【項目例あり】新入社員のスキルマップ作成方法や運用ポイントを解説

「どうすれば新入社員の育成を効率化して、いち早く現場の戦力にできるのか」

これは多くの企業の人材育成・研修担当者にとって、毎年直面する重要課題といえるのではないでしょうか。

厚生労働省による「労働政策審議会労働条件分科会」の資料1では、特に20代の転職入職率(常用労働者数に対する転職入職者の割合)が高い数値で推移しています。

若手人材の流動性が高まり、生産年齢人口(15~64歳)の減少も進む中、新入社員を早期に定着・戦力化させ、人材不足を緩和することは喫緊の課題です。

また近年、経済産業省は、人材を「資本」と捉え、その価値を最大限に引き出して中長期的な企業価値向上を図る「人的資本経営」を積極的に推進しており2、企業には戦略的な人材育成や教育設計が求められるようになりました。

こうした流れを受け、昨今注目を浴びているのが、各従業員のスキルや習熟度を可視化する「スキルマップ」です。新入社員の育成に活用すれば、OJTや研修を効果的・効率的に進めることができ早期戦力化が期待できます。

この記事では、スキルマップの目的と活用シーン、作成の手順から企業事例までを詳しく解説します。新入社員の育成をもっと効率的に実施したいと考えている担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

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LEARNING SHIP

スキルマップとは、従業員に必要なスキルと達成レベルを一覧にしたもので、従業員の自律的なキャリア形成を促す人材開発ツールで…

AIで要約

  • 新入社員育成にスキルマップを導入すると、習得すべきスキルとレベルが明確になり、人事から現場までが一貫した指導を行えます。
  • スキルマップを形骸化させないためには、昇格や昇進などの人事制度と連動させ、スキル習得がキャリアに直結すると示すことが重要です。
  • LMS(学習管理システム)上でスキルマップを運用すると、不足スキルに応じたeラーニングを提供でき、個別最適な育成が実現します。

スキルマップとは?新入社員の育成に欠かせない理由

スキルマップは、従業員一人一人のスキルや知識のレベルを把握し、適切な育成を行うために欠かせないツールです。

ここでは、スキルマップとは何か、新入社員の育成でどのように活用できるのか解説します。

スキルマップの概要

スキルマップとは、従業員が業務上必要とするスキルや知識と、達成レベルを可視化した一覧表です。個々の従業員が現在持っているスキルとレベルが一目で分かるようになっています。

具体的な形式としては、例えば「コミュニケーション」や「ITスキル」などのスキル項目を設け、項目ごとに3~5段階の評価基準(レベル)を設定します。

新入社員の教育にスキルマップを活用すると、「どのスキルをいつまでに、どの程度のレベルまで習得すべきか」という育成の道筋が明確になります。

これにより、新入社員研修や配属先でのOJTで新入社員の教育の管理がしやすくなり、人事担当者から現場の上司・教育担当者まで、関係者が一貫性のある指導を行うことが可能です。

さらに、新入社員本人にもスキルマップを共有すると、自身の成長の見通しや課題を認識することができ、主体的な学習と自律的成長を促します。

新入社員育成でスキルマップが必要とされるシーン

次に、具体的にスキルマップがどのような場面で活用できるかを見ていきましょう。

新入社員の育成計画(ロードマップ)策定

スキルマップは、新入社員の育成計画(ロードマップ)を策定する際に欠かせないツールです。スキルマップを基に、「半年後には営業職として1人で顧客を担当できるようになる」など、具体的かつ測定可能な目標を設定できます。

目標が明確になれば、目標を達成するためのアクションプランを育成計画(ロードマップ)に落とし込む作業もスムーズです。

例えば、「業界知識に関するeラーニング受講」「営業スキル向上を目的としたプレゼン研修の実施」というように、どのような教育を行うべきかを決定します。

上司や教育担当者はどのような指導をすればよいか迷うことがなくなり、新入社員も安心してスキルアップに取り組めるでしょう。

新入社員研修やOJTの進捗確認・効果測定

スキルマップは、新入社員研修やOJTにおける進捗管理と効果測定にも非常に有効です。

新入社員研修やOJTの担当者は、新入社員の学習進捗や目標への達成度をスキルマップで確認し、目標達成に向けてどのようなフォローアップが必要かを知ることができます。現状の達成度やスキルレベルに応じて、目標の再設定も可能です。

さらに、研修計画の見直しにも活用できます。例えば、新入社員の多くが、特定のスキルを習得できていないことがスキルマップ上で明らかになった場合、その内容を集中的に学ぶ追加の研修を実施して理解不足を補います。

また、研修やOJTは、担当者によって指導の内容や質にバラつきが生じる可能性がありますが、スキルマップがあれば、教えるべき知識やスキルが明確になり、均質な教育を実施できるでしょう。

1on1ミーティング

1on1ミーティングにスキルマップを活用すれば、主観や精神論に基づいたアドバイスではなく、より建設的な対話が可能になります。

例えば、「ITスキルが目標に対して不足している。このギャップを埋めるためには何をすればよいか」というように、上司と新入社員がスキルマップを見ながら現状を冷静に分析し、具体的な解決策を一緒に考えることができます。

上司や教育担当者側は個々の新入社員の課題を早期発見でき、新入社員側もスキルマップという明確な指標があるためにフィードバックを素直に受け止めやすくなります。

1on1ミーティングを単なる雑談や業務の進捗確認の機会にとどめず「人材育成の場」として機能させるためには、スキルマップという共有の指標が欠かせません。

新入社員のスキルマップを作成する目的とメリット8つ

ライトワークスの「内定者研修と内定者のホンネ調査レポート2025」3によると、内定者は「入社後に仕事ができるようになるだろうか」という不安を抱えながらも「しっかり仕事をこなし活躍したい」と考えています。

内定者や新入社員は社会経験が少なく、スキルアップのイメージがつかめません。組織で活躍するために必要なスキルが分かるスキルマップを提示できれば、新入社員の不安を解消し、エンゲージメント向上にもつながるでしょう。

スキルマップは、組織全体の人材戦略を支える基盤としての役割を持ちます。新入社員を含め従業員一人一人の保有スキルや必要なスキルを「見える化」し、育成・配置・評価に活用することで、最終的には組織の成長と競争力向上につながります。

ここでは、企業・人事担当者、上司・教育担当者、新入社員という3つの視点から、スキルマップ導入の目的やメリットを解説します。

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企業・人事担当者の目的とメリット

まずは企業・人事担当者にとっての3つの目的とメリットを解説します。

戦略的な新入社員育成

少子高齢化に伴う生産年齢人口(15~64歳)の減少や、ジョブ型雇用へのシフト、人的資本経営への対応などを背景に、企業には限られた人材を戦略的に育成・活用する力が求められています。

スキルマップは新入社員のスキルを正確に把握し、体系的かつ個別最適な育成を行うための有力なツールです。従来のような一律の研修ではなく、一人一人が持つスキルやその習熟度に合わせて指導・配置することで、新入社員に対して戦略的な育成や人事施策の実施が可能になります。

また、スキルマップは人材のポテンシャル発見にも活用でき、中長期的な育成計画の立案にも役立ちます。

新入社員の早期戦力化

スキルマップを活用すれば、新入社員の早期戦力化を実現できます。人手不足が深刻となっている今、現場からは即戦力の人材を求める声も挙がっているでしょう。現場にかかる教育の負担を踏まえると、長い時間をかけて新入社員を育成することは難しい状況といえます。

研修やOJT、eラーニングなどの教育施策とスキルマップを連動させることで、新入社員のスキルギャップを効率的に解消でき、最短ルートでの育成が可能となります。

また、eラーニングを積極的に活用すると、新入社員が自分のペースで知識・スキルを習得できます。スキルマップで「自分に求められる業務を遂行するために学ぶべきこと」が明確になれば自発的な学びも期待でき、新入社員のモチベーション向上や早期戦力化につながるでしょう。

適切な人材マネジメントと組織のリスクマネジメント

スキルマップの導入は、適材適所の配置や計画的な人材育成を可能にし、戦略的人材マネジメントを推進する上で有効です。

各職務に必要なスキルや知識を明確化し、それを全従業員に共有することで、組織全体で一貫した基準にのっとってマネジメントが行えるようになります。加えて、スキルデータを基に、どの従業員をどの職務に就けるべきか、客観的に判断できます。

さらに急な離職や休職などが生じた際、具体的にどのようなスキルを持った人材を補充すればよいかも容易に把握できます。他部署からの応援や配置転換、新規採用など、状況に応じた対策をスムーズに実施することが可能になり、業務が停滞するリスクを最小限に抑えられるでしょう。

また、研修や学習の履歴とスキルマップをひも付けると、どのようなスキルを習得し、どの程度レベルが向上したかが可視化されるため、人材育成施策の効果測定にも活用できます。

上司・教育担当者の目的とメリット

次に、新入社員の上司や教育担当者にとっての3つの目的とメリットについて解説していきます。

新入社員のスキルレベルの「見える化」

スキルマップは、上司や教育担当者が新入社員のスキルレベルを客観的に把握するために役立ちます。個々の新入社員に不足しているスキルが一目で確認できることで、日々のOJTや指導の計画立案が容易になり最適なサポートをしやすくなります。

また、新入社員の育成は企業にとって重要なミッションですが、教育担当者にとっては自身の業務を圧迫する負担となる場合もあります。

スキルマップを導入して「新入社員に何を教えればよいか」「どのようなフォローアップが必要か」がすぐに分かるように体制を整えておくことで、負担を軽減できるでしょう。

効率的かつ効果的な人材育成計画の策定

スキルマップは新入社員のスキルの習得状況に応じた、効率的かつ効果的な育成計画の立案に役立ちます。一人一人の不足しているスキルを明確にし、その習得を集中的にサポートすることで、短期間でのスキル向上が期待できます。

さらに、研修の前後で新入社員のスキルがどれだけ向上したかを確認すれば、「どのスキルが一番伸びたか」「どの研修が有効だったか」などが分かり、効果測定が可能です。その結果に合わせて育成計画の見直しや改善を行えば、より高い効果が得られるでしょう。

また、新入社員の教育に複数の教育担当者が関わる場合も、スキルマップを基に指導内容に一貫性を持たせることができます。OJTの指導方針や内容の属人化を防ぎ、均質な教育が可能です。

公正な人事評価

スキルマップを全社で共有すれば、人事評価の基準が明確になり公平感が高まります。各スキル項目に対して定められた基準と照らし合わせて客観的に評価するため、評価者・被評価者双方が納得できる人事評価が可能です。

また一人の新入社員に複数の評価者が関与する場合も、統一された基準によってブレのない評価が実現します。評価結果への信頼はより強固になるでしょう。

新入社員のメリット

最後に、新入社員にとってのスキルマップのメリットを解説します。

スキルアップ促進と不安の解消

新入社員がスキルマップを確認することで、現時点での自分のレベルや目標達成に必要なスキルを理解できます。目標達成までの距離と次にやるべきことが明確になり、主体的にスキルアップに取り組めるようになるでしょう。

また、ライトワークスの調査(2025年)4では、内定者のうち半数以上の54.9%が「仕事をできるようになるか」という不安を感じていることが分かりました。

スキルマップの共有によって段階的なスキルアップの道筋が用意されていると分かれば、新入社員の不安が軽減され、配属後も自信を持って業務に臨めるようになるでしょう。

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モチベーション向上

スキルマップは、新入社員のモチベーションを高める上でも効果的です。目標に対して必要なスキルを確実に習得しているという実感は達成感につながります。定期的に自身の成長を確認できれば、キャリア形成への意識も高まり、長期的に高いモチベーションを維持できます。

さらにスキルマップを介することで、上司や教育担当者からのフィードバックが具体的かつ建設的なものになります。客観的な指標に照らし合わせた指導を受けられるので、納得感を得られ、成長意欲の向上が期待できます。

新入社員のスキルマップの作り方5ステップ【項目と評価基準の例あり】

では、新入社員の育成に役立つスキルマップはどのように作成すればよいのでしょうか。ここでは5つのステップに分けて、それぞれのポイントを解説していきます。

ステップ1:目的やゴールの明確化

スキルマップを導入する際には、「なぜ導入するのか」という目的と、「どうなりたいのか」というゴールを明確にすることが重要です。目的が明確になれば、スキルマップは単なるスキルの一覧表ではなく、戦略的な人材育成や人事施策の出発点となります。

例えば、「新入社員を半年で現場の戦力にする」という目的の達成のために「業務上必要なITスキルと顧客対応力を身に付ける」というゴールを設定します。それを関係部署と共有しておくことで、現場での指導や評価の一貫性が保たれ、スキルマップの運用が組織的に定着しやすくなります。

なお目的やゴールの設定においては、新入社員の配属先となる部署の意見も取り入れながら進めていきましょう。

ステップ2:新入社員に必要なスキルの洗い出し

目的とゴールが明確になったら、その実現のために必要なスキルを徹底的に洗い出します。これはスキルマップの骨格をつくる工程であり、知識・思考・行動などあらゆる側面から幅広く検討する必要があります。

まずは、全ての部署・職種で共通して求められる「報連相(報告・連絡・相談)のコミュニケーション」や「ビジネスマナー」といった基本的スキルからリストアップしていきましょう。

次に配属先の部署において、業務遂行のために必要なスキルや知識、行動を、現場の従業員からヒアリングしていきます。例えば営業職であれば「ヒアリング力」「提案資料の作成」「論理的思考力」など、実際に現場で必要なスキルを整理していきましょう。

ステップ3:スキル項目と評価基準の設定

洗い出したスキルをスキルマップに組み込むためには、項目を体系的に分類し、それぞれに明確な評価基準を設けなくてなりません。評価基準の設定には、厚生労働省の「職業能力評価基準」も参考にできます。

「職業能力評価基準」とは、業務に必要な「知識」「技術・技能」「職務遂行能力」を業種別および職種・職務別に整理したものです。以下の例は「職業能力評価基準」の「営業」のレベル1を参考にして作成しました。

【新入社員向けスキルマップの項目と評価基準の例:営業職の場合】

・項目例

スキル項目内容
ビジネス知識の習得・政治経済や一般常識など、ビジネス知識の習得に取り組んでいる ・自社の理念・事業・組織について理解している
PCの基本操作・Excel、PowerPoint、Wordの基本操作ができる ・情報セキュリティの基本知識を習得し、セキュリティ対策を実践している
企業倫理とコンプライアンス・必要な法令を理解し遵守している ・コンプライアンス上の問題が起こったら、速やかに上司や先輩へ報告・相談できる
営業の基礎・基本的な営業業務に必要な知識・セールストークを習得している ・顧客との関係構築ができる ・担当する業務の課題を整理し、業務改善ができる

(参考:厚生労働省「事務系職種(職業能力評価基準)」(閲覧日:2025年7月21日))

上記のような項目に対し、評価基準を設定します。ここでは、厚生労働省の「職業能力評価シート(「職業能力評価基準」を簡略化したチェック形式の評価シート)」の3段階評価を採用します。

・評価基準の例

一人でできている (下位者に教えることができるレベルを含む)
ほぼ一人でできている (一部、上位者・周囲の助けが必要なレベル)
できていない (常に上位者・周囲の助けが必要なレベル)

(参考:厚生労働省「職業能力評価シートについて」(閲覧日:2025年7月21日))

なお、ライトワークスが提供するLMS(Learning Management System:学習管理システム)「CAREERSHIP」のスキル管理機能を導入のお客様には、「職業能力評価基準」をベースに作成したスキルテンプレートを無償で提供しています。

スキルテンプレートを利用すれば、手軽に、具体的かつ網羅的なスキル項目リストの作成が可能です。

ステップ4:スキルと学習の整理・システムへの落とし込み

次に、設定したスキル項目と評価基準を、実際の育成プロセスへと落とし込んでいきます。各項目のスキルを研修・OJT・eラーニングなどの学習機会とひも付け、「このスキルを習得するためにどの学習をさせるか」を明確にする工程です。

スキル管理にLMSなどを利用する場合には、スキル評価の運用ルール、例えば評価タイミング、評価者の役割、評価結果の記録方法などを定め、データベースに反映させます。これによって新入社員教育とスキル管理をLMS上で一元管理できる体制が整い、スキルマップを効率的に運用することが可能になります。

スキル管理を組織全体で標準化・可視化するためにも、システム連携は非常に効果的です。

ステップ5:スキルマップの運用開始と定期的な見直し

スキルマップの設計が完了したら、いよいよ運用フェーズに入ります。まずはチームや部署ごとなど、スモールスタートでの運用もおすすめです。実際に活用しながらフィードバックを得て、改善しつつ徐々に組織全体へと移行していけばスムーズな運用が可能です。

本格的な運用開始後も、使用感や効果を継続的に確認しながら、定期的な見直しと改善を行います。業務内容の変化、企業戦略の転換、新たな技術の導入などに応じて、スキル項目や評価基準は柔軟に更新していかなくてはなりません。

継続的な改善を前提とした運用が、スキルマップの本当の価値を引き出す鍵となります。

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スキルマップで新入社員を効果的に育成するポイント

スキルマップを作成しただけでは、新入社員の育成において十分な成果を得ることはできません。ここでは効果的な運用のポイントを解説していきます。

定期的な見直しと更新

スキルマップは、継続的に見直し・更新することで、その効果を最大化できます。企業の事業戦略や業務内容、社会情勢、業務で使用するデジタルツールなどに変化があった場合、それらに対応したスキル項目や評価基準を設定しなければ、スキルマップもすぐに形骸化してしまうでしょう。

例えば、AIの進化によって従業員に求めるITリテラシーのレベルや内容が変化した場合、スキルマップもそれに応じて内容を更新する必要があります。

スキルマップは、ビジネス環境や時代、業界のトレンドに合わせて常に見直しを行うことで、自社の人材育成に継続的に貢献する実効性あるツールとなります。

社内共有と透明性の確保

スキルマップは、スキルと達成レベルの客観的で明確な基準として、誰にとっても納得感があることが強みです。その特性を生かすためには、全社での共有と透明性の確保が欠かせません。

そのため、スキルマップを導入する際には、社内説明会やガイドラインの作成・周知を通じ、全従業員に対して意義と運用ルールを丁寧に説明することが重要です。

また、全ての関係者がスキルマップにアクセスできるようにし、スキル習得のプロセスを共有することで、組織全体で取り組むという意識が育まれます。

運用の目的と人事制度との連動

スキルマップを組織内で定着させるためには、「何のためにスキル管理を行うのか」という運用の目的を明確にし、人事制度と連動させることが重要です。

例えば、「早期戦力化の推進」「人材育成の標準化」「公正な評価制度の構築」といった目的を明確にした上で、昇格・昇進、配置転換、昇給などに関わる人事評価にスキルマップの評価結果を反映するなどが考えられます。

こうした連動により、新入社員側に「スキル習得がキャリア構築に直結する」という認識が生まれ、主体的なスキルアップへの意欲を高める効果が期待できます。スキル管理の目的と人事制度の一貫性を保つことで、スキルマップを人材育成戦略の中核として活用できるのです。

LMSの活用

スキルマップを効率的かつ継続的に運用する上で、LMSの活用は非常に有効です。LMSには、eラーニングの配信・受講だけでなく、学習進捗や理解度の可視化、スキル管理などの機能が備わっているものもあります。

LMS上で個々の新入社員のスキルマップを管理し、評価結果や学習履歴を一元的に記録することで、「どのスキルが習得済みか」「どの研修が必要か」といった情報を一目で把握できます。

また、不足しているスキルと、それを強化するためのeラーニングコンテンツをひも付ければ、習得度に応じた個別最適な学習機会を提供できます。

さらにスキルデータベースとして活用することで、組織全体のスキル分布や人材育成状況を分析し、戦略的な人材配置や研修計画の策定にも生かせます。特に多拠点・大人数の企業においては、LMSの活用により人材育成の標準化と効率化が期待できるでしょう。

スキルマップ運用をより効果的に行うには、初期の段階からLMSと連携させておくことがおすすめです。

スキルマップの導入成功事例:アサヒグループジャパン株式会社

最後に、スキルマップの導入成功事例をご紹介します。

アサヒグループジャパン株式会社では、スキルマップとLMSを連携させた教育改革により、eラーニングコンテンツへのアクセス数を大幅に向上させることに成功しました。

同社では以前、eラーニングの活用に関して従業員3200人(取材当時)に対し月間平均500PVという、極めて少ないアクセス数が課題となっていました。

そこで2018年に導入したシステムが、LMS「CAREERSHIP」をベースとした独自ポータルサイト「Career Palette(キャリアパレット)」です。導入後、eラーニングコンテンツへのアクセス数は月平均6000PVと12倍に増加、従業員のキャリア形成を支援する学習プラットフォームへと発展させました。

「Career Palette」の鍵は、「ビュッフェ型からデリバリー型へ」「クローズド型からオープン型へ」「自社固有的から汎用的で柔軟性の高いシステムへ」という3つのコンセプトです。

これは、個々の従業員の元に最適化されたコンテンツをしっかりと届けること、他のベンダーの教材も必要に応じて利用できるようにすること、そしてグループ傘下の企業にも活用できるようにすることを意味しています。

この方針の下で、各職種×3ステージという形式のスキルマップ「ジョブディビジョンスキル表」において必要なスキルを明確化し、従業員一人一人に最適なコンテンツを届ける運用を実現しました。

また、これまで同社では一部の部門でそれぞれ異なるシステムを使用していましたが、それらの多くを「Career Palette」に集約し、利便性の向上やコスト削減を実現しました。「Career Palette」は、同社の人材戦略のための重要なインフラへと成長しています。

株式会社ライトワークス | 人材開発ソリューションパートナー

2018年にeラーニングシステムを一新すると、月平均PVは12倍に拡大。なぜ、そのような利用率の拡大が実現できたのでしょ…

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まとめ

スキルマップとは、従業員のスキルや知識のレベルを可視化し、効率的かつ効果的な育成を支援するためのツールです。

新入社員育成におけるスキルマップの活用シーンとしては、以下の3つがあります。

  • 新入社員の育成計画(ロードマップ)策定
  • 新入社員研修やOJTの進捗確認・効果測定
  • 1on1ミーティング

また、企業・人事担当者、上司・教育担当者、新入社員にとっての、スキルマップ導入の目的やメリットは以下の通りです。

【企業・人事担当者の目的とメリット】

  • 戦略的な新入社員育成
  • 新入社員の早期戦力化
  • 適切な人材マネジメントと組織のリスクマネジメント

【上司・教育担当者の目的とメリット】

  • 新入社員のスキルレベルの「見える化」
  • 効率的かつ効果的な人材育成計画の策定
  • 公正な人事評価

【新入社員のメリット】

  • スキルアップ促進と不安の解消
  • モチベーション向上

実際にスキルマップを作成するときには、以下の5ステップで進めていきます。

  • 目的やゴールの明確化
  • 新入社員に必要なスキルの洗い出し
  • スキル項目と評価基準の設定
  • スキルと学習の整理・システムへの落とし込み
  • スキルマップの運用開始と定期的な見直し

さらに、効果的に運用するためには以下のようなポイントも重要です。

  • 定期的な見直しと更新
  • 社内共有と透明性の確保
  • 運用の目的と人事制度との連動
  • LMSの活用

最後にご紹介したアサヒグループジャパン株式会社の事例では、スキルマップとLMSの連携により、eラーニングコンテンツへのアクセス数を12倍に向上させることに成功しました。

従業員のキャリア形成支援と学びの活性化を実現した同社の取り組みは、多くの企業にとってスキルマップ定着のモデルケースとなるでしょう。

新入社員育成にスキルマップを活用することで得られる効果は、スキル管理の効率化だけではありません。新入社員の主体的な学びを促し、教育担当者の負担を軽減、さらに企業として戦略的な人材育成の推進につながります。

この記事でご紹介した活用ポイントや導入事例が、自社のスキルマップ導入・運用の際にお役に立てば幸いです。

  1. 厚生労働省「新しい時代の働き方に関する研究会 報告書 参考資料」,2023年11月13日公表,P10,https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001166380.pdf(閲覧日2025年7月31日) ↩︎
  2. 経済産業省「人的資本経営 ~人材の価値を最大限に引き出す~」,https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinteki_shihon/index.html(閲覧日2025年7月31日) ↩︎
  3. 株式会社ライトワークス「内定者研修と内定者のホンネ調査レポート 2025」,P4,27(閲覧日:2025年7月31日) ↩︎
  4. 株式会社ライトワークス「内定者研修と内定者のホンネ調査レポート 2025」,P4(閲覧日:2025年7月20日) ↩︎

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