eラーニング(LMS)ベンダーの選び方〔ベンダー比較表サンプル付〕

eラーニング(LMS)ベンダーの選び方〔ベンダー比較表サンプル付〕

システムの選定は難しいもの。本当は自社にぴったりのシステムを追求したいけれど、知見も足りないし、時間も足りないし―ということで、なんとなくインターネット上で見付けた情報や、ベンダーの提案を前提にして「妥協」してしまっていませんか?

LMS(学習管理システム)やeラーニングの比較サイトにはたくさんのベンダーの情報が掲載されていて便利ですが、公開項目はベンダーが任意で決めています。こちらのベンダーは価格を公開しているけれど、こちらはしていない、あちらのベンダーのプランには運用サポートがあると書いてあるけれど、書いていないところにはないのかな?など、結局のところ同じ条件で比較ができないので、ある時点から検討が進まなくなってしまいます。

本稿では、このようにベンダー視点の情報に振り回されるのではなく、あくまで自社の要件を基準にeラーニング(LMS)を選定する方法をご紹介します。

1. eラーニング(LMS)ベンダーの選び方

eラーニング(LMS)の検討を始めてから実際に導入するまでのステップは、大きく以下の7つに分けられます。

本稿では前半の「検討段階」にフォーカスし、情報の集め方や、集めた情報をベンダーの選定に向けて整理していく方法について解説します。

なお、後半の「導入段階」のステップについては以下の記事にまとめていますので、そちらをご参照ください。

また、LMSの利用形態にはクラウドサービスとオンプレミスがありますが、最近ではクラウドサービス導入が主流となっている(当社では98%以上 )ため、ここではクラウドサービスを前提に解説します。

では、ステップごとに詳しい内容をみていきましょう。

1-1. 情報収集

まずは情報収集です。情報収集は、社内と社外、それぞれを対象に行います。

●社内の情報収集

社内の情報収集は、要望のとりまとめがメインです。既にeラーニングへのニーズが具体的に明文化できていれば問題ありませんが、ここが曖昧だと選定ポイントが見えにくくなってしまいます。関連他部署も含めて改めてヒアリングを行い、eラーニングで実現したいこと、現在の運用上の課題、求める機能要件などについて書き出しておきましょう。

●社外の情報収集

社外の情報収集は、LMSベンダーに関することがメインとなります。インターネットで検索したり、付き合いのある業者に紹介を依頼するのもよいでしょう。

まずは3-4社から以下のような情報を収集してみると、大体の比較ポイントが見えてきます。

  • 製品情報(機能・ユーザビリティ )
  • 事例情報(導入効果・実績)
  • サポート情報(運用代行、ヘルプデスク)
  • 概算費用(価格)

官公庁や大企業のシステム部門が検討する場合は、「情報提供依頼書(Request For Information, RFI)」を作成してベンダーに情報提供を依頼する例が多く見られます。

RFIは、自社にとって必要なシステムの条件をどのように設定すればよいか分からないときに、事前にベンダー側から製品や市場に関する情報を得るための依頼書です。発注側は、情報や知識のない中であれこれ悩む前に、既に導入実績のある製品を確認しながら、自社が実現したいことのイメージに照らして、要件を確定したり、概算費用を算出したりすることができます。

具体的な項目としては、例えば以下の様なものが考えられます。


参考)RFI項目例 <エクセルダウンロードはこちら>

すでに要件が明確なところや施策上特に注目したい点については、十分な情報を提供してもらえるよう、その旨を明記しておきましょう。

RFIを発行するにせよしないにせよ、導入予定のLMSをどのような教育施策に活用するのか、情報をまとめておくことは大切です。以下の記事を参考にして情報を整理し、「やりたいこと」のイメージをなるべく具体的に、漏れのないように伝えるようにしましょう。

また、連絡を取ったベンダーには、製品デモや導入事例・実績の紹介を依頼しておくようにしましょう。デモや事例を通じ、早い段階で具体的なイメージを持っておくと、その後の要件整理やベンダー選定に役立ちます。

ちなみに、ベンダーから情報収集をするときのポイントは、
・一社だけでなく複数のベンダーに資料請求をすること
・営業からのアプローチを受けること、結果的に「断る」ことを面倒に思わないこと
です。

1点目については、複数のベンダーから、同社のLMSはもちろん、市場の状況や競合(あなたにとっては検討候補企業になります)情報を得ることが目的です。もちろん、送られてくる資料から得られるのは、企業情報と商品情報程度でしょう。この時点でいったんスクリーニングをして、可能性のあるベンダーを抽出し、それぞれの営業と話をしてみることが大切です。

同じ業界のベンダーのことを一番よく知っているのはベンダーです。その知見を活用しない手はありません。「主要なベンダーはどこか?」「どんなLMSが評価されているのか?」「あなたのところの商品・サービスの差別化ポイントはどこか?」「自社と似た課題解決事例は?」など、遠慮せずに聞いてみましょう。想定していなかった検討材料や、アドバイスをもらえる可能性があります。また、ベンダーの営業の知見や提案・サポート力も重要な検討材料になるでしょう。

2点目は、当たり前だと分かっていてもなんとなく億劫に感じてしまう要素です。ネガティブなセリフやコンフリクトを避けたい日本人の性かもしれません。が、何かを選ぶということは他を落とすということですし、何よりも「よりよいものを選ぶ」ことがあなたのミッションであり、評価につながります。売り込みを断ること自体、コンフリクトでも何でもありません。ベンダーにチャンスを提供すると思って、興味のあるところから遠慮なくどんどん資料を取り寄せましょう。

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1-2. 企画立案/予算申請

収集した情報をもとに企画を立案し、予算を申請・確保します。

まずは、社内から収集した情報(解決したい課題、目的や要件、条件等)を整理して、LMS導入の企画書を作成しましょう。LMSを導入する必要性、緊急性や重要性を合理的に説明することがポイントになります。一般的なシステム導入で活用される「提案依頼書(Request For Proposal, RFP)」で情報を整理するのも良いでしょう。

その際、機能要件リストを作成することがおすすめです。自社に必要な機能をリスト化することで、ベンダーとのコミュニケーションがしやすくなりますし、検討モレを防ぐことができます。RFPや提案書の添付資料としても活用できますので、ご検討ください。



LMS(eラーニング)機能要件リストをご提供

RFP(提案依頼書)作成時にも役立つ機能要件リスト
これまで1,400社以上のLMS(eラーニング)導入に関わってきたライトワークスが、選定時に確認すべき代表的なポイントをリスト化しました。ぜひご活用ください。


なお、クラウドのパッケージサービスを利用する場合は、RFPを活用しない例もみられます。どこまで厳密に手続きを進めるべきか、自社の状況や施策の規模に鑑みて判断するのが良いでしょう。

1-3. ベンダー選定

予算を確保したら、いよいよベンダーの選定です。

ここまでにまとめた要件を各ベンダーに伝え、正式に提案を依頼しましょう。「提案依頼書(Request For Proposal, RFP)」を作成している場合は、提案書を受領した上で提案説明会の実施を依頼し、製品デモや提案内容の説明を受けます。製品の操作性や各社の特徴・強みは資料だけではなかなか判断できないので、直接のコミュニケーションを通じ、できるだけ具体的な情報を得られるよう努めましょう。

提案説明を受けた後は、その内容を取りまとめ、整理したうえでどのベンダーが最適か、関係者で検討して合意しましょう。

なお、ベンダー選定では、ベンダー比較表をもとに、技術点と価格点を総合して判断する流れが一般的です。

ベンダー比較表に特定のフォーマットがあるわけではありませんが、例えば評価要件を縦軸に、候補ベンダーを横軸に並べます。評価点を決め、資料や打ち合わせの結果を持って入力していき、合計点を比較すれば、その時点で最も評価の高い候補ベンダーが分かります。

評価要件は、RFP(Request For Proposal, 提案依頼書)を用意している場合はそちらからコピーすればよいでしょう。RFPがない場合は、これまでに収集した情報を元に、自社にとっての要件を改めて洗い出す必要があります。他部門の要望なども考慮しながら、丁寧に整理しましょう。


<PDFダウンロードはこちら>

技術点は、要件への対応度合いを○×判定 し、それらの数をもとに点数で評価するイメージです。価格点は、相対比較で点数を付けたり、価格項目ごとに重み付けをした上で点数化して評価するイメージです。

ベンダーの比較だけでなく、交渉ポイントのあぶり出し等にも役立ちますので、ぜひ作ってみることをおすすめします。また、事前にRFPに評価方法を記載しておくと公平な選定ができます。

なお、実際の運用においては、同業他社での導入実績、運用サポート内容、セキュリティ対策 、サービスレベル 等の非機能要も重要になってきますので、技術点の評価項目には機能要件だけでなく、上記のような非機能要件も忘れずに組み込むようにしましょう。単にシステムを納品するだけでなく、運用中にしっかりしたサポートが受けられるのか、人材育成に関する知見はあるか、セキュリティ対策はしっかりなされているか等、アフターケアの部分をきちんとチェックしておきましょう。

ちなみに、セキュリティ対策についてはISOの取得状況、サービスレベルについてはSLA(Service Level Agreement、サービス品質保証)の開示などが一つの指標となります 。

上の例では一律の評価点を適用していますが、特に重視したい要素などがあれば、評価項目によって重みを変えるとよいでしょう。例えばユーザビリティの配点は10段階にする、SLAがある場合の配点を4点から10点にするなどです。

ベンダー比較表は、検討段階での情報整理だけでなく、社内のコミュニケーションや上申、発注にも活用できます。「なぜこのベンダーを選んだのか?」「このベンダーのLMSのどこを評価したのか?」を明文化し、常に説明できる状態にしておくことは、あなた自身の信頼性にもつながるでしょう。ぜひご検討ください。

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2. まとめ

いかがでしたか?
eラーニング(LMS)ベンダーを効率的に比較し、自社のニーズに最適なベンダーを選定する方法として、情報収集やベンダー比較表の作り方を解説しました。

情報収集の段階では、資料請求が第一歩となりますが、その道のプロであるベンダーの知見を積極的に活用しましょう。話をしていくうちに自ずと自社の知見も増え、より質の高い検討ができるようになります。

集めた情報を元にベンダーを比較する段階では、ぜひベンダー比較表を作成しましょう。どのベンダーのLMSが自社の要件を最も満たしているか? どのベンダーが信頼置けそうか? 数値化することで、検討も提案もしやすくなります。

ぜひ合理的かつ効率的な比較・検討を行い、あなたの会社にとって最適なeラーニングを選びましょう。

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