eラーニングの作り方を設計から運用までプロセスごとに紹介!作成ツールについても解説
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「なるべく手間をかけずによい教材を作りたい」
企業において教材作成を担当されている方々のこんな思いは、業界を問わず共通ではないでしょうか。事業者に頼らず、社内でeラーニング教材を作成して従業員教育に活用する企業が増えています。背景には、以下のようなニーズが挙げられます。
- コンプライアンスの事例学習など、自社独自の知見を盛り込んだ教材をスピーディに従業員に届けたい
- 新しい商品やサービスの情報を素早く従業員に周知させ、営業活動の質向上や売上につなげたい
- 業務マニュアルをベースとした教材は頻繁に更新が必要になるので、自社でバージョンアップできるようにしておきたい
- 教材の制作コストを抑えたい
簡単かつ低コストでeラーニング教材が作成できるソフトウェアが多く出回っていることも、この状況を後押ししている要因と言えるでしょう。
確かに、教材作成ソフトを使えばスピーディかつ低コストでeラーニング教材を作成・提供することができます。しかし、本当に重視すべきなのは教材の中身です。受講者から「分かりやすかった」「この教材をやって良かった」と評価され、教育施策として成果が挙げられなければ意味がないからです。
そこで本稿では、日々eラーニング教材の作成に取り組んでいる筆者が、「よいeラーニング教材」を効率的に作成する方法について解説します。
手戻りに対応する手間を考えれば、最初からなるべく「よいeラーニング教材」を作るにこしたことはありません。ぜひ参考にしてください。
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目次
作成すべき「よいeラーニング教材」とは?
よいeラーニング教材とはどんなものでしょうか。
冒頭にあげた内製のニーズを元に考えてみると、よい教材というのは以下のポイントを押さえた教材であると言えそうです。
- 分かりやすいこと
- 学習効果が高いこと
- 更新しやすいこと
もう少し具体化してみましょう。
「分かりやすい」eラーニング教材
「分かりやすい」というのは、情報が整理されていて、受講者がスムーズに内容を把握・理解できることだと言えます。文章の美しさ、体裁の美しさ、色味、イラストやデザインなど、読みやすさや見た目の良さなどもここに入ってくるでしょう。
プレゼンテーションのスライドを思い浮かべてみてください。同じ情報を提供するものでも、細かい文字でごちゃごちゃと説明したものと、スマートで端的な文字列とチャートやイラストなどを用いて説明したものとでは、まったく印象が異なると思います。ぱっと見の印象は学習のモチベーションをも左右します。
eラーニング教材の作成にあたっては、内容の分かりやすさもさることながら、見た目の美しさも重視すべきと言えるでしょう。
「学習効果が高い」eラーニング教材
学習効果は、「分かりやすい教材」から得られる効果の一つです。でも、学習効果を上げるのは「分かりやすい学習スライド」だけではありません。教育の設計も重要です。
例えば、学習の前と後に確認テストを配置することで、自分の学習前後の理解度を比較できるようにしたり、学習と別に総合テスト を実施し、復習に役立てたりすることができます。合格点を高めに設定することで、知識の底上げも可能になるでしょう。
また、受講者の「学ぶ意欲」を引き出すことも学習効果に大きく影響します。例えば、新入社員向けに文章が箇条書きされただけの教材を受講してもらうのと、キャラクターなどのイラスト入りの教材を受講してもらうのと、どちらが「とっつき」がよいと思いますか?延々と解説を読むのと、クイズなどを挟みながら学習していくのとでは、どちらが眠くなりにくいでしょうか?
つまり、「学習効果が高い教材」というのは、単に分かりやすいだけでなく、モチベーションを低下させず、修得した知識を定着させる工夫がなされているものであると言えるでしょう。
「更新しやすい」eラーニング教材
eラーニングを社内で作成するメリットの一つに、自社で教材を修正できる点があります。しかし、教材自体が煩雑な作りであったり、原稿やイラスト、場合によっては音声も含めた教材の「素材」の管理方法が担当者によってバラバラだったりすると、いくら自社で修正できるとはいえ手間がかかります。
よって、「更新しやすい教材」というのは、構成が整然としていて修正箇所が見付けやすかったり、更新が必要になることを予見した作りになっていたり、素材にあたるファイルがきちんと管理されているといった条件を満たしているものであると言えるでしょう。
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eラーニング教材を自社で作成する方法をプロセスごとに解説
分かりやすく、学習効果が高く、更新しやすいeラーニング教材を作るには、eラーニングの作成・運用プロセスを把握し、しっかり実行することが重要です。以下はそのプロセスをまとめたものです。
このプロセスは、PDCAサイクルの考え方に則って作られています。
まず「作成フェーズ」は、「分析」「設計」「開発」の3ステップで構成されています。この工程を経ればeラーニング教材は形になりますが、こと自社の教育施策に関わるもの、「誰かに渡しておしまい」というわけにはいきません。「実施」「評価」の2ステップで構成される「運用フェーズ」が終わったら、その評価内容をもって「分析」のステップに戻ります。
そこで、そのeラーニング教材を用いた教育施策について検討し、元の教材をバージョンアップするのか、新しい別の教材を作るのか、はたまたそのテーマについてはeラーニングをやめて別の形(例えば集合研修)で教育を行うのか、等を決め、また設計を行っていくわけです。
ここでは特に「作成フェーズ」に着目し、ステップごとにその内容を解説していきます。
作成フェーズ1:分析のステップ
分析のステップで実施すべき作業は以下になります。
分析のステップ1:教材の作成目的を整理する
まず、何のために教材を作成するのか、その目的を明らかにします。具体的な方法としては、課題を抱える部門あるいは部署に対してヒアリングやアンケートなどを実施し、「直面している課題は何か」「課題の発生原因」「課題を克服してどういう状態にしたいのか」を確認します。
下記のA社の事例を参考にしてください。ヒアリングの結果から、教材を作成する目的を導き出すイメージです。
学習目的の明確化(A社の場合)
◆ヒアリング結果
・直面している課題は?:若手社員の情報管理の仕方が雑である。特に顧客情報を扱う際の危機意識が低い点が問題視されている。
・課題の発生原因は?:若手社員コンプライアンスに関する意識が低い。
・課題克服後の望ましい姿は?:顧客情報等の管理の徹底
◆教材作成目的
若手社員へのコンプライアンス教育を強化し、コンプライアンス違反のリスクを低減させること
分析のステップ2:教材の学習対象者を確認する
次に、誰を対象に教材を作成するのか、学習対象者を明確にします。学習者対象者は、教育の種類によって、例えば以下のように分類できます。
- 全社教育:全社員と経営陣
- 階層別教育:内定者、新入社員、管理職、経営陣 etc.
- 部門別教育:営業部門、製造部門、管理部門 etc.
- その他教育:パート・アルバイト etc.
どんな軸で抽出したどの集団に対して教育を実施するか。これをしっかり検討することで、必要な人に必要な教育を届けることができるようになるのです。
A社の例を見てみましょう。
学習対象者の明確化(A社の場合)
◆学習対象者
顧客情報等の取り扱いに慣れていない社員 = 新入社員をはじめとする若手社員
分析のステップ3:受講者にとっての学習目標を明文化する
次に、学習目標(学習対象者が何を知り、どの程度できるようになってほしいか)を明確にします。これは、「学習対象者が目指すべきゴール」になります。教材の最初のほうに記載すると良いでしょう。
A社の例を見てみましょう。
◆学習目標
コンプライアンスに対する知識を深めることにより、コンプライアンス関連の各種事故の発生を防止できるようになる。
なお、学習目標への到達度を測るものとして、教材には確認テストを付けるのが一般的です。
分析のステップ4:学習環境を洗い出す
次に、学習対象者が実際に学習する環境を確認します。これは、学習環境に応じて教材の仕様を変える必要が出てくるからです。設計のステップで仕様を確定させるためにも、この段階で学習環境を確認しておく必要があります。
A社の例を見てみましょう。
学習環境の洗い出し(A社の場合)
◆確認項目
・ネットワークの通信速度に問題はないか?
・パソコンを使うのか、あるいはタブレットやスマホを使うのか?
・ナレーションが使える環境か?
・学習時間への制約(勤務時間内に学習時間が確保できるか否か等)は?
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作成フェーズ2:設計のステップ
設計のステップで実施すべき作業は以下になります。
設計のステップ1:教材の仕様書を作成する
教材の設計書にあたるのが仕様書です。分析のステップで明らかになった学習目的や学習対象者、学習目標、学習環境、のほか、教材名、教材概要、目次・骨子、学習時間、修了条件など、教材の作成に必要な情報をできるだけ詳しく記載します。以下は、仕様書作成のメリットです。
- 教材の仕様について作成担当者が共有することで、教材の完成イメージが共有され、作成段階での手戻り等の発生を防ぐことができる。
- 教材の改訂(法改正等によるバージョンアップ、各種規程の改定など)の際に、前任の作成担当がいなくても容易に改訂することができる。
- 類似の教材を作成する際に流用することができる(コスト・時間の節約)。
A社の若手向けコンプライアンス教育コンテンツの仕様書を見てみましょう。教材名は「コンプライアンスの基礎知識」に決まったようです。
参考)仕様書サンプル
設計のステップ2:目次・骨子を作成する
目次・骨子とは、教材の構造(学習の順序)や学習範囲・学習深度を示す設計書のことです。学習目的や学習目標を的確に反映した目次・骨子の作成により、学習対象者にとって満足度の高い教材の作成が可能になります。
作成する際は、まず学習項目の構造化を行います(①)。具体的には、学習目標を最上位に置き、その目標を順に分解しながら構造化し、目次に落とし込んでいきます(②)。さらに、目次が完成したら、項目(ここでは節)ごとに骨子(学習内容の要点)をまとめます(③)。目次・骨子の完成度がその教材の良し悪しを決めると言っても過言ではありません。慎重に作成しましょう。
A社の「コンプライアンスの基礎知識」の場合の例を見てみましょう。
① 学習項目を構造化する
参考)学習目標の分解例
② 目次に落とし込む。
③ 学習内容の骨子を作成する。
参考)骨子作成例
設計のステップ3:スケジュールを作成する
教材の仕様に基づいて、作成スケジュールを作成します。「PowerPointスライド作成」「テスト原稿の作成」「ナレーションデータ作成」「動画撮影・編集」などの工程で教材を構成する各種素材を作成し、すべての素材が完成したら教材化の工程に進みます。さらに品質チェックを経て教材は完成します。
各工程にどのくらいの時間がかかるかをできるだけ精緻に検討し、実現性の高いスケジュールを作成しましょう。例えば、原稿を完成させるために複数の部門の承認が必要な場合には、想定よりも長めの確認期間を設定する必要があります。
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作成フェーズ3:開発のステップ
設計のステップで作成した「設計仕様書」と「目次・骨子」を基に、教材を開発するステップです。具体的には以下の作業を実施します。
開発のステップ1:PowerPointスライドを作成する
世の中に出回っている教材作成ソフトの多くが、PowerPointのスライドをそのままeラーニング教材化する機能を備えています。そこでここでは、PowerPointスライド(原稿、図表・イラストなどで構成)を作成する方法について見ていきましょう。
まず、スライドのノート部に配置する原稿を、目次・骨子に則って作成します。漏れやダブり、目次・骨子の範囲を超えた内容は不適切です。原稿作成のポイントは以下の通りです。
① 「読み手は誰か?」を考え、読み手のレベルに合った文章を書く
② 原稿が書けたら、ある程度時間を置き、必ず声に出して読み返す
③ 独りよがりの文章になっていないか、他者のチェックを受ける
④ 誤字や脱字はないか、表記ゆれはないかチェックする(校正ツールを導入すると効率化できる)
特に①は重要です。良い文章でも、読み手にマッチしなければ学習効果は期待できません。
A社の「コンプライアンスの基礎知識」を例にしてみましょう。
この教材は若手社員向けですが、仮に管理者向けと想定した場合、教材の導入部はこのようなイメージになると思います。
管理職向け「コンプライアンスの基礎知識」の導入部原稿
企業が持続的に成長するためには、企業経営の健全化が不可欠です。その実現に向けて、管理職の皆さは、コンプライアンスの実践が求められています。自らの行いを正して行動することはもちろんのこと、若手社員のコンプライアンスに対する意識を高め、事故発生につながるリスクを排除していかなければなりません。
本教材では、コンプライアンスの実践がどうあるべきかを、社内の他部門、顧客、取引先、さらには地域社会との関係性を確認しながら見ていきます。管理職に求められるコンプライアンスの知識について、最低限押さえておきたい事柄を中心にまとめましたので、しっかり学習し、日々の業務に役立ててください。
でも、実際のところこの教材は新入社員も含む若手社員向けなので、その想定で作成すると、例えばこんなパターンもありえます。
若手社員職向け「コンプライアンスの基礎知識」の導入部原稿
若手社員B:課長、このポスターにある「全従業員でコンプライアンスを実践しよう!」って、どういう意味ですか?
課長:簡単に言うと「会社は社会の一員だから、きちんと全員で社会のルールを守ろう」ということだね。
若手社員B:社会のルール?
課長:具体的には、「法律や規則、社会規範、常識をきちんと守ろう」「不正を見逃さないようにしよう」という意味なんだよ。
若手社員B:どうしてそんなことをわざわざポスターにしているんですか?
課長:こういうことは当たり前のことだからこそ、普段から意識する必要があるんだ。
若手社員B:なるほど、普段の心がけが大切なんですね。
課長:その通り。だから仕事を覚えることも大事だけど、きちんとコンプライアンスを実践することだって、とても大事なことなんだよ。
若手社員B:ただ仕事ができるだけじゃダメなんですね。でも、きちんと実践できるか自信がないなぁ。
課長:そのためにはコンプライアンスとは何かを正しく知っておく必要があるんだ。だから、これからしっかりと学んでいこう。
若手社員B:はい、よろしくお願いします!
このように、同じ内容であっても、学習対象者によって説明の仕方や設定を変えることで、理解を促進したり、学習意欲を高めたりといった効果が期待できます。
次に、図表・イラスト作成のポイントを見てみましょう。
① 原稿内容や学習対象者にマッチした図表やイラストを用意する
② テキストのフォントやサイズに基準を設ける
③ スライド内に「Zの法則」で情報を配置する
いずれも重要なので、個別に解説します。
① 原稿内容や学習対象者にマッチした図表やイラストを用意する。
イラストは、PowerPointの機能を使ってスライド部に作成するか、外から貼り付ける形で用意します。原稿の内容に合わせることはもちろんのこと、学習対象者によってテイストを工夫するのもよいでしょう。
例えば管理者向けの場合、遊びの要素はなくし、チャートでスマートに情報をまとめるほうが馴染みやすそうです。
例)管理者向け教材のイラストイメージ
一方若手向けの場合、例えばキャラクターを登場させる、色味を明るくするなどの工夫が考えられます。
例)スタッフ向け教材のイラストイメージ
イラストを作成するマンパワーが社内で確保できない場合は、プロのイラストレーターに依頼するか、またはフリー素材を検索して使用するのもよいでしょう。フリー素材はできあがったイラストを貼るだけなのでお手軽ですし、更新がしやすいというメリットがあります。例えばカバンのイラストを靴に変えたい、男性を女性に変えたい、といった場合に、都度作成する手間が省けます。
フリー素材はネット上にたくさんありますが、利用に際しては著作権の取り扱い方針をしっかり確認するよう注意しましょう。
② テキストのフォントやサイズに基準を設ける
スライド部のチャートやイラストの中にテキスト(文字)を入れる際は、フォントとサイズに注意が必要です。読み取りやすいフォントやサイズをあらかじめ決めておくとよいでしょう。当社では、14~16ポイントのゴシック体を標準とし、強調したい情報については適宜調整を入れる、といった工夫をしています。
③ スライド内に「Zの法則」で情報を配置する
人の目は、対象物の全体像を把握するために、左上 → 右上 → 左下 → 右下 と“Z”の文字の形で動くといわれています。これを「Zの法則」といいます。これを念頭に、スライド部のテキスト、チャート、イラストの配置を検討しましょう。
参考)「Zの法則」
開発のステップ2:テスト原稿を作成する
テストは教材の理解度を測るための手段です。設定した基準点を下回る場合には、再度教材を学習する必要があります。テスト原稿作成のポイントは以下の通りです。
① 明確かつ率直に問う
② 必ず学習範囲内から出題する
③ 設問文、選択肢、解説などの文章の体裁はできる限り統一する
③はちょっとしたことですが実はとても大切です。
設問文を例に見てみましょう。
問1 Facebookと同種のメディアは次のうちどれか。
問2 Web上の情報の匿名性に関する記述について、適当なものはどれでしょう。
問3 Twitterの説明として誤っているものはどれだと思いますか?選んでください。
問4 Twitterで使用するハッシュタグに関する説明のうち、正しいものはどれですか。
問5 Facebookに関する説明として不適切だと思うものを選びなさい。
正誤の表現の仕方や質問の仕方がバラバラだと、内容を把握するために一文一文目を通す必要があり、読むのに手間がかかります。
問1 Facebookと同種のメディアとして適切なものはどれでしょうか。
問2 Web上の情報の匿名性に関する記述として適切なものはどれでしょうか。
問3 Twitterの説明として不適切なものはどれでしょうか。
問4 Twitterで使用するハッシュタグの説明として適切なものはどれでしょうか。
問5 Facebookに関する説明として不適切なものはどれでしょうか。
このように、文章の体裁を統一するだけでも、読みやすさはぐんとアップします。出題の仕方や設問文がよくないと、受講者はテスト以外のことにエネルギーを使うことになります。情報の読み取りに時間をかけず、全ての力をテストに注げるよう、スマートな原稿を用意しましょう。
開発のステップ3:ナレーションデータを作成する
教材に組み込むための音声を収録します。「開発のステップ1」で作成した原稿を読み上げる形を取るのが一般的です。
ナレーションは、eラーニング教材において学習効果を高める重要な要素の1つですが、教材内容のほか、受講環境によってナレーションの有無を検討する必要があります。また、プロのナレーターや収録スタジオを利用すれば品質を担保することはできますが、作成コストの増加は避けられません。費用対効果を考えて作成する必要があります。
開発のステップ4:動画を撮影・編集する
トップメッセージによる企業理念の発信、文章では伝えることが難しい作業手順の確認などに動画はうってつけです。撮影・編集のポイントは以下の通りです。
② 撮影中に発生した変更点や注意点などは、撮影後の編集作業のために全て絵コンテ(台本)に記入する
③ 固定した安定感のある動画を撮影したい場合は、三脚を利用する。三脚で手元に余裕が生まれると、ピンや絞り、明るさの調整など、他の要素に集中することができる
④ 撮影と同時にナレーションやセリフを収録する場合は、イヤホンやヘッドフォンで音を確認しながら撮影する
⑤ 再撮影を防止するためにも、きちんと撮れているか録画直後に確認する
⑥ 撮影が終わったら、撮影中にメモを入れた絵コンテ(台本)を基に、動画を編集する
開発のステップ5:教材作成ソフトを使って教材化する
教材に必要な素材がすべて完成したら、教材作成ツールを使ってコンテンツ化します。操作は比較的簡単で、特別な知識や開発環境がなくても、PowerPointスライドや各種資料をeラーニング教材にすることができます。
参考)「教材作成ツール」を利用した場合の教材化イメージ
開発ステップ6:出来上がった教材の使い勝手(学習のしやすさ等)を確認する
最後に、教材作成ソフトのプレビュー機能を使って、完成した教材の完成度や使い勝手を確認します。教材作成に携わっていない第三者に受講してもらい、フィードバックを教材に反映させることで、より完成度の高い教材を作成することができます。改善すべき点が見つかった場合には、素材(PowerPointスライド、テスト原稿、ナレーションデータなど)に立ち返って修正し、再度教材化します。
運用フェーズ:教材の実施・評価のステップ
教材が完成したら、LMS(Learning Management System:学習管理システム)に登録して運用します(研修実施)。これにより、eラーニングを提供する学習管理者側は、学習者の学習履歴(実施状況、テストの成績など)を取得し管理することができます。
あらかじめ設定した運用期間が終わったら、管理者は受講履歴を基に学習者の傾向(どの分野が強い・弱いのか、理解度はどの程度か、部門によって差はあるか)などを分析し評価します。さらに、この評価結果や学習者のアンケート結果などを基に分析のステップに戻り、教材の改訂を検討・実施します。
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教材作成を効率化する「eラーニング作成ツール」
eラーニング作成方法の中でご紹介した通り、eラーニング教材を社内で作成するためには、eラーニング教材作成用の専用ツールを利用すると効率的です。
これまで社内教育に使ってきた研修資料やPowerPointなどの一般的なツールで作成した教材をeラーニングコンテンツへと簡単に変換可能なため、社内でのeラーニング制作が一気に簡単になります。
eラーニング作成ツールには様々なものがありますが、ここでは弊社がご提供している教材作成ツールeStudioについて例に挙げてご紹介します。
eラーニング教材作成ツール「eStudio」
- インストールなしでWEB上で教材作成が可能
- PowerPointのアニメーション設定をきれいにHTML5の技術で再現可能
- eラーニング配信ツールと一体化しているため、従来の「教材作成ツールで作成した教材ファイルを配信ツールに搭載する」工程が不要で、作成後すぐに対象者に配信可能
教材作成ツール「eStudio」は、PowerPointや動画などを簡単に取り込んでWeb上でeラーニング教材を作成できるツールです。インストールが不要なため、広い環境で利用が可能となっています。
PowerPointで作った資料をそのままeラーニングへ変換できることはもちろん、動画とスライドを組み合わせた教材やテスト、アンケートも簡単に作成できます。
eラーニング配信システム(学習管理システム)と一体化しているため、作成したeラーニング教材はすぐに配信が可能な点も効率化を実現するうえで大きなメリットです。eラーニング配信システム(学習管理システム)上で作成した教材を利用することで、受講者の学習履歴なども確認することができ、作った教材をしっかり学んでもらうところまでワンストップで進めることができます。
作成したeラーニング教材は、スマホ(スマートフォン)やタブレットでも受講が可能となっており、受講者も学習しやすい教材作成が可能です。
※eStudioをご利用いただくには、ライトワークスのeラーニング配信システム「CAREERSHIP」のご導入が必要となります。
弊社サイトでも詳しくご紹介しておりますので、eラーニング作成を自社で行いたいとお考えの方は是非ご覧ください。
動画教材もeラーニング教材も作り放題! ⇒ ライトワークスのeラーニング教材作成ツールを詳しく見る
自作する以外でeラーニング教材を作成する方法
ここまでeラーニング教材の作り方をご紹介してきましたが、改めて手順を知ると「自社で制作のリソースを割くのは難しいかもしれない」と感じた方もいるのではないでしょうか。
そういった場合は、eラーニング作成を専門の企業に依頼するのも一つの方法です。
eラーニング教材制作サービスを行っている企業に外注する
eラーニング教材制作サービスを行っている企業では、eラーニング教材の企画から制作、運用まで、専門的なノウハウを持っています。そのため、外注することで教材ニーズの分析から企画設計、配信や運用設定まで、一連の流れすべてを任せることができます。
また、一からeラーニング教材の制作を任せるのはもちろん、自社で持っている研修資料などの素材を教材にしてもらうことも可能です。
一定のクオリティのeラーニング教材をなるべく早く導入したいと考えているのであれば、専門の企業に外注するほうが効率的かもしれません。
ただし、一度完成した教材を修正・更新したい場合は、追加料金が発生することがほとんどですので注意しましょう。
eラーニング制作なら、「まなびのプロ」にお任せ!⇒ライトワークスのeラーニング教材制作サービスを詳しく見る
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まとめ
良い教材とは、「分かりやすさ」「高い学習効果」「更新のしやすさ」を兼ね備えた教材のことです。
この条件を満たすためには、標準的なプロセスに則り、プロセス内の各ステップで求められる作業を着実に行う必要があります。最初からなるべく「よいeラーニング教材」を用意して提供することが、手戻りを減らすことにもつながります。
- まず、分析のステップでは、「教材を作成する目的は何か?」「学習対象者は誰か?」「(学習対象者の)学習目標は何か?」「学習環境はどうか?」などについて、漏れなく確認しましょう。この分析のステップで失敗すると、分かりやすくて学習効果が高いeラーニング教材の作成は、最初からおぼつかなくなります。
- 次に、設計のステップでは、分析のステップで確認した内容を踏まえて、「設計仕様書の作成」「目次・骨子の作成」「制作スケジュールの作成」を行います。
- 次に、開発のステップでは、設計のステップで作成した「設計仕様書」と「目次・骨子」を基に、「PowerPointスライドの作成」「テスト原稿の作成」、必要に応じて「ナレーションデータの作成」「動画の撮影・編集」を行います。こうして完成した素材を基に、教材作成ソフトを使って教材を作成します。最後に使い勝手を確認して修正すると教材は完成です。
- 教材の運用が修了したら受講履歴を基に教育内容の評価を行い、必要に応じて分析のステップに戻って教材の改訂を検討・実施します。
ここでは教材作成ツールの利用を前提としたeラーニング教材の作成方法をご紹介しましたが、出来上がった教材の品質がどんなに良くても、教材で学んだことが学習者の新たな知識として身に付き、日々の業務で生かされなければ意味がありません。
学習対象者に対しては、教材を通じて得られた知識を日々の業務で活用することの大切さをしっかりと伝えていく必要があります。教材面以外でも、様々な工夫をしていきましょう。
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