によっては講師をできる人材がおらず中々思うように進んでいなかったのが実状でした。CAREERSHIP」の導入により多言語対応でのeラーニングが可能となり、海外拠点への教育展開を徐々に進められるようになりました。

 

―海外拠点においてはどのような方が受講の対象者なのでしょうか?

グローバル技術管理部 三ヶ島様:各海外拠点には、製品開発機能を持つ技術開発拠点と製品の生産を主事業とする生産事業体があります。

CAREERSHIP」の導入は、2020年度より技術開発拠点であるトヨタ紡織ヨーロッパからスタートとし、2022年度にはトヨタ紡織アメリカ・豊田紡織中国を加えた3拠点に展開を行っています。受講対象者は、製品設計/材料技術開発/電子技術などのRD機能に属するメンバーです。

 2023年度からは、トヨタ紡織アジア(技術開発拠点)と約10拠点の生産事業体への導入を計画しています。生産事業体においても、例えば図面や部品表などに関わる基礎知識を習得してもらい受講者のレベルアップ・業務品質の向上を図りたいと考えています。

現在は、国内の技術専門教育の中で海外拠点から特に要望の高い講座を中心に英語・中国語での展開を行っていますが、今後はさらに教育コンテンツの拡充を検討し組織全体での成長につなげていきたいと思っております。

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6. 「CAREERSHIP」活用の効果と今後の展望

 ―2018年の導入から5年目ですが、「CAREERSHIP」の効果をどのように評価されていますか?

グローバル技術管理部 加藤様:国内・海外両方にいえることですが、「CAREERSHIP」導入が教育コンテンツと対象者の拡大につながり、必要な人に必要な教育を、必要なときに届けられるようになりました。

対面での座学教育の場合、どうしても時間が限定され、業務の都合がつけられず受講機会を得られないという社員が少なからず存在していました。eラーニングで一定の期間を設けて講座を開講することで、フレキシブルに受講してもらえるようになったことは、価値ある変化だと思っています。

コロナ禍で初めてeラーニング全面導入となった際には、対面の講義と比較して、受講者の理解度がどうなるのかという点は懸念していました。

しかし、受講者へのアンケートでは、一部の現地現物が必要な講座を除けば、対面と同等の効果を得られているということが分かり、改めてeラーニングの効果を感じるとともに、より良い形での教育の在り方を考え、そして実行していきたいと感じました。

ビジネス改革推進部 加藤様:eラーニングのプロジェクト担当になった当時は、ここまで皆さんに使われるツールになるとは思っていませんでしたが、導入当初から「CAREERSHIP」の将来性は非常に感じていました。

2018年時点ではまだ、働き方改革も途中でしたが、人事部からも将来的に「ツールが原因で教育に制限がかかるようなことは避けたい」と強く要望されていました。クラウド環境で利用でき、トヨタ紡織だけでなく関係会社もいつでも利用できるもの、と考えると、「CAREERSHIP」が最適だったということかもしれません。

教育の可能性を妨げず、機会を広げていけるツールを導入することができて良かったなというのが、これまでを振り返って感じることです。

 

―今後「CAREERSHIP」を使ってどのような教育をしていきたいとお考えですか?

グローバル技術管理部 加藤様:中期経営計画の中でも示されている通り、トヨタ紡織が今後、事業領域を拡大し企業価値を向上させていくためには、社員一人一人がチャレンジし成長する、そして働き方・仕事のやり方を変革していかなければいけない、そういう状況下にあると考えています。

今後 求められる知識・能力も変わり、必要な教育も移り変わっていくことが想定されます。しかし、どのような教育であってもCAREERSHIP」でのeラーニングと対面、それぞれの良いところを生かしながら、最も受講者の理解度向上につながる方法を見極めることが大切です。

今後も日々改善のサイクルを繰り返し、社員・会社の成長につなげられるように国内外の教育を企画・推進していきたいと思っています。

 

―ありがとうございました。 

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