「研修を実施しても、効果の持続や従業員の成長を実感できない」
どうすれば研修で行動変容を促せるのか、従業員が自ら進んで学ぶようになるのかというのは、多くの人事・研修担当者の共通のお悩みではないでしょうか。
厚生労働省の「令和6年度 能力開発基本調査」によると、能力開発や人材育成において「何らかの問題がある」とする事業所は79.9%でした。指導する人材や時間の不足のほか、「人材を育成しても辞めてしまう」(54.7%)と、研修が人材の定着につながっていないことも深刻視されています。
研修を実施しても効果が持続しない原因は、報酬や人事評価といった「外発的動機」に偏った研修設計にあるかもしれません。外発的動機への働きかけだけでは受け身になりやすいため、従業員が研修に「やらされ感」を持っている可能性があります。
やらされ感を解消し、従業員の自発的な行動を促すには、個々の興味や関心、向上心を高める「内発的動機付け」が重要な鍵となります。
この記事では、内発的動機付けの意味やメリット、研修への応用方法などを解説します。内発的動機付けを促した企業事例も紹介しますので、ぜひ効果的な研修設計にお役立てください。
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AIで要約
- 従業員の「やらされ感」を解消するには、有能感・自律性・関係性の3つの心理的欲求を満たし、内発的動機付けを高めることが不可欠です。
- eラーニング教材を自由に選べる環境の提供やスキルの可視化など、個々の興味と成長実感に直接働きかける研修設計が自発的な行動変容を促します。
- LMSなどのデジタルツールで「個に最適化した学習」と「他者とのつながり」を仕組み化することが、内発的動機付けの効果を最大化します。
なぜ「内発的動機付け」が研修で重要なのか?
「内発的動機付け」とは、従業員それぞれの内面にある興味や関心、向上心などによって行動が促されることをいいます。
まずは、「内発的動機付け」と「外発的動機付け」の違いや、「内発的動機付け」がもたらすメリットを見てみましょう。
内発的動機付けと外発的動機付けの決定的違い
内発的動機付けと外発的動機付けの大きな違いは、行動の原点が自身の内部にあるか、外部にあるかです。行動を起こすための「動機」がどこにあるかは、研修の効果の持続性や、日々の業務へのモチベーションにも大きく影響します。

内発的動機とは?
内発的動機とは、好奇心や探求心などの、内面から湧き起こる行動の原動力のことです。例えば、「スキルアップに向けて勉強をする」、「趣味を極めるために練習する」などの行動は、内発的動機付けによるものです。
内発的動機は、興味や探求心など「内面」から湧き上がるものなので、効果が長く続きます。また、仕事に対する内発的動機があると、「義務感」の減少と関心の高まりにより、モチベーションの質や自主性、創造性の向上も期待できます。
外発的動機とは?
外発的動機とは、報酬や評価、罰など、外部からの影響による行動の原動力を指します。「プラスアルファの報酬が得られるよう営業活動をする」、「ペナルティがあるから作業の手を抜かない」などが、外発的動機付けによる行動の例として挙げられます。
外発的動機による行動は即効性が期待できますが、義務感で行動するケースが多いため効果の持続性が低いです。また、モチベーションの維持も難しく、報酬や罰がないと動かない、受動的な人材が増加する可能性があります。
現代の経営環境と内発的動機付けの必要性
昨今は終身雇用の崩壊や、働き方の多様化など経営環境の変化が加速しています。外発的動機に頼った人材マネジメントでは、従業員は評価や報酬のみを重視し、より条件のよい企業へ流出してしまう可能性が高くなります。
実際に、2025年に公表されたギャラップ社の調査報告書によると、2024年時点の労働者のエンゲージメント率は、世界平均が21%、東アジア諸国の平均が18%で、日本は7%となっています。日本は世界水準と比べて著しく低い数値であり、多くの従業員が仕事へのやりがいを見出せず、組織への帰属意識も低い状況が垣間見えます。
この状況を打開するのが、内発的動機付けです。従業員に内発的動機を持たせるには、個々の「仕事そのものへの興味」や、「この会社で成長したいという欲求」に働きかけることが重要です。
自分の仕事にやりがいや達成感を見出し、仲間との協力に喜びを感じるようになれば、報酬だけでは得られない「働く意味」の基盤が構築されます。結果としてエンゲージメントも向上し、離職率の低下や組織の持続的な成長へつながります。
魅力的な職場環境の整備や個々の成長を促す研修の実施は、そのための重要な投資であるといえるでしょう。
内発的動機付けがもたらす3つのメリット
内発的動機付けは、次の3つのメリットをもたらします。
生産性の向上
個々の好奇心や探求心をもとに行動すると集中力が高まり、生産性向上が期待できます。内発的動機付けが高まれば「やらされている」という感覚がなくなり、与えられた業務であっても、自発的に課題を見つけて解決する姿勢が生まれます。
そのため、内発的動機付けができている人材が組織内に多ければ多いほど、組織全体の生産性によい影響を与えます。
持続的な成長
内発的動機付けができていれば、やりがいを持って業務に取り組めるため、持続的な成長が見込めます。自発的に次々と新しい目標を掲げ、学び続ける人材が育ちます。
研修にも、「学びを得よう」と積極的に参加するので、一時的な知識の習得で終わることなく、実践を通して成長し続けられるでしょう。
創造性の発揮
内発的動機付けができている人は、創造性も発揮しやすいといえます。
外発的動機で行動する人は、問題解決や業務改善を「自分事」として捉えにくく、受け身になりがちです。一方、内発的動機が強いと主体性が高まり、新たなアイデアも生まれやすくなります。
内発的動機付けによって仕事への熱意が高まれば、従来の型にはまらない画期的な課題解決方法を自ら生み出せる可能性もあります。業務効率化やノウハウの蓄積が進み、組織の成長にもつながります。
内発的動機付けを高める3つの心理的アプローチと研修への応用方法
では、どうすれば内発的動機付けを高められるのでしょうか。ここでは心理的アプローチの面から内発的動機付けについて見てみましょう。
アメリカの心理学者、デシ(Edward L. Deci)とライアン(Richard M. Ryan)が提唱した「自己決定理論」は、「自己決定の度合いは、動機付けや成果に影響する」という理論です。
この理論の中心となるのが、人が生まれながらに持つとされる「有能感」「自律性」「関係性」という3つの基本的な心理的欲求です。
ここでは、内発的動機付けを高める鍵となるこの3つの心理的欲求と、それらを満たすためのアプローチ、さらに研修への応用方法を解説します。

「自分にはできる」という【有能感】の高め方
「有能感」は、目標を達成したり、自身の能力を発揮できたりしたときに感じる「自分はできる」という感覚です。この欲求は、能力や成果が他者に認められていると感じたときにも満たされます。
従業員の有能感を高めるには挑戦をさせることが有効ですが、誰でも簡単に成功できるような課題では有能感は感じにくいとされています。「少し背伸びをすれば届く」程度の適切な難易度設定が重要です。
目標達成に向けて一定以上の努力が必要な場合に「自身に能力があり、社会の役に立っている」と、感じることができるといわれています。
有能感を高める手法
有能感を高めるには、以下の方法が有効です。
- 短期間で達成可能なゴール設定による成功体験の提供
相応の努力によってつかめそうな成功をゴールとして設定すると、「達成に向けたアクションが報われて成功した」と感じ、有能感が満たされます。
大きすぎる目標は達成に時間や労力がかかりすぎてしまうため、ゴールまでのプロセスを段階的に区切り、小さなゴールで成功体験を積み重ねていくのがよいでしょう。 - 適切なフィードバック
上司から部下へのフィードバックでは、優れている点や業務の中での成長を具体的に示しましょう。適切なフィードバックは、「自信に能力があり、貢献が組織に認められた」と、有能感を満たすことに寄与します。
研修設計への応用
研修では、スキル習熟度の可視化を行いましょう。例えば、研修後に理解度テストを行えば、学習の成果を従業員自身が客観的に把握でき「自分はできるようになった」という有能感を高めることにつながります。
さらに、スキルマップを作成・チームや部署で共有し、「誰が、どのようなスキルを保有しているか」が一目で分かるようにすると、メンバー同士で実力を認め合うこともできます。
また、上司と部下がマンツーマンで行うOJTも、具体的なフィードバックで成長を実感させるのに有効です。よいところを褒めるのはもちろん、具体的な改善点を示すことで、さらなる成長を促します。
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「自分で決めている」という【自律性(自己決定感)】の高め方
「自律性(自己決定感)」は、自発的な行動や、自分自身で意思決定をすることを指します。
人は、何かに興味を持って集中しているとき、「自分の決定により行動している」と感じます。物事の選択や決定には一定のストレスもかかりますが、自分で決めたことが結果に反映されればモチベーションが上がり、自律性が満たされます。
自律性(自己決定感)を高める手法
自律性を高めるには、従業員自身が目標を設定する「MBO(Management by Objectives)」が有効です。業務における裁量権や意思決定の機会を与え、目標達成のための行動を選択させることで、「自分の意思で決めた」という意識が強くなり、内発的動機付けを高めます。
また、目標設定の場面だけでなく、日々の業務の中でも自律性を高めることは可能です。
初めから課題解決の方法を示すのではなく、「どうしたら解決できると思う?」と、上司が部下に意見を求めることも、おのおのが考える機会を創出し、自律性を養います。
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研修設計への応用
豊富なコンテンツを有するeラーニングの導入は、自律性の育成に役立ちます。
企業側が、個々の成長に必要と判断した教材やコースを提供することはもちろん重要です。
一方で、「eラーニング受け放題」のように、従業員が自身のキャリアプランや目標に合わせて自由にコンテンツを選べる環境も併せて提供すると、自律性が養われます。
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「他者とつながっている」という【関係性】の高め方
「関係性」とは、「仲間とよりよい関係を構築したい」、「チームに貢献したい」など、他者とのつながりに対する欲求です。自律性は個々の世界で養われますが、自分以外の人の役に立って「貢献できている」と感じるには、関係性を持つことが欠かせません。
「誰かのために」と努力するのも、内発的動機付けの1つです。
関係性を高める手法
関係性を高めるには、チームでのコミュニケーションを活性化させましょう。例えば、課題解決に向けてチーム全体で取り組むことで、「チームに貢献できている」という意識を持てます。
ゲームやスポーツなど、仕事以外の場でのコミュニケーション促進も効果的です。業務時間外にリラックスした状態で交流すると、自然な会話を通して親睦がより深まります。
このような施策でメンバー同士のつながりが強化されれば、心理的安全性を確保でき、定着率や生産性の向上などの効果も期待できます。
研修設計への応用
研修では、グループワークを取り入れましょう。少人数のグループで、共通のテーマについて話し合ったり作業したりする中で、コミュニケーション能力や協調性が養われます。
また、オンラインツールを活用した学びも有効です。ナレッジ共有ツールやLMS(学習管理システム)の社内掲示板機能などを活用すれば、受講者同士がナレッジを共有して学び合う「ソーシャルラーニング」の文化を醸成できます。
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【先進企業事例】「やらされ感」を「学びたい」に変えた研修改革
内発的動機付けで、従業員から「研修をさせられている」という感覚をなくし、自発的な学びを促進するために、具体的にどのような取り組みを実施すればよいのでしょうか。
先進企業の事例から、自社の研修改革のイメージをつかみましょう。
事例1:アサヒグループジャパン株式会社:eラーニングアクセス数が12倍に!キャリア自律を促すプラットフォームへ
アサヒグループの国内事業を統括するアサヒグループジャパン株式会社は、3,200人の従業員(取材当時)に対し、eラーニングの月平均PVが500と少なく、またeラーニングの発展的な利用ができないという課題を抱えていました。
そこで、課題解決に向け、ライトワークスのLMS「CAREERSHIP」をベースにしたポータルサイト「Career Palette(キャリアパレット)」をオープンしました。
従来はさまざまなeラーニング教材を用意し、「好きに取りに来てください」というスタンスの「自律学習型」でしたが、スキルマップと研修を連動させ、個々に最適な学びを届ける「デリバリー型」に転換しました。
また、1社の教材だけでなく、さまざまなベンダーのよりよい教材をラインナップできるように改善し、従業員の学びの幅を広げました。
「Career Palette」の活用で、同社のeラーニングのアクセス数は、導入前の12倍である月平均6,000PVにまで増加しました。受講者自身がより自分らしいキャリア形成に向け、主体的に取り組める環境を整えた結果、LMSが単なる「学びの場」から「キャリアをつくる場」へと進化しました。
2018年にeラーニングシステムを一新すると、月平均PVは12倍に拡大。なぜ、そのような利用率の拡大が実現できたのでしょ…
事例2:株式会社JTB:研修と現場実践をつなぎ、行動変容を促す仕組みづくり
旅行業をメインに、地域や企業の課題解決に向けた事業も展開する株式会社JTBは、自らの意思で課題を解決したり、行動したりして成長する「自律創造型人財」の育成に注力しています。
同社では、研修が単なる「知識の伝達」で終わってしまい、現場での行動変容につながらないという課題がありました。
そこで、研修改革実現に向けてライトワークスのLMS「CAREERSHIP」を導入しました。
「CAREERSHIP」上では、パフォーマンス評価のための同社独自の指標である「レッスンルーブリック」と、研修ごとに受講者自身が研修で学んだ内容や成果、改善方法などを記入する「アクションプランシート」を常時確認できます。
受講者は自身の業務と結びつけてアクションプランシートを記入できるようになり、学びが現場で生きる、「研修と実践の直結」を可能としました。
「CAREERSHIP」の活用で、同社は「学び続ける組織、お互いに教え合う組織」の実現に向けた基盤を構築し、個々の自律的な学びと行動変容を促進しています。
人財教育部門の中には、「自律創造型人財」が育つ方法を模索している方もいるのではないでしょうか?株式会社JTBでは、人財育…
事例3:株式会社サザビーリーグ:キャリア不安による離職を防止するプラットフォーム開発
生活雑貨やファッションのオリジナルブランドの企画販売や、飲食店運営を行う株式会社サザビーリーグは、店舗における慢性的な人材不足が問題視されていました。
また、店舗スタッフとホールディングスとの直接的なコミュニケーション方法がなく、店舗スタッフが抱える悩みやキャリア不安を把握できないことが、大きな課題でした。
そこで、同社は課題解決のため、ライトワークスのLMS「CAREERSHIP」を導入。スタッフへの教育拡充とキャリア開発のためのプラットフォーム「S-Career Academy」を構築しました。
eラーニングの提供はもちろん、キャリア相談窓口やスタッフ同士の交流の場、店舗スタッフとホールディングスのコミュニケーションツールとしても活用しています。
「LMSの活用が個々の成長やキャリア開発に役立つ」と、人事担当者が従業員に地道に呼びかけ続けた結果、社内でのLMSの利用率は70%近くまで向上しました。「S-Career Academy」を活用したコミュニケーションの活性化は、成長した人材の定着にも貢献しています。
コロナ禍は、生活者の価値観や消費行動を大きく変えたと言われています。緊急事態宣言によって休業を余儀なくされた小…
内発的動機付けの効果を最大化する研修DXとは?
事例で紹介したような先進的な研修を実現し、内発的動機付けの効果を最大化するには、LMS(学習管理システム)などデジタルツールの活用が有効です。
ここではLMSを例として、これからの研修における活用可能性を見てみましょう。
これからの教育に求められるパラダイムシフト
先のコロナ禍には集合研修の実施が困難となり、研修のオンライン化が加速しました。これに伴いLMSの活用方法は多様化し、eラーニングの受講・配信のほか、従業員の学習状況や定着度、キャリア志向など、さまざまな情報の提供・取得・管理がされるようになりました。
このようなLMSの活用可能性は、研修における「やらされ感」を解消し、「自発的な学び」へと転換させるための、強力な解決策となります。
従来の集合研修が提供する学習は、「一律・特定時期のみ」のものでした。しかし現在は、ビジネス環境の変化の速さ、個々の働き方の多様化などから、LMSを活用した研修のDXによって、個々の状況に最適化された学習を常時受け取れる環境へと変化させることが重要になっています。
オンラインベースの学びは、これまで“当たり前”とされてきた学習スタイルに変化をもたらし、新たなパラダイムシフトの創出に寄与します。
「自発的な学び」を支えるLMS
集合研修など、従来のオフライン教育は、受講者に一定の知識を与えて学習状況を管理する「守りの教育」が主でした。この点、LMSは、キャリアアップのための「自発的な学び」を支援する「攻めの教育」も両立できるハイブリッドなシステムです。
最近ではAIが受講者一人一人に最適な教育コンテンツの提供を行うシステムも登場しており、自発的な学びの支援はますます進化しています。
以下のようなLMSのさまざまな機能を活用すれば、この記事で解説した内発的動機付けを高める3つの心理的欲求(2章を参照)を満たす施策もスムーズに実施できます。
- 有能感
学習進捗やスキル習熟度の可視化を行う施策
⇒ 主なLMSの機能:研修/eラーニング管理機能、スキル管理機能(スキルマップ)など
- 自律性
豊富な学習コンテンツから、従業員自ら選べる環境をつくる施策
⇒主なLMSの機能:eラーニング受け放題など
- 関係性
受講者同士で学び合う文化を醸成する施策
⇒主なLMSの機能:社内SNS、ウェブ会議ツール連携(ディスカッション)機能など
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継続的な学習支援の体制づくりがポイント
内発的動機付けの効果を実感するために大切なのは、研修をその場だけの学びで終わらせるのではなく、学んだ内容を実践に生かせるよう継続的に支援することです。
好奇心ややりがいなど、人の内面から湧き出る感情が行動の原動力となる内発的動機付けは、「効果が出るまでに時間がかかる」と考える教育担当者は少なくありません。
確かに、報酬や評価などに基づく外発的動機付けと比較すると、短期的な効果は出にくいと言われています。しかし、興味や関心、好奇心などは一度高まれば効果が持続し、従業員の自律的な成長に結びつきます。
LMSなどのデジタルツールなら、便利な機能や学習データ等を活用し、効果的な教育施策を、効率良く継続的に実施していくことが可能です。
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まとめ
「内発的動機付け」とは、個々の内面にある興味・関心、向上心などの欲求によって行動が促されることです。
反対に、報酬や評価、懲罰などの外部からの働きかけによって行動が促されることを「外発的動機付け」といいます。
優秀な人材の確保には、従業員の内発的動機に働きかけ、「ここで働き続けたい」と思える環境づくりが必要です。働き方の変化や日本のエンゲージメント率の低さを鑑みても、従業員の内発的動機付けは企業にとって大きな課題だといえます。
内発的動機付けがもたらすメリットは、以下の3点です。
- 生産性の向上
- 持続的な成長
- 創造性の発揮
内発的動機付けを高めるには、以下のような、人間が持つ3つの心理的欲求を満たすためのアプローチが有効です。
- 有能感:短期的なゴール設定による成功体験の提供、適切なフィードバック
- 自律性(自己決定感):MBO、裁量権や意思決定の機会の提供
- 関係性:チーム内のコミュニケーション促進
上記の内容は、以下のように研修に応用できます。
- 有能感:スキル習熟度の可視化、OJT
- 自律性(自己決定感):eラーニング(受け放題)の導入
- 関係性:グループワーク、LMSの掲示板やナレッジ共有ツールの活用
内発的動機付けで自発的な学びを促進する先進企業として、以下の3社の事例を紹介しました。
- アサヒグループジャパン株式会社
- 株式会社JTB
- 株式会社サザビーリーグ
内発的動機付けの効果を最大化するには、研修のDX化、特にLMS(学習管理システム)などデジタルツールの活用が有効です。最も重要なのは、ツールを活用し、継続的な学びを支援する環境を整えることです。
内発的動機を持つ従業員は、自ら学び、成長し続けられます。積極的に内発的動機付けを行って研修の「やらされ感」を解消し、従業員が自発的に「学びたい」と思える環境をつくりましょう。






