株式会社ライトワークスとマーサージャパン株式会社が共同開催する「HR LEADERS’ ACADEMY」は、2025年10月に第二期をスタートさせました。リアル/オンラインのハイブリッドで行われた開校式には、27社31名の受講生が参加しました。
▼参加企業(社名公開可の企業様)
- 味の素株式会社
- コニカミノルタジャパン株式会社
- 株式会社ジェイテクト
- ジヤトコ株式会社
- 東興ジオテック株式会社
- 日本タタ・コンサルタンシー・サービシズ株式会社
- パイオニア株式会社
- 日野自動車株式会社
- フジアルテ株式会社
- 株式会社ミライト・ワン
本レポートでは、ライトワークス代表の江口夏郎氏、マーサージャパンの前川尚大氏の講演から、これからの人事に求められる覚悟と未来像を探ります。
【主催者挨拶】価値の源泉が「カネ」から「ヒト」へ。今こそ人事のプロが求められる時代

開校式は、主催者を代表し、株式会社ライトワークス 代表取締役社長 江口 夏郎氏の挨拶から始まりました。30年にわたり人事・人材開発に携わってきた江口氏は、「今ほど人事のプロが求められているときはない」と断言します。
その根拠は、近年注目されている「人的資本経営」ではなく、より構造的で確実な未来である「少子高齢化」にあると指摘。2050年には生産年齢人口が現在より3割近くも減少するという不可逆的な変化の中、「お金よりも『人』が圧倒的に貴重なリソースになる」と語ります。
「一番貴重なものを扱う人が、一番価値を認められる。だからこそ、プロの人事が求められているのです」
そして、本アカデミーが提供する価値は、単なるHow-toではない「思考の基礎」と、苦楽を共にし、長期的に付き合える「プロフェッショナル同士のネットワーク」にあると強調。「今日の学びが、5年後、10年後に必ず効いてくる。濃厚なプログラムなので、少しの消化不良も覚悟して、ぜひ頑張っていただきたい」と受講生を激励しました。
江口氏の挨拶に続き、本アカデミーで講師を務めるマーサージャパンの前川 尚大氏と木村 恒二氏から挨拶がありました。前川氏は「皆さんと一緒に頑張りたい」、木村氏は「受講生の皆さんを通じて、日本社会において働きがいのある組織を作る手伝いをしたい」と、それぞれ講座にかける意気込みを語りました。
【基調講演】真のHRリーダーとは

ここからは、マーサージャパン株式会社 組織・人事変革コンサルティング シニアプリンシパルの前川尚大氏による基調講演の模様をレポートします。
前川氏は、これからの人事に不可欠な「戦略人事」の視点と、それを体現するリーダーシップについて、具体的な事例を交えながら解説しました。
まず前川氏が説いたのは、事業戦略を起点に人事を再構築する「戦略人事」の重要性です。市場は、企業の人的資本が適切に活用され、経営のドライブにつながっているかを見ています。
「その経営戦略を実行できる人的資源を持っているのか?」と問われる時代において、人事は事業戦略の実現から逆算して人材ポートフォリオを可視化し、打ち手を講じる必要があると述べました。
その必要性を象徴するデータとして、医薬情報担当者(MR)がこの10年で3分の1にまで激減した事例を提示。他の多くの職種でも、AIの台頭やビジネスプロセスの自動化により、「必要な職種とそうでない職種」が各社で既に出始めています。
前川氏は「戦略に合わせたワークフォースの組み替えは、私たち人事にとって極めて重要な課題です」と警鐘を鳴らします。
では、その変革をリードするHRリーダーには何が求められるのか。前川氏は、自らが間近で見た「大手製造業のV字回復」の事例を挙げました。
数千億円の赤字を出し、グループ解体の危機に瀕した大手製造業。その復活劇の裏には、グローバル基準の人事改革を断行した経営陣の強い意志がありました。そして、その改革を成功に導いた鍵は2つあったと前川氏は分析します。
一つは、当時の経営者が見せた「ラストマンシップ」です。「改革の責任は全て私が引き受ける」という経営トップの覚悟が、組織の変革を前進させました。
もう一つが、人事トップに求められる「影響力によるリーダーシップ」です。役職や権限ではなく、「あの人が言うなら」と周囲を動かす影響力。その源泉こそが、客観性と論理性に裏打ちされた「専門性」に他なりません。
「専門性を武器に、周囲からの尊敬と信頼を勝ち取り、経営を動かす。情と理の高度なバランスこそ、これからのHRリーダーに求められる姿です」前川氏はそう締めくくりました。
3. これからのHRリーダーを目指すための学びの場

基調講演の後には、アカデミーの具体的な学習内容や進め方についての説明が行われました。本アカデミーは、大きく5つの要素で構成されています。
- eラーニングによる各自の自主学習
- ケーススタディを中心とした集合ライブ研修
- 自社の状況に当てはめたワーク演習
- 参加者同士の人事コミュニティ・ネットワーキング
- 人事プロフェッショナル認定資格 取得試験
マーサージャパン独自のeラーニングで知識を体系的に学習し、ライブ研修での現実の事例を基にしたケーススタディや、自社適用に向けたワーク演習により、実践的な思考力を養います。このように、知識のインプットだけでなく、アウトプットの機会も学習の流れに組み込んでいます。
このアカデミーでの半年間で、次世代のHRリーダーに必要な資質を多角的に磨き上げるプログラムとなっています。また、ライブ研修後にネットワーキングタイムを設けていますので、出席者同士の交流を深めることも可能です。
なお、アカデミーの講座修了者には、修了証明のデジタルバッジが付与されます。さらに、マーサージャパンが認定する「人事プロフェッショナル認定資格 エッセンシャル」の取得を目指すこともできます。
最後に、学習プラットフォームである「CAREERSHIP」の操作方法について、HR LEADERS’ ACADEMY事務局から説明いたしました。
eラーニングの受講方法、資料のダウンロード、コミュニティルーム(交流用SNS)の活用方法など、具体的な操作手順を解説。コミュニティルームは、受講生同士が自由に意見交換や情報共有を行う場として活用され、学びを深めるための重要な役割を果たします。

懇親会では受講者同士のネットワーク形成も
おわりに
「カネ」から「ヒト」へと価値の源泉が移り変わる時代。企業経営の根幹を支える人事パーソンには、事業の未来を構想し、変革を牽引する戦略パートナーとしての役割が、今まさに求められています。
HR LEADERS’ ACADEMYは、その重責を担う次世代のリーダーたちにとって、自らの専門性を磨き、覚悟を新たにする絶好の機会となるはずです。ここから始まる半年間の学びと、卒業後も続くコミュニティが、参加者一人ひとりの、そして日本企業全体の未来を、より良き方向へと導いていくことを期待せずにはいられません。
人事分野の未来を担うリーダーたちの期待に応えるべく、HR LEADERS’ ACADEMY事務局も全力でバックアップして参ります。
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