ジョブクラフティングとは 「やりがい」で自律性を高める方法を解説

「メンバーの自律性を高めていきたい。良い方法はあるだろうか?」

テレワークが浸透するなど働き方が多様化したことや、刻々と変化するビジネス環境への柔軟な対応が求められていることから、今、企業では自律型人材が求められています。 

自律型人材とは、自ら考え、判断をして能動的に行動できる人材を指します。従業員が受け身でなく主体的に仕事に取り組むためには何が重要かと考えると、一つは「やりがい」ではないでしょうか。

割り当てられた仕事をこなしているだけでは、仕事に対してやりがいを感じることは難しいものです。今回ご紹介する「ジョブクラフティング」は、「やらされている感」を解消し、従業員が自ら仕事にやりがいを見出し主体的に取り組む方法として、今注目されている考え方です。

本稿では、ジョブクラフティングの定義や注目されている背景、メリット・デメリットについて解説します。ジョブクラフティングを実行するステップやその際のポイントもお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。

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AIで要約

  • ジョブクラフティングは、従業員自身が仕事にやりがいを見出し、意義深いものに変えるための人材育成方法です。
  • この取り組みの主体は従業員自身であり、企業は円滑に進むようサポートすることが重要です。
  • 仕事への取り組み方、人間関係、仕事内容・方法の3つの視点から仕事を見直します。

ジョブクラフティングとは?仕事の「意義」を自分で変えること

まず、ジョブクラフティングの言葉の意味を確認しておきましょう。

ジョブクラフティングの定義

2001年に米国で提唱された「ジョブクラフティング」は、従業員が主体性を持って仕事をするための人材育成法の一つとして注目されている考え方です。

従業員が、仕事を「やらされている退屈な作業」と感じていると、仕事への責任感やプロとしての意識を持ちにくく、生産性に影響が及んでしまいます。

ジョブクラフティングでは従業員自身が主体となり、仕事に対する考え方や取り組み方を変化させます。与えられた業務に自分なりの変化を加えて仕事を作り上げることで、「やらされている退屈な作業」と捉えていた仕事が「やりがいのある意義深いもの」に変化します。従業員が自ら意欲的に仕事に取り組むようになるため、生産性や業績の向上が期待できます。

ジョブクラフティングを取り入れるために、仕事や従業員に大きな変化を加える必要はありません。最初は、業務のやり方を工夫したり仕事に対する考え方を見直したりといった、ささやかな変化を与えます。このような小さな変化の積み重ねが自分だけの経験となり、やがて仕事にやりがいや意義を感じられるような大きな変化をもたらすことになります。

ジョブクラフティングについては、現在も研究が進められています。仕事にポジティブな価値を見つけるというもともとの観点だけでなく、「やりたくない仕事をやらないですむようにしよう」、「苦手な人を避けよう」といった、ネガティブなものを回避する考え方も注目されているテーマです。

他にも、ジョブクラフティングを行うことによって周囲の人へ与えるポジティブまたはネガティブな影響や、仕事以外の活動がジョブクラフティングに及ぼす影響なども注目されています1

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ジョブクラフティングの事例:東京ディズニーリゾート

ジョブクラフティングの事例として有名なのが「東京ディズニーリゾートの清掃スタッフ」です。東京ディズニーリゾートで働く清掃スタッフは、ただ黙々と掃除をしているのではなく、来場客を楽しませる工夫をしています。

例えば、ぬらしたほうきで地面にキャラクターを描いたり、落ち葉でキャラクターの形を作ったり、ユーモアを交えた道案内をしてくれたりしています。スタッフ一人一人が単なる清掃スタッフではなく、来場客をもてなすキャストとして仕事を捉えているのです。

「ジョブデザイン」との違いと「ジョブメイキング」でない理由

ジョブクラフティングと比較される考え方に「ジョブデザイン」があります。ジョブデザインとは、従業員に仕事への「やりがい」を持ってもらい、モチベーションを高める手法です。

この点については、ジョブクラフティングとジョブデザインの考え方はほぼ同じです。そもそもジョブクラフティングはジョブデザインの考えをベースとしているため、基本的な考え方は似ています

しかし、決定的なのが主体者の違いです。ジョブクラフティングにおいては従業員自身が主体となって行動しますが、ジョブデザインでは上司や組織からの働きかけが主体です。上司や組織が「働きがいのある仕事」を設計し、従業員に取り組んでもらうという考えなので、従業員は受け身の存在です。

また、ジョブデザインの考え方においては、従業員の性格や価値観の違いなどは考慮されません。この点もジョブクラフティングとは異なる考え方です。

仕事の認識を変え、やりがいのある仕事に作り替えるという意味では、「ジョブメイキング」でも良いのではと思う方もいるかもしれません。

そもそも「メイク(make)」は「ないものを作り上げる」というニュアンスがあります。一方、「クラフト(craft)」には「主に手などを使って何かを生み出す」というニュアンスがあります。

ジョブクラフティングの考え方は「今の仕事を自分なりの認識や経験を加えて変化させること」なので、イチから作り上げるのではありません。そのため、手を加えて新たなものを生み出す意味の「クラフト」が使われています。

ジョブクラフティングが注目されている背景

ジョブクラフティングが注目されている背景には、以下のようなことがあります。

  • 仕事内容が複雑になり成果が曖昧になっている
  • 終身雇用の崩壊により組織と従業員の関係性が変化している
  • 人間関係が希薄になりやすい

一つずつ見ていきましょう。

仕事内容が複雑になり成果が曖昧になっている

ジョブクラフティングが注目されている背景の一つが「仕事内容の変化」です。

近年、社会環境の変化の速さや業務の多様化などによって、仕事内容が複雑になっています。仕事内容が複雑になると、単に指示された業務を行っているだけでは成果を上げるのが難しい上、自分が取り組んでいる仕事が自社や社会にもたらす影響を実感しにくくなってしまうでしょう。そうなると、従業員は仕事にやりがいを感じられなくなってしまいます。

その結果、仕事に対する自発性が薄れてしまいやすい環境にあると言えます。

終身雇用の崩壊により組織と従業員の関係性が変化している

ジョブクラフティングが注目される背景として「終身雇用の崩壊」も挙げられます。

ひと昔前までは、新卒で入社した企業に定年まで勤め上げるのが一般的でした。評価についても、勤続年数が長いほど賃金や役職が上がるという年功序列の考え方があったため、組織は評価をしやすかったと言えるでしょう。

しかし現在、終身雇用が崩壊しつつある中で、組織と従業員の関係性は変わってきています。以前のように、単に仕事をしているだけでは、従業員にキャリアアップを約束できない状況になっているのです。

そのような状況において、従業員のキャリアを開発するには「一人一人が仕事に対してやりがいを持つことが大切だ」と認識され始めています。

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人間関係が希薄になりやすい

ひと昔前までの日本企業は、同僚や顧客、取引先など多くの人と密に関係を築いて仕事をしてきました。人と関わる中でやりがいを感じたり評価されたりといったこともあったでしょう。

しかし現在は、専門性の高まりによる個業化やテレワークの普及などによって、人間関係が希薄になりつつあります。ジョブクラフティングは、人間関係についても切り込めるため、人間関係の構築を通して仕事にやりがいを感じられる機会を増やせると期待されているのです。

ジョブクラフティングは、以上のような仕事内容や職場環境の変化によって注目されています。

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ジョブクラフティングに必要な3つの視点

ジョブクラフティングには3つの視点が必要です。ここからは、この3つの視点について、1-2.の東京ディズニーリゾート清掃スタッフの例と照らし合わせながら解説します。

仕事への取り組み方

一つ目が「仕事への取り組み方」の視点です。仕事にはどのような目的があるのか、自分の仕事が会社にとってどのような意味があり、どのように社会に役立つのかなどを、広い視野で考えます。

前述の東京ディズニーリゾートの清掃スタッフの例では、「施設内をキレイに保つことが来場者をもてなすことにつながる」という認識を持って働いていることがわかります。単に「掃除をすればよい」と考えるのではなく、来場者に何ができるのかといった視点で仕事を認識することで、仕事自体を自分にとって価値のあるものに変えているのです。

人間関係

二つ目の視点が「人間関係」です。ここで言う人間関係とは、単に人付き合いを増やせばいいということではありません。信頼できる人と関わって助言をもらったり、やりがいを感じやすいように、他者と良好な関係を築けるよう工夫したりすることです。

例えば、「チームの役に立ちたい」、「お客様に喜んでほしい」というように周囲の人を思って行動することで、仕事の手ごたえを実感する機会を増やせるでしょう。

東京ディズニーリゾートの清掃スタッフは、道を尋ねてきた人や写真撮影を依頼してきた人にパフォーマンスを見せながら対応するなど、ユーモアにあふれています。

そのように接してもらえた来場者は楽しくワクワクした気分になり、笑顔になったり感謝の言葉を口にしたりするでしょう。このように、自らの働きかけで良好な人間関係を築き仕事を評価してもらえることで、仕事へのやりがいを感じられるのです。

仕事の内容・方法

三つ目に「仕事の内容・方法」からの視点があります。実際の仕事内容や取り組み方などを見直し、改善点を見つけたり工夫をしたりします。日頃なんとなくこなしている業務でも、改めてその内容を確認してみると何かしらの気づきを得られるでしょう。

例えば、仕事の範囲や量が自分に合っていないことに気付く、決められている業務の順序に違和感を覚えるといったことです。そのような場合は、上司に相談するなどして自分の力量に見合う仕事に調整したり、効率的な順序に変更したりするのも良い案です。自分で仕事内容を検討することで、主体的に仕事に取り組めるでしょう。

東京ディズニーリゾートの清掃スタッフの場合、地面に絵を描く、落ち葉でキャラクターの形を作るといったユーモアを交えながら清掃をしています。もちろん施設内をキレイにするのが清掃スタッフの仕事なのですが、その中に工夫を入れることで来場者にさらに喜んでもらえる仕事ができるのです。

以上の「仕事への取り組み方」「人間関係」「仕事の内容・方法」という3つの視点が、ジョブクラフティングにおいて重要な考え方です。

ジョブクラフティングによって期待されるメリット

ここからは、ジョブクラフティングによって期待されるメリットとして以下の6つに注目して解説します。

  • 従業員のモチベーション向上
  • リーダー育成に役立つ
  • 人間関係の改善
  • 優秀な人材の定着化
  • 生産性の向上
  • 新しいアイデアが生まれやすくなる

従業員のモチベーション向上

ジョブクラフティングを実行すると、従業員が考える「仕事の意義」や「社会への貢献度」が大きく変わります。「やらされ感」が解消され、働くこと自体にやりがいを感じられるようになるため、モチベーションが向上し、さらにそのモチベーションをキープできるようになるでしょう。

モチベーションが高い従業員が増えると、個人の評価や企業の業績に良い影響を与えます。

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リーダー育成に役立つ

ジョブクラフティングを実行することは、リーダーの育成にも役立ちます。主体的に仕事に取り組むには、自分の役割を理解し、計画を立て、周囲と協力するといったリーダーに必須のスキルが求められます。ジョブクラフティングを行うことで自然とリーダーシップを鍛える機会が増えるため、リーダーの育成を促進できます。

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人間関係の改善

ジョブクラフティングを実行することで、人間関係の改善も期待できます。ジョブクラフティングにおいては、自分が仕事をしやすい環境を作るためには人間関係が大切だと考えられています。

やりがいを感じられるよう人間関係を変化させることで、これまで以上に活気のある密なコミュニケーションが実現します。そのようなコミュニケーションは、仕事のやりがいを見いだすきっかけとなるでしょう。

また、良好なコミュニケーションがとれていると、人間関係によるストレスを軽減できます。ストレスなく仕事に集中してもらえる点も、ジョブクラフティングのメリットと言えそうです。

優秀な人材の定着化

ジョブクラフティングを実行し、今の仕事にやりがいを見いだした従業員は、仕事から充実感を得られるようになります。それに加え、主体的に仕事を見直すことで、仕事への愛着やフィット感が増し、従業員満足度の向上も期待できます。ジョブクラフティングを行うことで、エンゲージメントの高い優秀な人材の離職防止につながるでしょう。

新しいアイデアが生まれやすくなる

ジョブクラフティングを実行すると、仕事をやりがいのある意義深いものに変化させることができます。その過程で行われる創意工夫によって、受け身的に仕事をこなしていたときには思いつかなかったような、新しい、画期的なアイデアが生まれやすくなります。

生産性の向上

ジョブクラフティングを通して主体的に仕事に取り組めるようになった従業員は、ワークエンゲージメントが高まり、チャレンジ精神が生まれます。良好な人間関係が築けているため、周囲がチャレンジをサポートしたり、成功につながるアイデアを出してくれたりといったことも起こりやすくなります。このようにジョブクラフティングのあらゆるメリットが作用してパフォーマンスが向上し、結果的に生産性の向上が見込めます。

以上のように、ジョブクラフティングには企業の発展につながるメリットが多くあります。

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ジョブクラフティングによるデメリット

メリットがたくさんあり魅力的なジョブクラフティングですが、以下のようなデメリットもあります。

  • 従業員にとってストレスとなる
  • 仕事が属人化してしまう

一つずつ解説します。

従業員にとってストレスとなる

ジョブクラフティングで懸念されるポイントとして、従業員のストレスがあります。ジョブクラフティングは従業員主体で行うものです。そのため「どうしたら良いのかわからない」「何かしなければ」などと、焦りを感じる人も出てくるでしょう。

また急にジョブクラフティングを実行すると言われても、今まで主体的に仕事に取り組む風土で仕事をしていなかった人にとっては、戸惑ってしまうことも予想されます。

従業員がスムーズに対応できない場合でも、上司が業務の改善を強制したり、従業員の考えを否定したりするのは良くありません。従業員に過度なプレッシャーを与えないよう、十分な配慮が必要です。

仕事が属人化してしまう

ジョブクラフティングを進めていくと、仕事が属人化2してしまうリスクも考えられます。ジョブクラフティングでは「自分らしい仕事」が重視されますが、これが行き過ぎてしまうと「仕事の属人化」となってしまうのです。仕事が属人化すると、異動などの際に引継ぎが難しくなったり、長時間労働に陥ったりといったリスクが生じやすくなります。

それを防ぐには、仕事に向き合い改善していく過程を従業員に丸投げしないことが大切です。ジョブクラフティングは従業員自身が行うものですが、企業は任せきるのではなくうまくサポートするようにしましょう。

ジョブクラフティングを行うことで、従業員に過度なプレッシャーとなったり、仕事の属人化が進んでしまったりしては本末転倒です。従業員が主体的に働けるために行う取り組みであることを忘れないようにしましょう。

ジョブクラフティングを実行するステップ

ジョブクラフティングを実行する方法は以下の通りです。

ステップ1. タスクの洗い出し
ステップ2. 自分を分析する
ステップ3. 仕事への取り組み方を見直す
ステップ4. 仕事の方法や人間関係を見直す

それぞれ解説します。

ステップ1. タスクの洗い出し

まず、自分の仕事内容について書き出します。ここでは、仕事で発生するタスクをすべて洗い出すことが大切です。日常的な業務以外にも、今まで行ったことがある業務をすべて書き出しましょう。

書き出したら、費やす時間が多いものから順番に並べ替えたり図式化したりするなどして、どの業務にどの程度の時間を費やしているのかを視覚的にわかるようにまとめておきます。そうすることで、のちのち業務の見直しがスムーズにできます。

例えば、以下のような形です。以下の例は、大手多国籍食品会社のマーケティング部門に所属する30歳の中堅管理職の従業員がタスクを洗い出し、費やしている時間別に図式化したものです。

ビフォアダイアグラム
【図1:ビフォアダイアグラム】

(引用元:Amy Wrzesniewski, Justin M. Berg, Jane E. Dutton「Fatima’s Before Diagram」,『Turn the Job You Have into the Job You Want』を当社翻訳 https://cpb-us-e1.wpmucdn.com/blogs.rice.edu/dist/9/4679/files/2020/03/PRE-READ-Turn-Your-Job-Into-the-Job-You-Want.pdf (閲覧日:2022年12月12日))

ステップ2. 自分を分析する

次に自己分析をします。この段階では「自分の動機」「強み」「情熱」を言語化します。それぞれの意味は以下の通りです。

  • 自分の動機:仕事をする目的
  • 強み:得意なこと・詳しいこと
  • 情熱:どうなりたいのか・何をしたいのか

これらを分析するために、自分の思いを書き出してみましょう。

まず、自分が仕事に対してどのような気持ちを持っているのか、なぜその仕事に取り組んでいるのかといった仕事への意識について考えてみます。また、うれしかったことやモチベーションが向上した経験なども思い出し、自分の言葉でまとめましょう。

それに加え、スキルや特技、興味などの強みについても挙げてみます。一見弱みに思える部分でも、強みとしてとらえられる場合もありますので、多角的かつ柔軟に書き出してみましょう。

書き出した内容から、自分の動機や強み、情熱についてじっくりと分析します。

以下は、【図1】の人物が自身の動機・強み・情熱を分析した結果です。

動機・強み・情熱
【図2:動機・強み・情熱】

(引用元:Amy Wrzesniewski, Justin M. Berg, Jane E. Dutton「Fatima’s After
Diagram」,『Turn the Job You Have into the Job You Want』を当社翻訳のうえ一部抜粋 https://cpb-us-e1.wpmucdn.com/blogs.rice.edu/dist/9/4679/files/2020/03/PRE-READ-Turn-Your-Job-Into-the-Job-You-Want.pdf (閲覧日:2022年12月12日))

ステップ3. 仕事への取り組み方を見直す

この段階では、「ステップ1で挙げたタスク」と「ステップ2で挙げた自分の強みなど」をひもづけます。このようにすることで、一つ一つの作業の意義を見いだしやすくなります。単なる作業だととらえていたことを「価値を見いだせるもの」に変化させることができるでしょう。


以下は、【図1】【図2】の人物が、自身のタスクと強みなどをひもづけた結果です。

アフターダイアグラム
【図3:アフターダイアグラム】

(引用元:Amy Wrzesniewski, Justin M. Berg, Jane E. Dutton「Fatima’s After
Diagram」,『Turn the Job You Have into the Job You Want』を当社翻訳 https://cpb-us-e1.wpmucdn.com/blogs.rice.edu/dist/9/4679/files/2020/03/PRE-READ-Turn-Your-Job-Into-the-Job-You-Want.pdf (閲覧日:2022年12月12日))

ステップ4. 仕事の方法や人間関係を見直す

仕事に対する考えに変化が出てきたら、仕事内容や方法、人間関係などを具体的に見直します。自分が考える仕事の意義を軸に、仕事方法や人間関係をブラッシュアップさせましょう。

以上の4ステップでジョブクラフティングが完了です。一歩引いた視点から日々の仕事を見ることで、自分の仕事の意義に気付きやすくなります。さらに自分の考えとひもづけることで仕事に変化を加え、自分なりの仕事を作り上げることができるでしょう。

ジョブクラフティングを取り入れる際のポイント

企業がジョブクラフティングを取り入れるときには、以下の3点を頭に入れておきましょう。

  • ジョブクラフティングを実践できるよう促す
  • 適用しにくい業務がある
  • 企業や上司の考えを押しつけない

それぞれ見ていきます。

ジョブクラフティングを実践できるよう促す

ジョブクラフティングは個人で行うものです。だからといって従業員に指示だけして丸投げしていては、効果的に進めることはできません。

企業は、ジョブクラフティングの基礎知識や事例を共有する研修・ワークショップなどの機会を積極的に作りましょう。従業員同士が考えや悩みを共有できれば、工夫や気付きを得られる可能性も高まります。

適用しにくい業務がある

ジョブクラフティングを検討する際は、その考え方を適用しにくい業務があることも知っておく必要があります。

そもそもジョブクラフティングは、個人で仕事について考えるものです。従業員が一つの仕事について、それぞれ異なる考えを持っていることもあるでしょう。

個人で進めていく業務なら問題ありませんが、チームで進めていく業務の場合、足並みがそろわなくなってしまうこともあります。チームとして行う業務の場合は、個人のモチベーションを向上させるという点にとどめておくのが良いでしょう。

企業や上司の考えを押しつけない

ジョブクラフティングはあくまでも自主性が大切です。上司が「自分の仕事の意義を考えなさい」と命令してはいけません。また、従業員が考えた内容に対し「それは良くない」などと全面的に否定するのはNGです。従業員の自主性を尊重し、上司や企業のやりがいを押しつけないことが大切です。

やりがいの押し付けは、「やりがい搾取」につながる可能性があります。やりがい搾取とは、従業員の意欲をやりがいという名目で利用して、従業員に低賃金や長時間労働など不当な労働条件での労働を強いる行為です。このような状態では、従業員自身が主体的に行動しているとは言えません。従業員が疲弊してしまい、仕事への意欲を失ってしまうことも考えられます。

以上のようにジョブクラフティングを実行する際は、自主性を重んじ、企業は従業員がスムーズに取り組めるようサポートをしましょう。

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まとめ

「ジョブクラフティング」は、従業員が主体性を持って仕事をするための人材育成法の一つです。従業員自身が主体となって実行することで、「やらされている退屈な作業」と捉えていた仕事を、「やりがいのある意義深いもの」へと変えていくことができます。

ジョブクラフティングが注目されている背景には、以下のようなことがあります。

  • 仕事内容が複雑になり成果が曖昧になっている
  • 終身雇用の崩壊により組織と従業員の関係性が変化している
  • 人間関係が希薄になりやすい

ジョブクラフティングには3つの視点があります。

  • 仕事への取り組み方
  • 人間関係
  • 仕事の内容・方法

この3つの視点から仕事を考えることで、仕事全体の認識に変化を加えられるのです。

ジョブクラフティングによって期待されるメリットとしては、以下4つがあります。

  • 従業員のモチベーション向上
  • リーダー育成に役立つ
  • 人間関係の改善
  • 優秀な人材の定着化
  • 生産性の向上
  • 新しいアイデアが生まれやすくなる

一方で、以下のようなデメリットもあります。

  • 従業員にとってストレスとなる
  • 仕事が属人化してしまう

繰り返しますが、ジョブクラフティングを実行するのは企業ではありません。従業員一人一人が以下の方法で、ジョブクラフティングを進めます。

ステップ1. タスクの洗い出し
ステップ2. 自分を分析する
ステップ3. 仕事への取り組み方を見直す
ステップ4. 仕事の方法や人間関係を見直す

企業としてジョブクラフティングを取り入れるとき、企業側は以下の3点を頭に入れておきましょう。

  • ジョブクラフティングを実践できるよう促す
  • 適用しにくい業務がある
  • 企業や上司の考えを押しつけない

ジョブクラフティングは従業員が主体となって行う人材育成法です。企業にとっても大きなメリットがあるため、企業をあげて推進していくことに意味があります。ここでお伝えしたメリットやデメリットをしっかりと理解し、自社にとって良い方法なのか十分に検討してみることをおすすめします。

  1. 高尾義明「ジョブ・クラフティング研究の展開に向けて:概念の独自性の明確化と先行研究レビュー」, 2017年4月 (閲覧日:2022年12月13日) ↩︎
  2. ある業務の内容や進め方などについて、特定の従業員しか把握していない状態を指す。 ↩︎

参考)
高尾義明「ジョブ・クラフティング研究の展開に向けて:概念の独自性の 明確化と先行研究レビュー」, 2017年 4 月, https://www.biz.tmu.ac.jp/wp-content/uploads/sites/9/2017/04/181Takao.pdf(閲覧日:2022年11月15日)
エン・ジャパン「社員の「働きがい」を生みだす『ジョブ・クラフティング』を首都大学東京 高尾教授に聞く!」,2017年12月28日, https://corp.en-japan.com/success/12055.html(閲覧日:2022年11月15日)
幻冬舎plus「理解しづらい英語のニュアンスがよくわかる!「make」って実はこんなイメージ!」, 2017年5月29日,https://www.gentosha.jp/article/7894/(閲覧日:2022年11月15日)
MarkeTRUNK「ジョブ・クラフティングの意味は?ワークエンゲージメントとの関係、研修プログラムを解説」, https://www.profuture.co.jp/mk/recruit/strategy/37991(閲覧日:2022年11月15日)
Habi*do「ジョブ・クラフティングでなくす「やらされ感」 ~3つの観点を知って、仕事にやりがいを~」, https://habi-do.com/blog/job-crafting/(閲覧日:2022年11月15日)
STUDY HACKER「ジョブ・クラフティングとは? 仕事のやりがいをつくる方法」, https://studyhacker.net/job-crafting(閲覧日:2022年11月15日)
CULTIBASE「ジョブ・クラフティングとは?国内研究の第一人者・高尾義明さんが、定義・事例から最新の研究動向まで徹底解説」, https://www.cultibase.jp/articles/8674(閲覧日:2022年12月13日)
日本経済団体連合会「人 材 育 成 に 関 す る ア ン ケ ー ト 調 査 結 果」, 2020年1月21日,https://www.keidanren.or.jp/policy/2020/008.pdf(閲覧日:2022年12月22日)

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