お客様にサービスを提供する店舗の現場では、どんな時であっても顧客対応が第一優先事項となります。
一方で、そのサービスを担うスタッフ、特に新人や若手の教育を同時並行で進めていかなければ、中長期的には店舗サービスの質が低下し、顧客満足度にも影響を及ぼしてしまいます。お客様対応に追われる中で、どのようにして新人教育を効果的・効率的に実施し、早期戦力化を実現していくか。これは、店舗を運営するあらゆる企業に共通する課題ではないでしょうか?
株式会社東急スポーツオアシスは、首都圏及び近畿エリアを中心に会員制フィットネスクラブ「TOKYU SPORTS OASIS」や温浴施設「港北天然温泉スパガーディッシュ」などを運営する会社です。社員に加え、全国の店舗で約1,600名のアルバイト/パートスタッフ(2018年6月末時点)が活躍する同社では、どのようにスタッフ教育を進めているのでしょうか?
東急スポーツオアシス 経営企画部 経営企画兼人事サブマネージャー 三宅雅也様、マーケティング企画部 広報担当 藪野真未様、そして店舗から本駒込店のサブマネージャー 平井朝実様にお話を伺いました。
※社名は取材当時のもの(現・株式会社スポーツオアシス)です。
各業界における人材育成の課題と解決方法をまとめた事例集
目次
1. 背景:新人かどうかは、お客様にとっては関係ない
―ライトワークスのeラーニングシステム「CAREERSHIP」導入前は、どのように新人スタッフの教育を実施されていたのですか?
三宅様 もともとは本社の中に教育部門があったのですが、個々の店舗の個性や独自性を尊重するという企業文化から、新人教育も各店舗でのOJTに委ねる形で実施するようになりました。他社のeラーニングも使っていましたが、必要最低限の項目をチェックする程度にしか使えていなかった、というのが実状です。
―店舗では、どのような事を重視して新人教育を進められているのでしょうか?
平井様 「ここ(スタッフルーム)を出たら1スタッフなんだよ。」という話をしています。お客様にとって、新人かどうかは関係ない。全員がクラブのスタッフですから、あいさつをすること、困っているお客様を見かけたら声をかけることを徹底するよう言っています。すべてのスタッフが、少なくとも一次対応はしっかりできることが重要だと考えています。
2. 課題:“お客様第一”だからこそ、教育にかける時間が足りない
―教育を進める上で、どのような課題がありましたか?
平井様 OJT担当のスタッフが新人の横に付いて教えている時や、研修の予定を入れている時でも、お客様対応が必要になれば、お客様が優先になり、教えるのは後回しになります。そうすると新人はどうしても放置状態になってしまい、モチベーション低下の原因になっていたと思います。新人を育てたい、という意識はあっても、求人を出して新人が入ってくるのは、そもそも店舗として人手が足りていない時です。そんな状況で、教えるための時間を確保するのはなかなか難しいと感じていました。
―本社ではいかがですか?
三宅様 本社としては、三つの人財育成上の課題を抱えていました。一つは新人の早期戦力化。二つ目は新人の定着率向上。そして三つ目がサービスレベルの均質化です。先ほど平井から話のあったような、店舗の状況も踏まえて、店舗の独自性は尊重するけれど、全店舗に共通して必要な知識やサービスに関する教育は、本社の方で体系立てて提供していこうという事になりました。活用できていなかったeラーニングを使えるものにする、という別の課題もあり、システムもライトワークスの「CAREERSHIP」に置き換えて、新人教育を体系化したのが2年前ですね。
3. 導入:いつ何が必要かを見極める体系化プロセス
―どのように教育の体系化を進めていったのでしょうか?
三宅様 体系化のためのプロジェクトを立ち上げ、人事からは私が参加し、各セクションからもそれぞれのスペシャリストに集まってもらって意見を出し合い、店舗の意見も聞きながら進めました。「週2回、4時間勤務の新人が2カ月間あれば一通り習得できる/習得すべきもの」を基準として、職種ごとに、“このタイミングに必要なことは何か”を見極めていきました。
―スペシャリストの方の頭の中にあるものを明文化・可視化するような作業だったのでしょうか?
三宅様 もともと教育のための資料はたくさんあって、各店舗でもその資料をベースにOJTを進めていたんです。ですので、体系化にあたっては、その膨大な資料の中から、本当に必要なものを選び取っていく作業が一つ。もう一つは資料にはないんだけれど、大事なこととして新人に伝えていることの明確化、という2軸で作り上げていきました。プロジェクトメンバーとして職人的な人たちが集まっているので、どうしても「あれもこれも必要」となりがちですし、サービス業なので、やろうと思えばどこまでも深掘りできるものを、整理してスリム化していくのは大変でしたが、こういった体系化やカリキュラム作りは、これまでやりたくてもできていなかったところなので、達成できてよかったと感じています。
―教材としてはどのようなものがあるのでしょうか?
三宅様 接客業ですので、土台となる共通項目として、私たちが大事にしている考え方や接遇、コンプライアンスなどがあります。あとはフィットネス、フロント、キッズコーチといった職種ごとの教材ですね。たとえばキッズスイミングコーチという職種で、新人はアシスタントとして付くのですが、子どもが泳ぐときの補助の仕方など、文章や写真だけではなかなか伝わらないものを、動画で見られるようにしています。
―教材の開発にはどれくらい時間を掛けられたのでしょうか?
三宅様 eラーニングの運用開始日が決まっていたので、全て1カ月半で作り上げました。ライトワークスの担当営業がコンサルタントのように伴走してくれて、体系化から教材作りまで、やるべきことを明確にし、スケジュールを引いて叱咤激励してサポートしてくれたおかげで実現できたと思います。
4. 効果:OJT時間の半減に向けて
―eラーニングの効果をどのように感じていますか?
三宅様 運用を開始するにあたって、OJT担当スタッフが新人の指導にかけていた時間を半減し、空いた時間を他の業務に振り分けられることを期待していました。詳細に時間を計測できているわけではありませんが、eラーニングでベース作りをしてOJTでしっかり身に付けていく、という流れができたことで、確実に時間や労力が削減できていると思います。
平井様 冒頭でお話したように、研修の予定が急に延期せざるを得なくなったり、お客様対応で新人のケアをできなかったりといった際に、以前ですと、新人はただ待っていることしかできなくて、その時間が無駄になっていたものが、eラーニングで自主学習を進めてもらうという選択肢ができたことは、現場としてはありがたいですね。
薮野様 私も3月末までは店舗で勤務していたのですが、かなり忙しく、アルバイトスタッフも多い店舗に所属していました。お客様の対応をしながら数多くのアルバイトを管理していくのは大変なのですが、「CAREERSHIP」では個々のスタッフの学習の進捗や熟練度が簡単にわかるので、指導する側としては、「eラーニングで続きを進めていて」というシンプルな指示ができます。アルバイトスタッフの方も、どこまで学習したか自覚しているスタッフは少ないと思うのですが、ログインすれば自分の進捗度合いがわかり、簡単に取り組んでもらえるので、随分助けられました。
5. 今後の取り組み
―2年間の運用を経て、今後はどのようなことに取り組んでいきたいですか?
三宅様 これまでは対象がアルバイト/パートのみでしたが、新入社員やマネジメント職になりたての人に向けたカリキュラムも提供できればと考えています。また、個々の店舗での良い取り組みを共有するツールやスタッフの資格情報を検索・閲覧できるツールとしても活用できるので、当社の企業文化に合う、スタッフや社員が自ら学んでいくためのプラットフォームとして発展させていきたいと思います。
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常に状況が変化する店舗の現場で、お客様にしっかりと対応しながら新人を育てていくことの難しさを改めて再認識したインタビューでした。
ライトワークスでは、さまざまな業種にわたる顧客企業への導入経験をもとに、店舗のスタッフ育成・活用のための仕組みを提供しています。熟練度合い、経験、役職などの切り口で、自動で教材を配信することも可能です。店舗教育を効率化したい、効果を上げていきたいお客様からのご相談をお待ちしています。
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