導入成功事例 〔株式会社サザビーリーグ・後編〕「CAREERSHIP」でコミュニケーション活性化と教育拡充の仕組みを構築。自律的キャリア形成を推進する

課題
・店舗スタッフとホールディングスとの直接的なコミュニケーション方法がなく、店舗との距離が遠かった。
・スタッフのリテンション向上と自律的キャリア形成のための仕組みをつくる必要があった。
成果
・「CAREERSHIP」でスタッフとの直接コミュニケーションが実現したことで、LMSへのログイン率が増加。キャリア相談の件数はコロナ前の2.8倍にまで上昇。
・対面研修とeラーニングを組み合わせた「ブレンディッド・ラーニング」も推進。

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各業界における人材育成の課題と解決方法をまとめた事例集

各業界における人材育成の課題と解決方法をまとめた事例集

自律型キャリア形成に向けた「CAREERSHIP」の活用

―具体的に、どのように「CAREERSHIP」の機能を活用していらっしゃるのか教えてください。

志水様:具体的な活用事例では、研修のやり方がすごく変わったなと思います。集合研修をオンラインに切り替えると、参加者同士の関係性を育むのがリアルで会うのに比べて難しくなるじゃないですか。そこで、研修ごとにルームを立ち上げて、参加者には研修前にまず写真付きで自己紹介してねと言っています。どのブランドで働いていますとか、こんなことを趣味にしています、という風に、前もって参加者同士がお互いを知り合う機会を作って、研修に向けた緊張をほぐしています。参加者同士だけでなく、最近は、講師が自己紹介しつつ、研修の目的や意図を説明する動画を事前にアップするようにしました。これによって個々の参加者が、自分なりの研修に参加する動機を持った上で、研修に臨めるようになってきています。

 

―研修の効果を高めるために、いろいろな工夫をされているのですね。

志水様:やはり研修は、プロセスにしていかないと知識の定着につながらないので、ルームを使って、プロセス化を進めています。例えば、研修に参加して、次の研修まで1ヶ月ある場合、その間に学んだことを実践してもらい、その内容をルームで共有してもらって、次の研修に参加するようにしていて。このような方法を取ることで、ただ学ぶだけでなく行動に移したり、参加者同士の学び合いにつなげることを狙っています。また、研修そのものも、オンラインであってもそれほど頻度高く開催できるわけではないので、講師が講義形式で知識を伝えるだけなら、わざわざ参加者に集まってもらう必要はなく、eラーニングで提供すれば良いと考えるようになりました。

青木様:そのような、研修とeラーニング等の組み合わせによる「ブレンディッド・ラーニング」の推進は、今まさに力を入れて取り組んでいるところです。情報や知識のインプットの部分は、eラーニングや、ルームで配布するオリエンテーション資料などで参加者に事前にやってきてもらい、研修の時間はいかに対話に充てられるか、ということにフォーカスしています。

 

―研修と研修の間の、ルームへの参加状況や態度も人事評価の対象なのでしょうか?

志水様:人事評価の対象になるわけではありません。ですが、店舗スタッフの育成責任者たちと私たち組織開発課とのコミュニケーションを「人材開発ダイアログ」と呼んでいて。ルームに書き込んでもらった学びの実践内容やその意図は、私たちが拾い上げて、「人材開発ダイアログ」の中で、各育成担当者に共有しています。この取り組みは、研修に参加したスタッフ一人ひとりにどんな成長の可能性があるかを育成責任者とともに対話し、その成長のためにどんな支援ができるのかを話し合い、育成方法の引き出しをみんなで増やしていくという狙いもあります。スタッフに自律的な成長を促すには、やはり育成者の存在がすごく大事なので。

 

―一人ひとりのスタッフに関して、そこまでのことをされるのは、かなり大変かと思いますが。

青木様:確かに楽なことではないです。ただ、ルームでの書き込みを読んでいると、店舗のスタッフも今、混沌とした変化の激しい状況下で、いろいろなことを考えて、いろいろな苦労や工夫をしながらお客様と接していることが見えてくるんです。それを知ったからには、私自身も、育成責任者に伝えたいという思いが高まります。スタッフの工夫や行動によって売上などの結果が出た場合はプラスの評価を得やすいですが、必ずしも結果につながらないような工夫や行動もありますから。

 

「S-Career Academy」のコンテンツ:あえて精査せず、情報や教材をオープンに

―本部から店舗への情報提供に関する考え方も変化したそうですね。

青木様:はい。今まではどちらかというと、本部により「お店に伝わるように」と精査された情報が発信されていました。
でも「S-Career Academy」では、もっと幅広くオープンにさまざまな情報をお店の方にお伝えしています。

志水様:一人ひとりのスタッフの「ありたい姿」に向けたキャリア形成を支援するために、階層に関係なく、情報をできるだけオープンにして、基本的にはみんなに見せていこうと考えています。どんな情報が誰の行動や成長のきっかけになるかわからないですから。

青木様:受け取る側のスタッフにとって、いろいろな情報に触れる機会があることは「自分自身の可能性を広げる」という意味ですごく良いと思いますし、そういったオープンな情報の伝え方自体が、会社の考えを伝える、ひとつのメッセージになっているのかなというふうに思っています。

 

―「S-Career Academy」に載っているコンテンツには、例えばどんなものがありますか?

志水様:ファッション産業人材育成機構(IFI)が主催している「ファッションビジネス研究会」という勉強会があり、もともとはリアルで月1回講義をやっていたのが、コロナ禍で講義をオンライン配信するスタイルになりまして。その講義動画を「S-Career Academy」に搭載しています。リアルの講義だったら、本部メンバー数名が参加するだけだったものが、今は「S-Career Academy」にアクセスすれば、店舗スタッフも含めて誰もが見られるようになっています。「ファッションビジネス研究会」というのは、「アパレルの事業リーダーとして、これからのビジネスをどうしていくのか」等のちょっと高尚なマネジメント層向けの内容のものもあるんですけど、そういう情報って今まで「店舗のスタッフの人たちには直接役に立たないのではないか」と判断されがちで本部管理職のみの公開となりがちだったんです。これを、あえて全部見せていこうということにしました。

 

―本当にいろいろな情報が「S-Career Academy」から見られるようになっているのですね。

栗原様:今、TOPページはこういう感じになっているんですけど、「ファッションビジネス研究会」の講義は、最新の動画が追加されるたびに、この「学ぶ、成長する」のところに情報を掲載し、「アクティビティ」から見てもらえるよう促しています。「学ぶ、成長する」には他にも旬な情報をいろいろと載せています。資格取得支援・教育制度の申請開始や終了のお知らせを掲載したり、社内でやっている様々なオンライン・セミナーの情報を載せたりしています。例えば「Instagram活用セミナー」などがあります。店舗ごとにInstagramアカウントを運用していたりするので、Instagramへの上手い載せ方とか、写真の撮り方、ハッシュタグの付け方など。外部講師によるセミナーをまとめたコンテンツなどもあります。

画像)「S-Career Academy」TOPページ画面キャプチャ(※クリックで拡大表示)

青木様:その他一部のブランドでは、集合して行っていた店長会をオンラインに切り替え、そこで本部から店長に、来シーズンの商品説明の情報などを共有しているのですが、その情報もeラーニング化してスタッフ全員が見られるようにしました。かつて、商品情報は店長から一般スタッフに説明する形を取っていましたが、その手間はなくなり、それぞれのスタッフが同等の情報量で知識を高められるようになっています。

「CAREERSHIP」導入・活用の効果

―「自律型キャリア形成プロジェクト」に対する「CAREERSHIP」の導入・活用効果をどのように評価されていますか?

栗原様:定量的な目標として設定しているログイン率については、目標値への達成率が上期終了時点で86%という状況なので、かなり良い進捗状況だと思っています。それ以前に、もともと店舗スタッフと直接的なコミュニケーションができなかったところから、できるようになったということが、私たちにとって本当に大きな効果です。さらに、いろいろな活用方法が広がってきているので、道半ばですけど、私たちが目指しているキャリア自律という方向に向かって進んでいっていると実感しています。

青木様:CAREERSHIP」を導入して「S-Career Academy」が立ち上がり、ここにたくさんの情報や教育コンテンツが集約され、店舗のスタッフに直接提供できるようになってきています。そのことがより多くの店舗スタッフに伝わって、「S-Career Academyにアクセスすれば、キャリア開発していくための何かを得られる」と認知されていけば、一人ひとりが自律的に自分らしいライフプランを立てて歩んでいくために非常に効果があると感じています。「CAREERSHIP」の採用理由の通り、(1)eラーニングのコンテンツシステムとしての充実と(2)コミュニケーションツールとしての機能の充実、その双方でフル活用しています!

 

―キャリア相談の件数も、年々増えているそうですね。

志水様:そうですね。以前はキャリア相談の申し込みを「S-Career Academy」で行い、対面で面談するという形式でした。コロナ禍を機に、キャリア相談自体をオンラインでもできるように切り替えたところ、相談件数はコロナ前の2019年が17件だったのに対し、2020年には42件と増えました。今年は上期終了時点で既に36件で、昨年度を超える見込みです。また件数だけでなく、相談を申し込む店舗スタッフの勤務エリアも、東京近郊中心から全国へと広がりつつあります。このような点でも「CAREERSHIP」の導入効果を実感しますね。

 

―キャリアコンサルタントとして実際にキャリア相談を受けて、気付いたことや発見したことはありますか?

青木様:私たちはキャリア開発を「自分を知る」「会社・環境を知る」「情報を統合する」「実行する」というプロセスで組み立てて支援しています。いろいろなスタッフのキャリア相談を受けてみて、そのプロセスの、最初の2つがまだまだ不十分な方が多いと感じました。お店という限られた人数・限られた空間の中で毎日過ごしているので、思考が狭くなりがちで。店舗で起きていることが全て、そこでの価値観が全てのようになってしまうと、「自分とはこういう人間だ」「会社とはこういうものだ」というような思い込みによりなかなか自己理解を深められず、自分のキャリアを考えた時につまずいてしまう方が多いんです。2つめの「会社・環境を知る」という点も同様で、自分が所属するお店=会社みたいな捉え方になってしまうと、先に述べたようなキャリアに対する会社の考えや支援のための施策に対しても、なかなか理解が進みません。「どうせ会社は…」「どうせ自分は…」という思い込みにとらわれてしまっていることが、自分の「ありたい姿」を考えたり目指したりする上で大きな障壁になっていることに気が付きました。

 

―そのような方に対しては、どのように接するのですか?

青木様:まずはその方のお話をしっかりとお聞きするようにしています。それから、「あなたは今、こういうことに悩んでいるんですね」と投げかけると、「私って今、こういうことに悩んでいたんですね」と、少し客観的になれるんです。本人がそこで自分の悩みや思い込みを自覚し、自己理解が深まると、やはり会社とか、上司を含めた他者に対する理解を広げていこうという前向きな気持ちになっていく様子が見られます。

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上場企業売上高ランキング上位100社のうち
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eラーニングや研修管理などにとどまらず、従業員のスキルを可視化し、また、求められるスキルと学習コンテンツを紐づけることができる「スキル管理機能」によって、発展的な人材育成が可能です。

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今後の展望

―今後、「CAREERSHIP」を使って、どのようなことに取り組みたいとお考えですか?

青木様:直近~中期の間くらいで取り組みたいことは、「スキル管理の拡充」です。限られた人員で店舗を運営していく、しかも生活者の変化を感じ取りながらリアル店舗の価値を提供することが求められるとなると、やはり店舗スタッフが、お客様に対する付加価値提供に集中できる環境を作っていくことが重要だと考えています。そのために、「人を介さずに修得できる業務」を明確にし、「CAREERSHIP」の機能を活用してスタッフが自己学習できる環境を作りたいと思っています。そうすることで、生み出された時間をお客様への付加価値提供や、スタッフの成長を促進する対話の機会として使って欲しいと考えています。

青木様:中長期的なところでいくと、今現在、まずは「教育」に注力して様々な取り組みを行っていますが、やはり「S-Career Academy」をあらゆる従業員に向けたキャリア開発のプラットフォームとして育てていくことを考えた時に、本部や他ブランドへの「異動」までも含めて、情報発信や支援ができるようにしていきたいと考えています。具体的には、例えば自分は今、店舗で働いていて、本部のEC事業部に行きたい、という人がいるとして、EC事業部ではどういうスキルが必要でそのスキルを身に付けるにはどういう勉強をしたらいいのか、という情報までが可視化されていると、「来年トライするのは難しいかもしれないけれど、3年後そこを目指して今から勉強しよう」と行動を起こすことができると思うのです。「S-Career Academy」の中に、教育や社内公募の仕組み、異動に関する情報が全部ひっくるめて搭載されれば、The SAZABY LEAGUEならではの衣・食・住をまたいだ自己実現に寄与できるのではと考えています。

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