ものづくり産業のDXと人材育成:社内人材の活用が喫緊の課題に

労働政策研究・研修機構は、日本のものづくり産業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の進捗と、それに伴う人材確保・育成に関する調査結果を発表しました。

この調査では、全国の製造業企業3,313社が回答しており、デジタル化が進む製造現場での人材育成の重要性を浮き彫りにしています。

 

デジタル技術の活用に取り組んでいる企業は?

調査によると、デジタル技術を活用して業務改善に取り組んでいる企業は全体の77.2%に上ります。特に「事務処理」(43.9%)と「生産管理」(43.7%)の工程で活用が進んでいるほか、「製造」工程では39.9%の企業が取り組んでいます。

「企画・開発・設計」「製造」「生産管理」「品質管理」の各工程でデジタル技術を活用している企業の、具体的なデジタル化の取り組み内容としては、いずれの工程でも「見える化(データの収集・蓄積・分析)」が7割以上と高い割合を占めています。「自動化(データによる制御)」は、特に「製造」(49.5%)で高く、ほぼ5割に達しています。

 

デジタル人材の確保方法は社内人材の育成が最多

デジタル技術の導入・活用のための人材確保方法については、全ての工程で「社内人材の活用・育成」が最多で、半数以上の企業が選択しています。この結果は、外部からの新規採用だけでなく、既存の従業員を育成することがDX推進の鍵であることを示唆しています。

具体的な育成方法では、OJT(職場内訓練)がいずれの工程でも5割を超えるほか、「企画・開発・設計」工程ではOFF-JT(職場外訓練)が56.8%と最も高い割合で実施されています。(図1)

図1  社内人材の育成の方法(複数回答、工程別)

社内人材の育成の方法

出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構, 記者発表2025年5月9日『ものづくり産業におけるDXと人材育成に関する調査』,図表2-7, p13 https://www.jil.go.jp/press/(閲覧日:2025年8月10日)

 

OFF-JTの内容としては、「一般的なデジタル技術に関する知識・技術の習得」(25.4%)や「デジタル技術の自社への導入・活用・応用」(23.1%)が挙げられました。

 

8割以上がデジタル技術の導入効果を感じている

デジタル技術の導入による効果について、前述の4工程ごとに尋ねたところ、いずれの工程においても8割以上の企業が「効果を感じている」と回答しています。

また、従業員の育成・能力開発を行っている企業のうち、66.9%の企業が経営面での効果を実感し、66.8%の企業が人事面での効果を実感しています。

具体的に感じている効果として、経営面では「技術水準や品質の向上」(74.0%)が最も多く、人事面では「従業員の能力・スキルの底上げ」(82.6%)が最も高い割合で挙げられています。

 

調査結果が示す課題と人材育成担当者の役割

今回の調査は、多くの企業がDXを推進しているものの、その中心がデータの「見える化」にとどまり、より高度な「自動化」や「最適化(自動化を踏まえた工程全体の見直し)」への取り組みがまだ限定的であることを示しています。

デジタル技術の導入効果をさらに引き出すためには、従業員の技術レベルを一段階引き上げることが急務となります。

人材育成担当者の役割としては、経営層と連携し、DX戦略と一体となった人材育成計画を策定することが求められます。

具体的には、経営目標を達成するために必要なデジタルスキルを定義し、それを習得するための計画的なOJTや、実践的なOFF-JTを設計する必要があります。また、従業員の学習意欲を高めるため、自己啓発に対する金銭的支援や情報提供を積極的に行うことも重要です。

 

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資料の詳細は、以下をご覧ください。

独立行政法人労働政策研究・研修機構, 記者発表2025年5月9日, 『ものづくり産業におけるDXと人材育成に関する調査 』 https://www.jil.go.jp/press/

>会社案内パンフレット、各種事例、eラーニング教材サンプル、調査資料をダウンロードいただけます。

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