LMS(学習管理システム)の選び方〔ベンダー比較表サンプル付〕

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LMS(学習管理システム)の選び方〔ベンダー比較表サンプル付〕

LMS(学習管理システム)の選定は難しいもの。本当は自社にぴったりのシステムを追求したいけれど、知見も足りないし、時間も足りないし―ということで、なんとなくインターネット上で見付けた情報や、ベンダーの提案を前提にして「妥協」してしまっていませんか?

LMSやeラーニングの比較サイトにはたくさんのベンダーの情報が掲載されていて便利ですが、価格の公開・非公開、運用サポートの有無が書いていないなど、同じ条件で比較ができないので、検討が進まない方も多いのではないでしょうか。

本稿では、LMSの選び方を下記の3ステップに分けて詳しく解説しています。

  1. 情報収集
  2. 企画立案/予算申請
  3. ベンダー選定

ベンダー視点の情報に振り回されるのではなく、あくまで自社の要件を基準にLMSを選定する方法をご紹介します。

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1.LMS(学習管理システム)とは?

LMS(学習管理システム:Learning Management System)とは、eラーニングやオンライン研修などを行う際のプラットフォームになるシステムです。

LMSを利用すると、eラーニングや研修の配信・運用・管理を効率化することが可能になります。

ほかにもLMSを使うとできることや、eラーニングとの違いについて詳しく知りたい方は、こちらのコラムを参考にしてください。

 

2.LMSを比較する際のポイント

LMSを比較する際、事前に検討したいポイントは以下の8つです。

  • 総合的な人材育成に適したLMSかどうか
  • 運用規模は想定と合っているか?
  • eラーニングの標準規格に準拠しているか?
  • クラウドか?オンプレミスか?
  • eラーニング教材(コンテンツ)は調達可能か?
  • eラーニング教材の作成は可能か?
  • 運用サポートの有無
  • 価格はどうか?

2-1. 総合的な人材育成に適したLMSかどうか

LMS=eラーニングというイメージを持ちながらシステムを探し、後で機能不足に悩むお客様のお悩みをよく聞きます。利用目的が人材育成であれば、どのようなジャンルの教育にも使える自由度の高さや、多彩な機能が求められます。

2-2. 運用規模は想定と合っているか?

自社の想定利用人数とLMSの利用可能ユーザ数(ID数)が合わない場合があります。推奨利用人数は確認するようにしましょう。

2-3. eラーニングの標準規格に準拠しているか?

一般的な企業で使われているeラーニングは、「SCORM1.2」または「SCORM2004」という標準規格に準拠していることが多いです。これに準拠していれば、異なるLMS間でも教材や学習履歴の移行が可能なため、チェックしておきましょう。

2-4. クラウドか?オンプレミスか?

ベンダーのサーバー上にシステムがある=クラウド、自社のサーバーにシステムをインストールする=オンプレミスという提供形態があります。特別な理由がなければクラウドをおすすめしています。

2-5. eラーニング教材(コンテンツ)は調達可能か?

多くのLMSベンダーはeラーニング教材(コンテンツ)も提供しています。まずは手軽に教材を調達したい方は、どんなラインナップがあるか確認しておくとよいでしょう。

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2-6. eラーニング教材の作成は可能か?

自社で教材を作成したい場合、教材作成機能や、教材作成ツール(内製支援ツール)を提供しているベンダーを選ぶとよいでしょう。自社でeラーニング教材を内製すると、コストが抑えられるだけでなく、教育施策の自由度が格段にアップします。

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2-7. 運用サポートの有無

LMSは導入した後が始まりです。ヘルプデスクやBPOサービスなど、導入後の運用サポートが充実しているベンダーを選ぶと安心です。

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2-8. 価格はどうか?

LMSの費用は「初期費用」と「月額利用料」に分かれていることが多く、月額利用料は利用状況に応じて毎月変動します。

価格は交渉次第というところもあるため、最初から価格を第一条件にすることはおすすめしません。

下記コラムでは、自社にとって最適なLMSを見つけるための比較するべきポイントを詳しく解説しています。

 

3. LMSの選び方3ステップ

LMSの検討を始めてから実際に導入するまでのステップは、大きく以下の7つに分けられます。

LMSベンダー選びのステップ

本稿では前半の「検討段階」にフォーカスし、情報の集め方や、集めた情報をベンダーの選定に向けて整理していく方法について解説します。

なお、後半の「導入段階」のステップについては、契約の締結方法や運用設計、実際の運用開始までを以下の記事に詳しくまとめていますのでご参照ください。

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また、LMSの利用形態にはクラウドサービスとオンプレミスがありますが、最近ではクラウドサービス導入が主流となっている(当社では98%以上)ため、ここではクラウドサービスを前提に解説します。

では、ステップごとに詳しい内容をみていきましょう。

ステップ1. 情報収集

まずは情報収集です。情報収集は、社内と社外、それぞれを対象に行います。

 

社内の情報収集


社内の情報収集は、要望のとりまとめがメイン
です。既にLMSへのニーズが具体的に明文化できていれば問題ありませんが、ここが曖昧だと選定ポイントが見えにくくなってしまいます。関連他部署も含めて改めてヒアリングを行い、LMSで実現したいこと、現在の運用上の課題、求める機能要件などについて書き出しておきましょう。

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社外の情報収集


社外の情報収集は、LMSベンダーに関することがメイン
となります。インターネットで検索したり、付き合いのある業者に紹介を依頼するのもよいでしょう。

まずは3-4社から以下のような情報を収集してみると、大体の比較ポイントが見えてきます。

  • 製品情報(機能・ユーザビリティ )
  • 事例情報(導入効果・実績)
  • サポート情報(運用代行、ヘルプデスク)
  • 概算費用(価格)

官公庁や大企業のシステム部門が検討する場合は、「情報提供依頼書(Request For Information, RFI)」を作成してベンダーに情報提供を依頼する例が多く見られます。

RFIは、自社にとって必要なシステムの条件をどのように設定すればよいか分からないときに、事前にベンダー側から製品や市場に関する情報を得るための依頼書です。発注側は、情報や知識のない中であれこれ悩む前に、既に導入実績のある製品を確認しながら、自社が実現したいことのイメージに照らして、要件を確定したり、概算費用を算出したりすることができます。

具体的な項目としては、例えば以下の様なものが考えられます(画像をクリックするとエクセルがダウンロードできます)。

LMSベンダー選びRFI項目例
参考)RFI項目例 <エクセルダウンロードはこちら>

すでに要件が明確なところや施策上特に注目したい点については、十分な情報を提供してもらえるよう、その旨を明記しておきましょう。

RFIを発行するにせよしないにせよ、導入予定のLMSをどのような教育施策に活用するのか、情報をまとめておくことは大切です。以下の記事を参考にして情報を整理し、「やりたいこと」のイメージをなるべく具体的に、漏れのないように伝えるようにしましょう。

また、連絡を取ったベンダーには、製品デモや導入事例・実績の紹介を依頼しておくようにしましょう。デモや事例を通じ、早い段階で具体的なイメージを持っておくと、その後の要件整理やベンダー選定に役立ちます。

ちなみに、ベンダーから情報収集をするときのポイントは、

  • 一社だけでなく複数のベンダーに資料請求をすること
  • 営業からのアプローチを受けること、結果的に「断る」ことを面倒に思わないこと

です。

1点目については、複数のベンダーから、同社のLMSはもちろん、市場の状況や競合(あなたにとっては検討候補企業になります)情報を得ることが目的です。もちろん、送られてくる資料から得られるのは、企業情報と商品情報程度でしょう。この時点でいったんスクリーニングをして、可能性のあるベンダーを抽出し、それぞれの営業と話をしてみることが大切です。

同じ業界のベンダーのことを一番よく知っているのはベンダーです。その知見を活用しない手はありません。「主要なベンダーはどこか?」「どんなLMSが評価されているのか?」「あなたのところの商品・サービスの差別化ポイントはどこか?」「自社と似た課題解決事例は?」など、遠慮せずに聞いてみましょう。想定していなかった検討材料や、アドバイスをもらえる可能性があります。また、ベンダーの営業の知見や提案・サポート力も重要な検討材料になるでしょう。

2点目は、当たり前だと分かっていてもなんとなく億劫に感じてしまう要素です。ネガティブなセリフやコンフリクトを避けたい日本人の性かもしれません。が、何かを選ぶということは他を落とすということですし、何よりも「よりよいものを選ぶ」ことがあなたのミッションであり、評価につながります。売り込みを断ること自体、コンフリクトでも何でもありません。ベンダーにチャンスを提供すると思って、興味のあるところから遠慮なくどんどん資料を取り寄せましょう。

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ステップ2. 企画立案/予算申請

収集した情報をもとに企画を立案し、予算を申請・確保します。

まずは、社内から収集した情報(解決したい課題、目的や要件、条件等)を整理して、LMS導入の企画書を作成しましょう。LMSを導入する必要性、緊急性や重要性を合理的に説明することがポイントになります。一般的なシステム導入で活用される「提案依頼書(Request For Proposal, RFP)」で情報を整理するのも良いでしょう。

その際、機能要件リストを作成することがおすすめです。自社に必要な機能をリスト化することで、ベンダーとのコミュニケーションがしやすくなりますし、検討モレを防ぐことができます。RFPや提案書の添付資料としても活用できますので、ご検討ください。
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なお、クラウドのパッケージサービスを利用する場合は、RFPを活用しない例もみられます。どこまで厳密に手続きを進めるべきか、自社の状況や施策の規模に鑑みて判断するのが良いでしょう。

 

ステップ3. ベンダー選定

予算を確保したら、いよいよベンダーの選定です。

ここまでにまとめた要件を各ベンダーに伝え、正式に提案を依頼しましょう。「提案依頼書(Request For Proposal, RFP)」を作成している場合は、提案書を受領した上で提案説明会の実施を依頼し、製品デモや提案内容の説明を受けます。製品の操作性や各社の特徴・強みは資料だけではなかなか判断できないので、直接のコミュニケーションを通じ、できるだけ具体的な情報を得られるよう努めましょう。

提案説明を受けた後は、その内容を取りまとめ、整理したうえでどのベンダーが最適か、関係者で検討して合意しましょう。

なお、ベンダー選定では、ベンダー比較表をもとに、技術点と価格点を総合して判断する流れが一般的です。

ベンダー比較表に特定のフォーマットがあるわけではありませんが、例えば評価要件を縦軸に、候補ベンダーを横軸に並べます。評価点を決め、資料や打ち合わせの結果を持って入力していき、合計点を比較すれば、その時点で最も評価の高い候補ベンダーが分かります。

評価要件は、RFP(Request For Proposal, 提案依頼書)を用意している場合はそちらからコピーすればよいでしょう。RFPがない場合は、これまでに収集した情報を元に、自社にとっての要件を改めて洗い出す必要があります。他部門の要望なども考慮しながら、丁寧に整理しましょう。

RFP(提案依頼書)作成時にも役立つ機能要件リスト⇒無料でダウンロードする

LMSベンダー比較表
LMSベンダー比較表(サンプル)<PDFダウンロードはこちら>

技術点は、要件への対応度合いを○×判定 し、それらの数をもとに点数で評価するイメージです。価格点は、相対比較で点数を付けたり、価格項目ごとに重み付けをした上で点数化して評価するイメージです。

ベンダーの比較だけでなく、交渉ポイントのあぶり出し等にも役立ちますので、ぜひ作ってみることをおすすめします。また、事前にRFPに評価方法を記載しておくと公平な選定ができます。

なお、実際の運用においては、同業他社での導入実績、運用サポート内容、セキュリティ対策 、サービスレベル等の非機能要件も重要になってきますので、技術点の評価項目には機能要件だけでなく、上記のような非機能要件も忘れずに組み込むようにしましょう。単にシステムを納品するだけでなく、運用中にしっかりしたサポートが受けられるのか、人材育成に関する知見はあるか、セキュリティ対策はしっかりなされているか等、アフターケアの部分をきちんとチェックしておきましょう。

ちなみに、セキュリティ対策についてはISOの取得状況、サービスレベルについてはSLA(Service Level Agreement、サービス品質保証)の開示などが一つの指標となります 。

上の例では一律の評価点を適用していますが、特に重視したい要素などがあれば、評価項目によって重みを変えるとよいでしょう。例えばユーザビリティの配点は10段階にする、SLAがある場合の配点を4点から10点にするなどです。

ベンダー比較表は、検討段階での情報整理だけでなく、社内のコミュニケーションや上申、発注にも活用できます。「なぜこのベンダーを選んだのか?」「このベンダーのLMSのどこを評価したのか?」を明文化し、常に説明できる状態にしておくことは、あなた自身の信頼性にもつながるでしょう。ぜひご検討ください。

LMS選定時に確認すべき代表的なポイントをリスト化。RFP(提案依頼書)作成時にも役立つ機能要件リスト⇒無料でダウンロードする

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4. まとめ

いかがでしたか?
LMSベンダーを効率的に比較し、自社のニーズに最適なベンダーを選定する方法として、情報収集やベンダー比較表の作り方を解説しました。

情報収集の段階では、資料請求が第一歩となりますが、その道のプロであるベンダーの知見を積極的に活用しましょう。話をしていくうちに自ずと自社の知見も増え、より質の高い検討ができるようになります。

集めた情報を元にベンダーを比較する段階では、ぜひベンダー比較表を作成しましょう。どのベンダーのLMSが自社の要件を最も満たしているか? どのベンダーが信頼置けそうか? 数値化することで、検討も提案もしやすくなります。

ぜひ合理的かつ効率的な比較・検討を行い、あなたの会社にとって最適なLMSを選びましょう。

 

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