厚生労働省はこのほど、「人材の確保・定着に成功した企業の取組事例集」を公表しました。深刻な人材不足が企業の経営課題となる中 、転職によるキャリア形成が一般化しており 、採用した人材の定着と活躍がますます重要になっています。本事例集は、人材の確保・定着に成功した企業の、採用時の情報開示や採用後のオンボーディングにおける具体的な取組事例をまとめた資料です。多くの企業が抱えるこの課題へのヒントを提示するものです。
AIで要約
厚生労働省は、深刻な人材不足に対応するため、「人材確保・定着の成功事例集」を公表しました。
求職者へ「将来の労働条件・キャリア」を積極的に開示すると、入社後のパフォーマンスが高まります。
入社後の「オンボーディング」(上司面談、導入研修など)は、採用者の定着と戦力化を促します。
事例集では、情報開示やオンボーディングに成功した企業の具体的な取組が多数紹介されています。
採用の現状と入社後の壁
調査によると、過去3年間に中途採用活動を行った企業は88.5%に上り、採用された正社員のうち平均で半数が中途採用者でした。一方で、中途採用者は入社後、「これまでの勤め先との仕事の進め方の違い」(46.1%) や「仕事の内容」(33.9%)、「会社や職場の文化・風土」(28.9%) などに難しさを感じている実態も明らかになりました。
パフォーマンスを高める「将来の情報」の開示
こうした入社後のミスマッチを防ぎ、定着率を高める鍵として、本事例集は「求職者への情報開示」の重要性を指摘しています。特に、「将来得られるスキルや経験」「将来の業務内容やキャリアパスの見通し」「将来的な賃金」といった、将来の労働条件やキャリアに関する情報の開示が、採用された労働者のパフォーマンス向上に顕著な効果を示すことが分かりました。しかし、これらの将来に関する情報を開示している企業は7〜8割前後にとどまっており、入社直後の情報(9割前後が開示)に比べて低いのが現状です。
定着と戦力化を促す「オンボーディング」
採用後の取り組み(オンボーディング)も重要です 。具体的には「上司との面談」(55.9%) や「導入研修」(50.0%) などが多く行われています。こうしたオンボーディングに積極的に取り組む企業ほど、採用活動のパフォーマンスと、採用された労働者のパフォーマンスが共に高まる傾向が確認されています。
本事例集では、これらの調査結果に加え、情報開示やオンボーディングに成功している企業の具体的な事例を多数紹介しており、人材確保や定着に悩む担当者にとって有益な情報源となりそうです。
関連記事を見る
資料の詳細は、以下をご覧ください。
厚生労働省, 中途採用・経験者採用, 人材の確保・定着に成功した企業の取組事例集~採用活動のコツ~
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/roudouseisaku/chutosaiyoukeikensyasaiyou_00004.html#h2_free1