LMS(学習管理システム)とは -eラーニングに欠かせないシステムを徹底解説-
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「eラーニングを実施するにはLMSが必要と聞いたけど、LMSってなに?」
企業の人材育成において、2000年代前半から徐々にeラーニングが活用されるようになってきましたが、2020年、新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るって以降、eラーニングへの注目はさらに高まりました。
特に日本では「集合研修」を重視し、eラーニングはあくまでその補完と考えている企業も多かったのですが、その状況が明確に変わってきています。
そして、eラーニングへの注目の高まりに伴って、eラーニングを配信するシステムであるLMSへの関心も高まってきました。
しかし、eラーニングとLMSの関係性については、いまいちよくわからないという声が多く聞かれます。
そもそも「eラーニング」をざっくりと言うと、「インターネットを活用した学習手法」です。その定義に従うと、例えば動画共有サイトにレクチャー動画を投稿してシェアしたり、ウェブ会議ツールで講義を行ったり、クラウド環境にマニュアルを保管したりなど、eラーニングに活用できるインターネット上のサービスやシステムは無数にあります。しかし、LMSが優れている点は、それらのシステムではできない、下記のような組織として戦略的にeラーニングを行っていく際に必要な「管理」ができることです。
・教材を適切なタイミングで届けたい人にだけ届ける
・一人一人の学習状況を可視化する
・複数の教材をコース化して計画的に実施させる
このコラムでは、そんなLMSについて、「なぜ必要か」や「どんな種類があるか」などの基本的なことから、「導入の流れ」や「選定のポイント」まで、網羅的に解説します。全体は2つのパートに分かれているので、初めての方は「入門」から、すでに基礎知識をお持ちの方は「発展」からお読みいただければと思います。
●入門:LMSに関する基本的な情報をまとめています
1. LMSの意味とメリット
2. LMSの機能
3. LMSの使い方
4. LMSの種類
5. LMSの費用
●発展:実際にLMSの導入を検討したい方向けに、少し深く掘り下げた内容です
目次
1.LMSの意味とメリット ~なぜeラーニングにLMSが必要なのか~
1-1.LMSがなくてもeラーニングはできる?
日本eラーニングコンソーシアムの定義によると、eラーニングは「パソコンとインターネットを中心とするICT技術を活用した教育システム」の総称です。
そのため、専用の特別なシステムがなくても、eラーニングは実施することができます。例えば次のような方法が考えられます。
・教材テキストをメールで送付する
・インターネット上の共有フォルダに教材動画を格納し、各自が閲覧する
・YouTubeで教材動画を限定公開し、各自が閲覧する
・ウェビナーツールでオンライン研修を実施する、など
これらは全てeラーニングと言えますが、こういった「LMSを利用しないeラーニング」を体系的に実施していこうとすると、いくつもの壁にぶつかります。
1-2.LMSが実現できること
では、LMSを使った場合のeラーニングとはどのようなものなのでしょうか。LMSを使うメリットは様々ありますが、ここでは代表的な3つのポイントをお伝えします。
ポイント①
特定の人に好きなタイミングで受講させられる
LMSは、システムの中に受講者一人一人の基本情報を持っています。そのため、「このeラーニング教材を、この条件の人に、この日時に配信する」といった設定が簡単にできます。さらに、LMSを使うと、例えば「入社して1週間後にビジネスマナーのeラーニング教材を配信する」といった教育運用の自動化をすることができ、どんどん教育のDX推進ができます。
ポイント②
学習の進捗状況をリアルタイムで可視化できる
LMSは「学習管理システム」という名の通り、誰が学習を完了しているかはもちろんのこと、いつ着手したか、eラーニングコンテンツのどこまで進行しているか、テストの点数は何点だったかなど、細かく状況を把握し、管理できることが最大の強みです。これに伴い、未完了者に自動的にリマインドメールを送るなどの施策も可能です。
既存の動画配信プラットフォームなどでは、全部で何回視聴されたかといったデータは取れても、誰がきちんと学習を完了させているかを把握することができません。
ポイント③
あらゆる学習の履歴を確実に残せる!
LMSはeラーニングの受講履歴はもちろん、集合研修などの参加履歴やレポートの提出履歴など、学習に関するあらゆるデータをシステム内に記録しておくことができます。
これによって、LMSはある意味「学習に特化した人材データベース」と考えることもでき、それらのデータは、近年、人材の能力を可視化して効率的に活用する「タレントマネジメント」に活用されるケースも多くなっています。
以上のような問題点は、単発のeラーニング研修を一度行うだけであればそれほど気にする必要はないかもしれません。しかし、人材育成計画に基づいて中長期的に実施していく場合や、研修のPDCAを回したい場合、あるいは学習状況を人事評価などの制度と結び付けたい場合など、人材育成を戦略的、効率的に実施しようと思うと、かなりクリティカルな問題になり得ます。
よって、eラーニングのメリットを最大限に発揮するためには、LMSはなくてはならないシステムだといえるのです。
1-3.LMSのeラーニング以外のメリット
ここまでは、LMSがもたらすeラーニングに関するメリットをお伝えしました。しかし、LMSを導入するメリットは、eラーニング以外にもいろいろとあります。
次章で詳しく記載しますが、近年のLMSは単にeラーニングを配信するだけのシステムではなく、組織内の学習のプラットフォームとして、あらゆる学習を統合的に管理するシステムへと進化しています。
そのため、例えば
・集合研修の管理をシステム化できる
・集合研修とeラーニングを組み合わせて研修コースを作成できる
・レポートの提出やアンケートの改修も同一システム上で完結させられる
・互いに学びあう「ソーシャルラーニング」を仕組化できる
・従業員のスキル習得状況と学習を紐づけられる
など、人材開発に関する様々なメリットを得ることができるのです。
それらの内容も含めて、LMSを使うことのメリットをもっと知りたい方はコチラの記事をご覧ください
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*2021年4月現在、グループ会社を含む、当社調べ2.LMSの機能 ~eラーニングを含む学習の全てを集約できる~
第1章では、eラーニングを実施するうえでLMSがあると様々な面でメリットがあることを解説しました。この章では、それらのメリットを生み出せるLMSの機能についてより詳しく解説します。
2-1.eラーニング機能
LMSの主たる機能は、何といってもeラーニングを配信・受講する機能です。これは、ざっくり言うと、「eラーニング教材」を「指定した受講者」に「指定した期間」に配信し、受講させる機能です。ただし、単にeラーニング機能といっても、様々な施策に対応でき、かつ効率や利便性を向上させるための仕組みがたくさんあります。
①自動配信:対象や日時など条件を指定しておくと、自動で配信できる。
②動画配信:動画教材を配信できる。インターネット上で閲覧できダウンロード不要な「ストリーミング配信」が一般的。
③承認設定:eラーニングを受講する場合に承認者を設定することができる。
④期限管理:eラーニングを特定の期間しか受けられないようにすることができる。
⑤セキュリティ:任意のeラーニングについて、特定の環境下でしか受講させない設定ができる。
⑥スマホ・タブレット対応:多くのLMSがパソコンで見てもスマホで見ても最適な見た目になる「レスポンシブデザイン」を実装している。
⑦レコメンド:一部のLMSにおいて、受講者の職種や受講状況などのデータから、最適なeラーニング教材をおすすめすることができる。
2-2.管理機能
LMSにおいて、eラーニング機能とタイヤの両輪にあたる機能が「管理機能」です。LMSがeラーニングのメリットを最大化できるのは、この管理機能が備わっているからと言っても過言ではありません。
①ユーザー管理:LMSに受講者となるユーザーを登録できる。
②組織管理:LMSの中に企業の組織図を再現し、ユーザーである社員を紐づけることができる。
③グループ管理:既定の組織とは別に任意のグループを設定することができる。
④進捗管理:個々人の学習の進捗状況を確認することができる。
⑤成績管理:個々人のテストの成績などを確認することができる。
⑥履歴管理:直近の学習結果だけではなく、その社員がこれまでにどのような学習を実践してきたかの履歴を確認することができる。
2-3.eラーニング以外の学習関連機能
近年、LMSの中にはeラーニング以外の機能を充実させ、組織内におけるあらゆる学習を管理できる「学習のプラットフォーム」へと進化しているものもあります。では、eラーニング以外にどのような機能があるのか、例として、ライトワークスのLMS「CAREERSHIP®」が備えている機能をご紹介します。
①研修管理機能:集合研修の管理をすることができる機能です。
②アンケート・レポート機能:LMS上でアンケートをとったり、レポートを提出させたりできる機能。
詳しく見る ▶ CAREERSHIP®のアンケート・レポート機能
③コース管理機能:eラーニングや集合研修、アンケートなど、複数ある学習コンテンツを1つのコースとしてパッケージ化することができる機能。
④教材制作機能:パワーポイントやエクセル、動画などの素材を基に、eラーニング教材を制作することができる機能。
⑤社内SNS機能:社員のみが使用できるSNSのようなコミュニケーション機能。
詳しく見る ▶ CAREERSHIP®のルーム(社内SNS)機能
⑥タレントマネジメント機能:従業員のスキルを定義して可視化する機能や、従業員の経歴や所有資格等の情報を一元管理できる機能。
LMSの機能について、もっと詳しく知りたい方はコチラの記事をご覧ください。
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3.LMSの使い方 ~LMSは実際どのようなシーンで使われているのか~
LMSは、導入された企業において、実際にどのように使用されているのか、イメージを具体的に持っていただけるように、第3章では使い方について解説していきます。
3-1.LMSは大きく3つのステップで使う
これまでに述べたように、最近のLMSは多機能なものも多いので、使い方も多様ですが、あえて極端に単純化すると、使い方は以下の3ステップで表すことができます。
①ユーザーを登録する
②eラーニング教材(コンテンツ)を登録する
③ユーザーにeラーニング教材を配信する
なお、この3ステップはeラーニング機能で説明をしていますが、他の学習機能を使ったとしても基本的には同様の考え方になります。集合研修やアンケートなどのコンテンツを登録し、それをユーザーと紐づけていきます。
3-2.LMSの活用シーンは多種多様
繰り返しになりますが、LMSは単なるeラーニング配信システムの枠を超えて、「学習のプラットフォーム」になってきていることから、組織的に学習を行うあらゆるシーンで活用されています。
こちらに、主なシーンを列記しました。貴社に当てはまるものも、きっと見つかるのではないでしょうか。
①企業が社員に教育を行う
-全社研修
:コンプライアンス教育や情報セキュリティ教育など、職種や年次などに関わらず全社員を対象とした学習。特に規模の大きな組織ではLMSなしでの運用は困難。海外の現地法人に向けて、言語対応や海外への配信が可能なLMSも。
-新入社員研修
:新入社員が入社後の一定期間に行う学習。2020年には、新型コロナウイルスの影響で急遽新入社員研修をオンライン化した企業も多かったが、eラーニングならではの「何度でも復習できる」といった特性がうまく作用し、「例年よりも理解度が高まっていた」という声も聞かれた。
-階層別研修・管理職研修
:社員のキャリアの区切りとなるタイミングで行う学習。発展的な内容であることも多いため、LMSを活用し、eラーニングとグループワークなどを組み合わせた「ブレンディッドラーニング」を実践する企業も。
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-自律学習
:社員が自身に必要だと思うテーマについて、自発的に行う学習。企業が福利厚生的な観点から学習環境を整えるためにLMSを導入するケースも。
②企業が社員以外に教育を行う
-パート・アルバイト
:全国に店舗を展開している場合でも、LMSを用いることで、全国一律の教育をほぼ自動化して行うことができる。
-子会社
:LMSによって、全社共通の施策を講じたり、個社独自の施策を行ったりといった対応が可能。各企業で独自のシステムを採用すると、一元管理が困難なケースも。
-代理店・顧客
:LMSを用いると、組織を超えて、異なる企業の人々を教育することが可能。
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③教育機関が学生に教育を行う
-学校
:LMSを採用し、授業のオンライン化を進めるケースも。「企業向けLMS」と「学校向けLMS」は求められる要件が異なるため、選定の際には注意が必要。
-教育サービス事業者
:学校以外の教育サービス、特に大人向けの有償教育サービスにおいて、LMSが導入されるケースが多い。
4.LMSの種類