「会議で同じ人ばかり発言している。多様な意見を引き出す良い方法はないだろうか?」
会議についての悩みは、多くの管理職やファシリテーターが抱えているのではないでしょうか。
株式会社識学の調査によると、会議について何かしらの悩みを抱えている一般従業員・管理職は84.7%に上りました。悩みのトップ2は、「発言する人がいつも同じ」(42.0%)と「議論が進まない」(36.7%)です1。
「声の大きい人に遠慮してしまう」「自分の意見に自信を持てない」などの理由から、発言を控えている従業員が少なくないと考えられます。
このような状況の改善に役立つのが「ワールドカフェ」方式の話し合いです。
ワールドカフェは話し合いのスタイルの一つです。フォーマルな会議とは異なり、結論や解決策を求める必要はありません。自由に知識や意見を共有し、新しい視点を得たり、アイデアを生み出したりすることが目的です。
飲み物やお菓子を用意して、カフェのようなリラックスした雰囲気の中、4~5人のグループで話し合いを行います。少人数かつメンバー全員が発言する機会を持つ工夫がされているため、多様な意見が集まりやすく、参加者同士の信頼関係も深まります。
本稿では、初めてワールドカフェを実施する人にもわかりやすいよう、事前準備と実践の方法、メリットと注意点、問題と対策、企業事例などを丁寧に解説します。ぜひ参考にしてください。
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「優秀な人材をひきつける企業文化とは、どのようなものだろうか?」「優れた企業文化があれば、従業員の離職を防ぐことができるのだろうか?」日ごろの業務のなかで、一度は『企業文化』という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょう[…]
AIで要約
- カフェのようなリラックスした雰囲気で、自由に意見を交換する対話形式です。
- 少人数で話し合い、席替えを繰り返すことで多様な知識や視点を共有できます。
- 結論を出すことよりも、参加者同士の相互理解や新しいアイデア創出が目的です。
ワールドカフェとは?基本概念から理解する
最初に、ワールドカフェとは何か、基本的な内容を確認しましょう。
ワールドカフェの概要と由来
ワールドカフェとは、参加者が対話を通じてアイデアを共有し、新たな知見を得ることを目的とした話し合いのスタイルの一つです。米国で企業等の戦略的ダイアログの推進やコミュニティーの構築の支援を行うアニータ・ブラウンとデイビッド・アイザックスによって1995年に提唱されました2。
フォーマルな会議とは異なり、ドリンクやお菓子を用意して、リラックスした雰囲気で自由に意見を交換する様子がカフェをイメージさせることから「ワールドカフェ」と呼ばれています。
大まかなルールはありますが、実施方法や規模について特に決まりはありません。10人程度の少人数から100人以上の大人数まで様々な場面で活用できます。
ワールドカフェの目的と意義
ワールドカフェの目的は、参加者全員が深い対話を通じて知識や意見を共有し、新たな視点を得たり、アイデアを生み出したりすることです。通常の会議やミーティングとは異なり、結論や解決策は求めません。
ワールドカフェを行う具体的な意義として、以下の3点が挙げられます。
- 知識の共有
- 多様な意見
- 新たなアイデアの創出
知識の共有
一つのテーマについて多様な視点から話し合うことで、参加者それぞれが持つ知識を共有します。
多様な意見
異なるバックグラウンドを持つ参加者が集まることで多種多様な意見が交わされ、参加者同士の相互理解と信頼関係の構築を促します。
新たなアイデアの創出
自由な雰囲気の中での対話を通じて、新たなアイデアや解決策が創出されます。
これらの要素が組織内のコミュニケーションの質を向上させ、問題解決や創造的なアイデア生成に寄与します。
ワールドカフェとワークショップの違い
ワールドカフェとワークショップはどちらもグループで議論する手法ですが、その運用方法や目的には大きな違いがあります。以下にそれぞれの特徴を整理してみました。
【ワールドカフェ】
目的:自由な雰囲気の中で参加者全員がアイデアを出し、相互理解を深める
運用方法:会話が主体で、結論を急がずゆったりと意見を出し合う
【ワークショップ】
目的:具体的な課題解決やアイデア創出を目指す
運用方法:議事進行役(ファシリテーター)が場をけん引し、具体的なアウトプットを目指す
つまり、ワールドカフェは対話と共有を重視し、ワークショップは具体的な結果を求めます。適切な手法を選ぶことで、より効果的な議論が可能となります。
ワールドカフェの特徴
ここからはワールドカフェの特徴をより詳しく見ていきましょう。
ワールドカフェの特徴は「カフェ的会話」
ワールドカフェの主な特徴として、「カフェ的会話」があります。カフェ的会話とは、形式ばった会議やディスカッションとは異なり、リラックスした雰囲気の中で自由に意見を交換し、対話を深めるスタイルを指します。
カフェ的会話のポイントは、以下のような要素です。
- 会話の進め方
- 場の設定
- 参加の姿勢
会話の進め方
カジュアルな雰囲気の中で、自然な会話の流れを大切にします。参加者全員が話しやすい環境を作ることが求められます。
場の設定
実際のカフェのような空間を作り出します。ソファやテーブルを配置し、参加者がリラックスしやすい環境を整えます。
参加の姿勢
議論を強制するのではなく、自由に意見を述べ、他の参加者の意見を尊重する姿勢が求められます。
このようなカフェ的会話が、ワールドカフェの活動を通じて新たなアイデアや視点を生み出し、深い相互理解を促進する重要な要素となります。
ワールドカフェは対話を通した相互理解を目指す
ワールドカフェの魅力の一つは、「対話」にあります。一見、ただの会話のように思えますが、それぞれが自由に意見を述べ、共有することで、新しい視点や知識を得られます。その過程で相互理解を深め、共通認識を持つに至るのがワールドカフェの特徴です。
ワールドカフェでは全体で共通のテーマを設定し、4~5人のグループに分かれてそのテーマについて自由に話し合います。そして、決められた時間が経つと参加者は他のテーブルに移動し、新たなメンバーと対話を繰り返します。この「席替え」が重要で、新たな視点を吸収しながら、自分の意見も広く共有できる機会となります。
このような対話のプロセスを通じて、参加者は他者の考えを理解し、自身の視野を拡大するという「相互理解」を目指します。
ワールドカフェの進め方:初心者でも始められるステップ・バイ・ステップガイド
ワールドカフェを実践するにはどのようなステップを踏めばよいのでしょうか。初めての方にもわかりやすく、注意点と併せて解説します。
準備のポイント
まずはワールドカフェの準備を行います。ポイントは以下の三つです。
- 目的の確認
- テーマの設定
- テーブルの工夫
目的の確認
最初の重要なポイントは、目的の確認です。集まった皆が「何のためにここにいるのか」という目的を共有することで一体感を生み出すことができます。
企業が従業員向けに行うのであれば、例えば、「他部署との交流促進」「新しいアイデアをたくさん出す」などが考えられます。
テーマの設定
テーマは対話を生み出すキーとなりますので、参加者が興味を持ちやすいもの、また深堀りしたいと思うものを選びましょう。具体的でありつつも広範であることが理想的です。
例えば、「今期の振り返り」「商品(またはサービス)の改良について」などが考えられます。
テーブルの工夫
最後に、テーブルの工夫です。飲み物やお菓子を用意したり、花を飾ったりするなど、ゆっくりと話ができるカフェのような雰囲気づくりが大切です。テーブルには模造紙や色鉛筆を用意し、アイデアを自由に書き出せる環境をつくりましょう。
また、参加者が自由に意見を出すための工夫も忘れてはいけません。以下のようなルールをあらかじめ周知しておきましょう。
- 対話を楽しむ
- 一人が話し、他のメンバーは話を聞く
- メンバーの意見を否定せず受け入れる
- 積極的に質問をする
ルールと進行の手順
準備ができたらいよいよ実践です。ワールドカフェには一定のルールと次のような進行手順があります。
Step.1テーブルでの話し合い(1回目)
Step.2席替え(1回目)→テーブルでの話し合い(2回目)
Step.3席替え(2回目)→テーブルでの話し合い(3回目)
Step.4総括
Step.1 テーブルでの話し合い(1回目)
まず、参加者は4~5人で一つのテーブルを囲み、設定されたテーマについて自由に話し合います。この時、発言する人はトーキングオブジェクトを持つようにします。
トーキングオブジェクトとは、発言する人が持つアイテムのことです。石や小さなボール、ぬいぐるみなどを使用します。トーキングオブジェクトを持っている人が話し、持っていない人は話を聞くという役割を明確にするものです。
トーキングオブジェクトをテーブルの中央に置き、発言したい人がそれを取り、話し終わったら元の位置に戻す、というように運用します。
Step.2 席替え(1回目)→テーブルでの話し合い(2回目)
20~30分ほどの決められた時間が経過したら、席替えの時間です。その際、各テーブルにはホストと呼ばれる一人が残り、新たに来た参加者にこれまでの話し合いの要約を伝える役割を担います。
Step.3 席替え(2回目)→テーブルでの話し合い(3回目)
20~30分ほどの決められた時間が経過したら、2回目の席替えです。1回目の席替えと同じく、ホストは移動しません。ホスト以外の参加者は、「話し合い(1回目)」のテーブルに戻ります。
これまでの席替えで他の参加者と対話したことにより、自分の意見が変わったり、新たなアイデアを思いついたりするでしょう。改めて自分の考えや、他のテーブルで得た知識やアイデアを「話し合い(1回目)」のテーブルで共有します。
なお、テーマの数、席替え・話し合いの回数(ラウンド)や時間についてのルールはなく、自由に設定できます。その場の雰囲気で変更しても構いません。
席替えと話し合いを繰り返すと、多角的な視点からテーマについて深く考えることができるようになります。まるで参加者全員と話し合いをしたかのような効果を得られるのです。
Step.4 総括
最後に、参加者全員で情報を共有します。模造紙やホワイトボードに書き出しても良いでしょう。各テーブルから得られた洞察やアイデアを共有することで、新たな視点や解決策を発見できます。
ワールドカフェのメリットと注意点
ワールドカフェには、大きなメリットの一方で注意しなければならない点もあります。詳しく見ていきましょう。
ワールドカフェのメリット
ワールドカフェには以下のようなメリットがあります。
- 参加者全員が意見を出しやすい
- 多様な意見に触れられる
- 信頼関係が深まる
参加者全員が意見を出しやすい
カフェのようなくつろぎの空間で対話をするため、自由で開かれた意見交換が行われます。会議やミーティングでは緊張してうまく話せないという人でも、リラックスして参加できます。
また、参加者が多数であっても、4~5人のグループに分かれて話し合いをするため、人前で話すのが苦手という人でも話しやすいでしょう。
多様な意見に触れられる
席替えによって一定時間ごとに参加するテーブルを変えるため、常に新しい視点や意見に触れることができます。
さらに、自分の意見に加え、前に参加したテーブルの意見を次のテーブルで共有するため、直接話す人数が少なくても大勢の意見に触れることができ、より深い議論や発想を引き出せます。
信頼関係が深まる
共に語り合うことで、参加者同士の相互理解を促し、信頼関係が深まります。一つのテーブルは4~5人の少人数であるため、普段オープンにしない話やプライベートな内容も気軽に話しやすく、共感を得たり親しみを感じたりといった雰囲気づくりが可能です。
組織内の異なる部署やチームでワールドカフェを行えばコミュニケーションが活性化し、風通しの良い組織づくりにも役立つでしょう。
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ワールドカフェの注意点
ワールドカフェの注意点として、以下の三つが挙げられます。
- 結論を急がない
- 話し合いの流れの可視化
- 発言量をコントロールする
結論を急がない
ワールドカフェでは、結論を急いではならず、参加者全員の意見を尊重することが大切です。それぞれのテーブルで自由な意見交換を行うことに意義があるので、無理に結論を出そうとしたり、優劣をつけたりするのは良くありません。
話し合いの流れの可視化
自由な雰囲気で話し合いをするワールドカフェがは、新しい意見やアイデアの創出を促します。一方で、次々と出される意見やアイデアをしっかり把握し整理するには、話し合いの流れを可視化する工夫をしなければなりません。
これには、模造紙をうまく活用すると良いでしょう。各テーブルに用意して参加者の意見や考えを書き出し、共有することで新たな視点やアイデアが見つかることがあります。模造紙の活用により話し合いの流れを視覚化し、より深い理解を促進します。
発言量をコントロールする
ワールドカフェの話し合いは4、5人の少人数グループで行われます。時間内にメンバー全員が発言の機会を持てるよう、発言量のコントロールが必要です。
そのために活用したいのが、トーキングオブジェクトです。これは話す権利を示すアイテムで、持っている人だけが発言できるというルールが一般的です。
限られた時間の中で、一人が長時間話すことを防いだり、発言の少ない人にトーキングオブジェクトを渡し、発言の機会を増やしたりといったことが可能です。
ワールドカフェのお題・テーマの作り方:効果的な問いの設定方法
ワールドカフェをより実りあるものにするためには、参加者が積極的に対話したくなるような、魅力的なお題・テーマの設定が重要です。ここではそのポイントを三つご紹介します。
力強い問い(テーマ)の設定
力強い問い(テーマ)は、話し合いに焦点と一貫性を与えます。参加者が話を組み立てやすくなってより活発に意見交換が行われ、相互理解も深まるでしょう。
「力強い問い」とは、以下のような条件を満たすものをいいます。
- シンプルで明確
- 発想を促す
- エネルギーが湧いてくる
- テーマに集中して探索することを促す
- 思い込みを気付かせる
- 理想の状態や新しい
世界可能性に目を向けるを開く - 内省を促す
- 自分事として考えられる
例えば、「あなたがこのプロジェクトのリーダーだったらどうしますか?」や、「この事態を改善するために必要なものは何だと思いますか?」など、個々の視点や経験を引き出すような問いは当事者意識を持ちやすく、理想の状態をつくるための発想を促しており、効果的と言えます。
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オープンな問いの設定
ワールドカフェでは、参加者が自由に意見を共有・発展させるために、オープンな問いが重要です。
オープンな問いとは、イエス・ノーで答えられるような単純な質問ではなく、多角的な視点や意見、感想を引き出す開放的な質問のことです。
オープンな問いを設定することで、参加者自身の視点や感じ方、考え方をより深く掘り下げ、本質的な議論を引き出すことが可能になります。
例えば、以下のような問いは、具体的で深掘りする問い方に変更しましょう。
- 「それは重要だ(重要でない)と思いますか?」 → 「なぜそれが重要だ(重要でない)と思いますか?」
- 「それはあなたに影響を与えますか?」 → 「それがもたらす影響についてどう思いますか?」
ポジティブな問いの設定
ワールドカフェでは、議論を生産的かつ建設的に進めるために、ポジティブな問いが重要となります。ポジティブな問いとは、参加者の意見や経験を前向きに引き出す質問のことです。
問い設定の際は、ポジティブな言葉を用い、解決策や新規アイデアを引き出すような形にしましょう。ネガティブな表現はマイナスの感情を生み出し、自由な発想を妨げかねないからです。
例えば、「問題点は何ですか?」という問いは、「どのように改善できますか?」という形に改めると、より未来志向で積極的な議論を促すことができます。
また、過去の成功体験を引き出す問いも効果的です。「これまでの取り組みで成功した事例は何ですか?」と問うことで、参加者は自身の経験や知識を再確認し、新たな視点を提供することが可能となります。
ポジティブな問いの設定は、議論の質を高めるだけでなく、参加者全員が主体的に取り組むことを促進します。
ワールドカフェの問題点と対策
ワールドカフェは対話を通じた新たなアイデアや知識の創出を目指す方法ですが、一方で課題も存在します。二つの問題点と対策を確認しておきましょう。
- 話が脱線しやすい
- 発言機会や意見が偏ってしまう
話が脱線しやすい
一つ目は、話が脱線しやすい点です。ワールドカフェは自由な雰囲気で意見を出していく形式なので、単なる雑談になってしまったり、脱線した後の軌道修正がうまくいかなかったりすることがあります。
対策として、各テーブルのホスト役が対話の流れを管理し、テーマから外れないようにするのがよいでしょう。
発言機会や意見が偏ってしまう
二つ目は、発言する人と聞く人のバランスが崩れやすい点です。一部の人が主導して話が進んでしまい、他の人の発言機会が減少することがあります。
対策として、発言の少ない人にトーキングオブジェクトを渡すなどして、決められた時間内にメンバー全員が発言できるようにしましょう。
また、参加者の属性によっては意見が偏ってしまう場合があります。これを防ぐには、多様な属性の参加者をテーブルごとにバランス良く配置することが有効です。十分なバラエティを確保するため、参加者の背景や専門性を考慮し、できるだけ異なる属性の人が混ざるよう工夫します。
例えば、4人グループを作る場合、営業部門3人と事務部門1人ではなく、営業部門と事務部門2人ずつ、もしくは4人全員異なる部門の従業員で構成するといった形です。
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各種企業でのワールドカフェ導入事例
最後に、ワールドカフェを実践している企業の事例をご紹介します。ぜひ参考にしてください。
社会医療法人友愛会 友愛医療センター
沖縄県の友愛医療センターでは、入職1年目の全職員を対象に、入職してからの1年間を振り返る研修としてワールドカフェを実施しました。
「1年間の振り返りと先輩になるための準備」をテーマとして、ドリンクやお菓子を用意してグループで話し合いが行われました。参加者は職種や所属事業所が多岐にわたり、入職以来の再会となる同期もいましたが、次第に打ち解け、和気あいあいとした雰囲気で進行しました。
前半には「成長した私」、「2年目への課題」について、後半には「先輩として準備すること」について話し合いました。
参加者からは、「普段なかなか関われない同期とも色々な話ができて、自分も頑張ろうと思った」「他の事業所や職種の実情が知れて、他職種への理解が深まった」3という感想が挙がったということです。
株式会社日立システムズ
日立グループのSIerである日立システムズは、サステナビリティ経営の一環として従業員を対象とした「日立システムズWayワールド・カフェ」を開催しています。これまでに約3,300名が参加しているということです(2024年1月16日現在)。
普段なかなか考える機会のない「仕事をする意義」や「仕事と社会とのつながり」といったテーマについて話し合い、会社や仕事に対する自分の思いを確認しています。
ワールドカフェへの参加によって、自分の仕事を通じた社会貢献を考える機会を作り、サステナビリティ意識の醸成を図っています。
株式会社富士通ゼネラル
富士通グループの電機メーカー、富士通ゼネラルでは、2017年から健康経営の推進活動に取り組んでいます。健康経営とは、従業員の健康維持・増進が将来的に収益性を高める投資と考え、経営的視点から従業員の心身の健康管理に取り組むことです。
その取り組みの一つが「健康いきいきワールドカフェ」です。「職場の強み」や「社会問題(防災、健康格差、メンタルヘルスなど)を解決するには」などをテーマとして取り上げ、従業員間のコミュニケーションやイノベーションを促進しています。
同社が取り入れた職場改善のプログラムにおいて、この取り組みは本来、従業員のストレスチェックの結果が良くなかった職場だけで実施するものです。しかし同社では、職場環境が良好な部署の取り組みを、課題のある部署に波及させることを狙いとして全ての職場で実施しています。
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まとめ
ワールドカフェとは、参加者が対話を通じてアイデアを共有し、新たな知見を得るための方法の一つです。
会議室で行うフォーマルな会議やミーティングとは異なり、ドリンクやお菓子を用意して、リラックスした雰囲気で自由に意見を交換する様子がカフェをイメージさせることから「ワールドカフェ」と呼ばれています。
ワールドカフェを行う意義として、以下の3点が挙げられます。
- 知識の共有
- 多様な意見
- 新たなアイデアの創出
ワールドカフェとワークショップの違いは以下のとおりです。
【ワールドカフェ】
目的:参加者全員が自由な雰囲気の中でアイデアを出し、相互理解を深める
運用方法:会話が主体で、結論を急がずゆったりと意見を出し合う
【ワークショップ】
目的:具体的な課題解決やアイデア創出を目指す
運用方法:議事進行役が場をけん引し、具体的なアウトプットを目指す
ワールドカフェの特徴である「カフェ的会話」のポイントは以下のとおりです。
- 会話の進め行
- 場の設定
- 参加の姿勢
また、ワールドカフェの魅力の一つは、「対話」にあります。自由に意見を述べ、共有することで新しい視点や知識を得られます。その過程で相互理解を深め、共通認識を持つに至るのがワールドカフェの特徴です。
ワールドカフェの準備のポイントは以下のとおりです。
- 目的の確認
- テーマの設定
- テーブルの工夫
ワールドカフェの基本的な進行手順は以下のとおりです。
Step.1テーブルでの話し合い(1回目)
Step.2席替え(1回目)→テーブルでの話し合い(2回目)
Step.3席替え(2回目)→テーブルでの話し合い(3回目)
Step.4総括
ワールドカフェには以下のようなメリットがあります。
- 参加者全員が意見を出しやすい
- 多様な意見に触れられる
- 信頼関係が深まる
ワールドカフェの注意点として、以下の三つが挙げられます。
- 結論を急がない
- 話し合いの流れの可視化
- 発言量をコントロールする
ワールドカフェのお題・テーマの設定のポイントは以下のとおりです。
- 力強い問い(テーマ)の設定
- オープンな問いの設定
- ポジティブな問いの設定
ワールドカフェの問題点は以下のとおりです。
- 話が脱線しやすい
- 発言機会や意見が偏ってしまう
最後に、ワールドカフェを実践している企業の事例をご紹介しました。
- 社会医療法人友愛会友愛医療センター
- 株式会社日立システムズ
- 株式会社富士通ゼネラル
ワールドカフェは、通常の会議とは異なり、カジュアルな雰囲気で自由に意見を共有する場です。いつもの会議の活性化や雰囲気づくりにお悩みの場合は、ワールドカフェを試してみてはいかがでしょうか?
- 株式会社識学「会議に関する調査」, 2022年8月23日(閲覧日:2024年1月18日) ↩︎
- 四国地区大学教職員能力開発ネットワーク(SPOD)「ワールド・カフェの手引き」, SPODフォーラム2012資料(閲覧日:2024年1月12日) ↩︎
- 社会医療法人友愛会 友愛医療センター「入職1年目の振り返り研修『ワールドカフェ」を実施しました」(閲覧日:2024年1月16日) ↩︎
参考)
畑中謙吾, 森田康夫「PIにおける『ワールド・カフェ」方式の適用可能性に関する考察」, 『土木計画学研究・講演集』, 第43回, 2011
ワールド・カフェ・ネット「ワールド・カフェとは?」, https://world-cafe.net/about/about-01/(閲覧日:2024年1月16日)
PHP人材開発「ワールドカフェとは? 目的や効果、進め方のポイントを解説」, https://hrd.php.co.jp/hr-strategy/od/post-1335.php(閲覧日:2024年1月16日)
株式会社日立システムズ「サステナビリティ経営の実現に向けて」, https://www.hitachi-systems.com/sustainability/management/topics/(閲覧日:2024年1月16日)
ニュースイッチ「健康経営のアレンジで職場は魅力的になる? 富士通ゼネラルが職場環境を整備」, https://newswitch.jp/p/18463 (閲覧日:2024年2月21日)
富士通ゼネラルグループ 健康白書「6. 従業員・家族への支援 e. 職場の活性化」, https://www.fujitsu-general.com/jp/health-productivity/support.html (閲覧日:2024年2月21日)




