CHRO(最高人事責任者)とは 戦略人事を加速するキーマンの役割と事例

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CHRO(最高人事責任者)とは 戦略人事を加速するキーマンの役割と事例

CHROとは、人事部長よりも高い権限を持ち、経営者レベルで人事戦略を展開する人のことです。グローバル化や少子高齢化が進む日本経済では、人事戦略が重要なポジションを占めており、CHROへの注目が高まっています。

「CHROってなに?」
「人事部長との違いは?」

これまであまり聞き馴染みのないCHROという言葉。実際、国内でのCHROの定着率は10%程度と言われており、日系よりも外資系企業の方が導入率が高くなっています。

しかし、日本経済、さらにグローバル競争を生き抜くための経営戦略として、CHROの導入に関心を示す日系企業は増加傾向にあります。本稿では、CHROの意味や役割、実際の導入事例をご紹介します。

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CHROとは?経営者レベルで戦略人事を実行できる人

CHROとは(Chief Human Resource Officer)の略で「シー・エイチ・アール・オー」と読み、最高人事責任者や取締役人事部長とも呼ばれます。CHROを端的に表現するとすれば、「経営者レベルで戦略人事を実行できる権限を与えられている人」と言っていいでしょう。

CHROは単なる人事部門の責任者ではないので取締役会にも参加し、経営陣の一員として企業売上や利益水準に対して人事の観点から責任を負います。

CHROが注目されている理由

なぜ、CHROの導入に関心を示す企業が増えているのでしょうか。以下で詳しく解説します。

「ヒトは重要な企業財産」という考え方

経営リソースである「モノ・カネ・ヒト」は経営計画を成功させるために欠かすことができません。事業の成功には資金力や商品価値だけでなく、これらを実際に運用して利益を生み出すヒトが必要です。しかし、日本では少子高齢化に伴う売り手市場が続いており、人材不足や離職率の増加が大きな課題になっています。

そんな問題を解決するため、CHROは経営者レベルで会社組織を見渡し、ヒトが働きやすい環境の構築を行います。企業の財産である人財を効果的にマネジメントするには、経営者レベルで戦略人事を展開していく必要があります。

人事戦略にもスピード感

IT革命や経済のグローバル化により時代は大きく・早く変わります。そんな時代だからこそ、人事戦略にもスピード感が求められ、企業利益を生み出す人材の投入や人事異動などは迅速に行う必要があります。

CHROには人事部長よりも大きな権限が与えられているので、必要な時に最善の方法で人事マネジメントを行うことが可能です。戦略人事が経営のカギを握るとされる昨今の時代に取り残されないためには、人事に関して絶対的な力を持つCHROの存在が重要という見方が広まっています。

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CHROの役割とは?

では、次にCHROの役割をご紹介します。具体的な役割を把握することでCHROを導入する手がかりが見つかるかもしれません。

経営戦略のパートナー

CHROは経営戦略のパートナーとして人的資源について考察し、必要な改革を行います。例えば、人事的観点から経営目標を達成するための人材確保や人員配置、マネジメントリーダーの選出などがCHROの役割です。

さらに、企業目標を達成できなかった際は人事の観点から問題の原因を追究し、社員だけでなく役員陣のパフォーマンスやマネジメントスキルも見直し、必要であれば役員陣の交代を提案することもあります。

人材のマネジメント

CHROは人材マネジメントに関して最上位の権限を持っており、ヘッドハンティングや求人活動などを指揮します。単純に「人が足りないから」という理由で人材を補充するのではなく、企業目標を達成するための手段として人事を動かします。

さらに、優秀な人材の流出や他社からヘッドハンティングを予防するため、評価基準の見直しや職場環境の改善を図るのもCHROの役割です。

コラム:人事部長とCHRO 役割の違い
基本的に人事部長は人事労務の責任者ですが、CHROは経営レベルで人事異動や採用活動などを行ない、人事部長よりも高い権限を持っています。CHROは一部門の責任者ではなく、経営者の一員として任務を遂行するという点で人事部長と大きく異なります。

CHROの導入事例

国内でも戦略人事を促進するためCHROを導入している企業があります。事例をいくつかご紹介しましょう。

カゴメ株式会社

トマトケチャップや野菜果実ミックスジュースなど、国内シェア№1を誇るカゴメ株式会社。創業120年を迎える歴史ある会社ですが、戦略人事の一環としてCHROを導入しており、社内の評価制度や報酬制度などを見直し、企業風土の改革を行っています。

CHROの積極的な戦略人事によって、販売シェアは国内だけでなく海外にも拡大されており、今後もグローバルな展開が期待されています。

株式会社メルカリ

「人が成長できるメルカリを目指す」をモットーとして、株式会社メルカリはCHROを導入しています。「会社全体を動かす人事戦略を実行するには人事部長では不足だ」。そう話すのは2018年からCHROとして活躍する木下達夫氏です。

実際、株式会社メルカリは1000人規模の人材採用を実行するなど、大規模な戦略人事を展開しており、グローバルな市場拡大に拍車が掛かっています。

CHRO設置のために知っておきたいこと

CHROは人事部門の最高責任者であり、高い権限を持っていることが分かりました。では、具体的にどのような能力が必要なのでしょうか?導入に役立つ情報をご紹介します。

CHROに必要な能力

CHROには、以下の要件が求められます。

  • 経営戦略に関する経験値
  • 人事のノウハウを持っていること
  • 課題・問題の解決能力
  • コミュニケーション能力

それぞれを詳しく解説します。

経営戦略の経験

CHROは企業戦略に基づいて、人事マネジメントを実行します。そのため、企業経営への理解やプロジェクトの進め方に関する心得など、経営戦略に関する知見が欠かせません。CHROは戦略人事の立案から関わるため、企業マネジメントの経験やセンス・発想力も必要です。

人事労務のノウハウ

CHROが立てた戦略は人事労務に落とし込まれます。CHROが実現不可能な戦略を立てると現場との差が大きくなり、経営目標の達成は難しくなるでしょう。現場に落とし込める戦略を立案するには、CHRO自身が人事労務のプロフェッショナルとしての経験を持っている必要があります。特に、入社・退社に伴うトラブルやハラスメント問題に関する労働基準法の理解は不可欠です。

課題・問題の解決能力

CHROには会社全体を見渡して課題を抽出し、解決方法を分析する能力が必要です。人事の観点から自社のウイークポイントを整理して、企業目標を達成するにはどんな人材が必要なのか、人材の適正な配置などを検討します。客観的に情報を整理して、現状と目標達成のギャップを埋めるための立案をする。これもCHROに欠かせない能力です。

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コミュニケーション能力

CHROは従業員と役員陣のパイプ役として働きます。現場の従業員が抱えている問題を汲み上げて、モチベーション維持を図るにはコミュニケーション能力が必要です。

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CHROは経営者の一員として働きますが、同時に従業員の一人という意識も重要です。トップダウンの指示をするだけでなく、従業員と同じ目線に立ってスタッフ一人ひとりの声に耳を傾ける能力も欠かせません。

一般社団法人日本CHRO協会:CHRO導入に役立つ講演会や交流会を実施

CHROの導入に向けてさらに情報が欲しい。そんな方は一般社団法人日本CHRO協会の公式サイトから情報を収集するといいでしょう。この団体はグローバル化が進む日本市場において、海外企業との競争に負けないための戦略人事に関する調査・研究を行っています。

また、CHROを含む高度なビジネスリーダーを育成するための講演会や交流会を実施しており、CHROの導入には何が必要か、どれほどの効果性が期待できるのかなど、活きた情報を得ることができます。

一般社団法人日本CHRO協会 公式サイト
http://www.jachro.jp/

まとめ

本稿では、CHROとは何か?また、CHROの役割や必要な能力をご紹介しました。

CHROとは、経営者レベルで人事戦略を実行できる権限を持つ人のことです。人事部長よりも高い権限を持ち、経営陣の一員としてマネジメントを行います。グローバル化が進む日本においては人事戦略にはスピード感が求められるようになり、人事に関して強い権限を持つCHROの存在が注目されています。

CHROの役割には以下の通りです。

  • 経営戦略のパートナー
  • 人材のマネジメント

CHROは経営戦略のパートナーとして、経営目標を達成するための人員配置や人材の確保、さらに人材のマネジメント業務としてヘッドハンティングや求人活動を経営者レベルで行います。

さらに、CHROにはビジネスパーソンとして総合的な能力が必要です。

  • 経営戦略の経験
  • 人事のノウハウ
  • 課題・問題の解決能力
  • コミュニケーション能力

「人材は会社の歯車」という考えは「ヒトは会社の重要な財産」という見方に変わりつつあります。グローバル化が進む経済社会において、今後戦略人事はさらに重要な意味を持つようになるでしょう。経営者レベルで人事戦略を展開するCHRO。あなたの会社でも導入を
検討してみてはいかかでしょうか。

参考)
CHOがCEOのコンサルタントとして活躍する世界に/カゴメ株式会社
https://bizreach.biz/media/kagome/
HRのトップは「社長の分身」であれ──組織力を上げる“経営視点と逆算思考” メルカリCHRO 木下達夫
https://www.fastgrow.jp/articles/mercari-kinoshita

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