情報処理推進機構(IPA)は、「AIの動作・分析・利用方法の説明に関するアンケート調査レポート」を公開しました。AIシステム提供者や管理者が、正しい利用方法などを利用者に分かりやすく説明することの重要性が高まっていることを背景に、AIを業務で利用している企業従業員・経営層1,600人を対象に意識調査を実施したものです。
調査の結果、86.4%の人が「業務でのAI利用経験年数が3年未満(生成AI普及以降)」と回答しました。
利用のために参照したい情報として「AIの基本知識」を求める声が最も多く(63.9%)、約75%の人がその重要性を認識しています。
利用者が抱く「判定理由が不明であること」と「情報漏えい」への不安
AIの信頼性に関する不安では、「AIがなぜそう判定したか理由がわからない」(53.6%)が「情報漏えい」(48.1%)と並んで、懸念が「非常に大きい」または「やや大きい」として突出しました 。
この「判定した理由が不明」という不安の背景には、利用経験の不足からくる「この出力はどうやって出てきたのか、信用していいのか」という漠然とした不安がある可能性が推定されました。
AIの利用方法を説明する・される際に感じることは「内容が専門的すぎる」「量が多すぎる」
利用者にAIの利用方法を説明する際に感じる課題として、「内容が専門的すぎて説明される側は理解しにくい」(55.9%)、「説明される側のAI知識・経験が足りず理解しにくい」(54.0%)、「説明の量が多く説明される側は理解しにくい」(53.2%)が上位3項目となりました。
AIの利用方法説明の際の望ましい提供元として、AIモデル提供ベンダー、AIシステム・サービスの提供ベンダーへの期待が大きいことがわかりました。
説明の望ましい提供形態として、文書だけでなく、プレゼンテーションスライド(21%〜25%)や動画(28%〜31%)もほぼ均等に求められています。
また、説明コンテンツの参照環境については、「AI利用中に自分から必要に応じて要求し、参照する」という形態が突出しており、事前に資料で理解する形態に加え、利用中に不明点を解消する形態への要望が大きいことがうかがえました。
AIの基礎学習を提供する上でのポイント
AIを業務に導入する際は、AIの「基本知識」(概念、リスクなど)を、文章だけでなく動画やスライドなど分かりやすい形式で提供し、利用者の不安解消を図ることが有効です。
また、適切な利用を促すため、専門的な内容を避け、利用者が疑問を持った際にすぐアクセスでき、対話的に質問できる仕組みを整えることが有効であると示唆されています。
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(資料の詳細は、以下をご覧ください。)
独立行政法人情報処理推進機構, IPAテクニカルウォッチ「AIの動作・分析・利用方法の説明に関するアンケート調査レポート」
https://www.ipa.go.jp/security/reports/technicalwatch/20251023.html
